社内SNSを成功させるポイントとは?メリット・デメリットも解説

社内SNSは、従業員間のコミュニケーションや情報共有を促進するツールとして注目されていますが、導入にはメリットとデメリットが存在します。成功裏に運用するためには、これらの側面を深く理解し、適切な対策を講じることが重要です。
本記事では、社内SNSの導入によるメリット・デメリット、効果的なツールの選定方法、そして導入を成功させるための具体的なポイントを、成功事例と失敗事例を交えて解説します。

目次



そもそも社内SNSとは?主な機能と目的を解説

社内SNSとは、企業内部限定で利用できるビジネス用途のSNSを指し、従業員間のコミュニケーションや情報共有を円滑にすることを目的としたツールです。
主な機能としては、個人間のチャット機能やグループチャット機能、ファイルや写真、動画などの共有機能、そしてタイムライン形式での情報表示が挙げられます。種類としては、コミュニケーション活性化に強みを持つアプリや、業務効率化、ナレッジ活用に特化したツールなど、多岐にわたります。目的は、部門や役職を超えたコミュニケーションの促進、情報共有の迅速化、そして業務効率の向上です。
近年では、リモートワークの普及に伴い、オフィス以外の場所でも円滑なコミュニケーションを可能にするツールとして、社内SNSアプリやツールへの注目が高まっています。


社内SNSを導入する4つのメリット

社内SNSを導入することで、企業は多岐にわたるメリットと効果を享受できます。
情報のリアルタイム共有から従業員間のエンゲージメント向上まで、その活用は組織全体の生産性向上に繋がります。

部署を超えたコミュニケーションが活発になる

社内SNSの導入は、部署や役職の垣根を越えたコミュニケーションの活性化に大きく貢献します。従来のメールや電話では難しかった、より気軽な情報交換や意見交換が、タイムライン形式の投稿やチャット機能を通じて可能になります。
これにより、従業員同士の相互理解が深まり、社内の風通しが良くなる効果が期待できます。例えば、kintoneやSlack、Teamsといったビジネスチャットツールや、TUNAGのような社内SNSは、部署横断的なコミュニティ形成を支援し、情報共有を促進します。
FacebookやMicrosoftのソリューション、NECが提供するツールなども、同様に社内コミュニケーションの活性化に役立ちます。
雑談や意見交換の場としても機能し、一体感のある組織文化の醸成にも繋がります。

迅速な情報共有で業務がスムーズに進む

社内SNSの導入は、迅速な情報共有を可能にし、業務を円滑に進める上で大きなメリットをもたらします。
従来のメールに比べ、社内SNSはタイムライン形式で情報が流れるため、従業員が最新情報に素早くアクセスできます。これにより、業務の遅延を防ぎ、スムーズな進行を実現することが可能です。
また、メッセージや投稿に対して「いいね!」などのリアクション機能やコメント機能が充実しており、情報が閲覧されたかどうかの確認や、内容に対するフィードバックも容易に行えます。これにより、情報の伝達漏れや誤解を防ぎ、社員全員が同じ情報を共有できるため、チームの一体感も強化され、結果的に生産性の向上にも寄与します。

業務ノウハウやナレッジが社内に蓄積される

社内SNSは、業務ノウハウやナレッジを組織全体で共有し、蓄積する上で非常に有効なツールです。
従業員が日々の業務で得た経験や成功事例、解決策、アイデアなどを気軽に投稿できる環境が整うことで、それらが自動的に社内SNS上に蓄積されていきます。
過去のやり取りや投稿が履歴として残るため、必要な情報を検索しやすくなり、個人の知識を組織全体の資産に変えられます。
これにより、新入社員の教育や業務の引き継ぎがスムーズになるだけでなく、同じ問題を繰り返す可能性を防ぎ、企業全体の知識基盤が強化され、長期的な競争力の向上にもつながるでしょう。
ナレッジ共有に特化したツールでは、ドキュメントや記事コンテンツの作成機能、人気ページランキング一覧機能なども備わっており、楽しみながらナレッジの共有・活用が期待できます。

セキュリティリスクを抑えた情報管理が可能になる

社内SNSは、企業専用に設計されたサービスが多いため、高いセキュリティレベルを確保し、情報漏洩のリスクを抑えた情報管理が可能です。
一般的な外部向けSNSとは異なり、企業の内部情報を守るための厳格なセキュリティプロセスが組み込まれており、外部からの不正アクセスや情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
また、メッセージのやり取りやファイルの共有、プロジェクトの進行状況などが一元管理されるため、情報の追跡や監視が容易になり、情報漏洩や不正使用が発生した際に迅速な対応が可能です。
オンプレミス型の導入であれば、自社でより厳格なセキュリティ管理を行うこともできますが、クラウド型でも暗号化通信やデータセンターの安全性など、十分なセキュリティ対策が講じられています。


社内SNS導入前に知っておきたいデメリット

社内SNSの導入には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
これらの課題を認識し、適切な対策を講じることが、失敗を避けて成功に導くために不可欠です。

導入・運用にコストが発生する

社内SNSの導入には、初期費用だけでなく、月額料金や機能拡張に伴う追加費用、さらには運用を担う人材の採用費や教育費といったランニングコストも発生します。
特に自社専用のシステムを開発する場合には、多額の費用がかかる可能性があります。
市販のクラウド型サービスを利用する場合でも、コストを抑えるために安価なプランを選ぶと、必要な機能が不足するケースもあります。
したがって、導入を検討する際には、発生する費用と得られる効果のバランスを慎重に見極め、業務効率化やコミュニケーション改善などの効果を長期的に評価し、投資対効果を考慮することが重要です。
コストは導入における課題の一つですが、それに見合う効果が得られれば、長期的に見て費用対効果の高い投資となるでしょう。

社内に浸透するまで時間がかかる可能性がある

社内SNSを導入しても、全社的に浸透し、定着するまでには時間がかかる可能性があります。
従業員によってはデジタルツールへの適性や利用頻度が異なり、積極的に活用する人がいる一方で、抵抗感を持つ人や使用頻度が低い人も少なくありません。
特に、導入目的が不明確な場合や、何を投稿すれば良いか分からないといった課題を抱える従業員が多いと、ツールが一部の社員しか使わないものになり、最終的に失敗に終わるリスクがあります。
運用がうまくいかない原因として、既存ツールとの使い分けができていないことや、従業員に活用を丸投げしてしまうことも挙げられます。
一部の従業員のみの利用に限定されてしまうと、参加していない従業員が疎外感を感じ、投稿しづらくなる可能性も考えられます。


失敗しない社内SNSツールの選び方5つのポイント

社内SNSツールの選定は、導入の成功に直結する重要なプロセスです。数多くのツールの中から、自社に最適なものを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。ランキングや情報も参考にしつつ、自社の具体的なニーズに合致するかどうかを慎重に比較検討することが求められます。無料プランやフリーソフトも選択肢の一つですが、必要な機能が揃っているか、セキュリティは万全かなど、多角的に評価することが大切です。

導入目的とツールの強みが合っているか確認する

社内SNSツールの選定において最も重要なのは、導入目的とツールの強みが合致しているかを確認することです。たとえば、社内コミュニケーションの活性化が目的であれば、気軽に感謝や賞賛を伝えられるサンクスカード機能やスタンプ機能、SNS感覚でリアクションやコメントが可能な機能が充実しているツールが適しています。
業務効率化を目指すのであれば、チャット機能やファイル共有機能のほか、タスク管理やスケジュール管理機能が強みとなるでしょう。
また、ナレッジ活用を促進したい場合は、検索機能が強力で、過去のプロジェクトや業務データを簡単に検索できるツールが有効です。
企画段階で導入目的を明確にすることで、必要な機能が定まり、最適なツールを選びやすくなります。

全従業員が直感的に使える操作性か

社内SNSツールは、基本的に全従業員が利用するため、誰にとっても直感的に使える操作性であることが非常に重要です。操作が複雑なツールでは、社内SNSの持つ「手軽さ」というメリットが活かせず、結果として利用する従業員が少なくなる可能性があります。
特に、ITリテラシーが高くない従業員が多い場合は、シンプルで分かりやすい設計のツールの方が受け入れられやすいでしょう。X(旧Twitter)やLINEのような普段使い慣れているSNSに近いUI(ユーザーインターフェース)のツールであれば、従業員は迷うことなく利用を開始できます。
無料トライアルなどを活用し、実際に従業員が触ってみて、投稿やコメント、ファイル共有などの基本機能が簡単に行えるか、モバイル端末での操作性はどうかなどを重点的に確認することが推奨されます。

重要な情報を守るセキュリティ対策は万全か

社内SNSツールを選ぶ際には、重要な情報を守るためのセキュリティ対策が万全であるかを確認することが不可欠です。社内SNSでは、企業の戦略や顧客情報など、機密性の高い情報がやり取りされる可能性があるため、情報漏洩は事業に甚大な影響を及ぼしかねません。
通信やデータベースが暗号化されているか、データセンターの安全性は確保されているか、第三者機関による脆弱性診断を受けているかなど、具体的なセキュリティ機能を確認しましょう。無料のツールの中にはセキュリティに問題があるケースも存在するため、慎重な選定が必要です。
また、オンプレミス型であれば自社でより厳格なセキュリティ管理が可能ですが、クラウド型の場合でも、提供元が堅牢なセキュリティ体制を構築しているかを確認することが重要です。

既存システムと連携して業務を効率化できるか

社内SNSツールを選定する際には、現在社内で利用している既存システムや他のツールとの連携性も重要なポイントです。
既存ツールと連携できる社内SNSは、情報の散在を防ぎ、業務の効率化を促進します。
例えば、チャットツール、タスク管理ツール、カレンダー、クラウドストレージ、ビデオ会議システムなどと連携できるツールであれば、社内SNS上でプロジェクトの進捗状況を視覚的に確認したり、ファイルの共有や検索をシームレスに行うことが可能です。これにより、従業員の負担を軽減し、業務の幅を広げられるでしょう。
Microsoft365やSlack、サイボウズのkintoneなど、多くの企業で利用されているシステムとの連携機能は、ツールの利便性を高め、スムーズな浸透に繋がります。

無料トライアルで使い勝手を試せるか

社内SNSツールを導入する前に、無料トライアルを活用して使い勝手を試すことは、導入後の失敗を防ぐために非常に有効な手段です。パンフレットやウェブサイトの情報だけでは分からない、実際の使用感や操作性、従業員の反応を事前に確認できるのでおすすめです。
特に、ITリテラシーの異なる全従業員が直感的に使えるかどうかは、導入成功の重要な要素です。複数のツールで迷っている場合は、無料トライアルを提供している製品をいくつか試してみて、自社に適したツールかどうかを見極めましょう。
例えば、「NotePM」は30日間の無料トライアルを提供しており、「TUNAG」や「LINEWORKS」なども無料トライアルや無料プランを用意しているため、気軽に機能を試すことができます。


社内SNSの導入を成功に導く3つのコツ

社内SNSの導入は、ツールを導入しただけでは成功しません。
従業員が積極的に活用し、組織文化として定着させるための具体的なコツが必要です。
ここでは、導入を成功に導くための3つの運用ポイントと、トラブルを回避し、活用を促進する事例をご紹介します。

なぜ導入するのか目的を全社で共有する

社内SNSの導入を成功させるためには、なぜ導入するのか、その目的を全社で明確に共有することが不可欠です。目的が曖昧なままでは、従業員は何を投稿すれば良いか分からず、ツールが形骸化してしまう原因となります。
例えば、「社内コミュニケーションの活性化」といった抽象的な目的ではなく、「業務効率化のためにリアルタイムでの情報共有を促進する」「従業員のエンゲージメント向上を目指して、部署横断的な交流を活発にする」など、具体的な目的を設定し、全従業員に周知しましょう。これにより、従業員は社内SNSを利用する意義を理解し、主体的に活用する意識が高まります。
導入目的を共有するプロセスは、社内SNSへの参加意識を高め、活用を促進する上で重要なステップです。

経営層や管理職が積極的に利用する姿勢を見せる

社内SNSの利用を促進し、導入を成功させるためには、経営層や管理職が率先して積極的に利用する姿勢を示すことが極めて重要です。
上層部が投稿やコメント、リアクションを積極的に行うことで、従業員は社内SNSの必要性や意義を強く認識し、全社的な浸透が促進されます。
例えば、社長が日々の業務に関する「つぶやき」や写真、動画を投稿したり、従業員の投稿に「いいね!」をつけたり、コメントを返したりするだけでも、従業員のモチベーション向上に繋がります。
匿名での利用を禁止し、実名で投稿させることで、よりオープンなコミュニケーションを促すことも効果的です。
経営層や管理職が率先して活用する事例は、社内SNSが単なる情報共有ツールに留まらず、企業文化を育む場として機能することを従業員に示す良い機会となります。

投稿しやすい雰囲気を作るための運用ルールを決める

社内SNSの導入を成功させるためには、投稿しやすい雰囲気を作るための明確な運用ルールを策定することが不可欠です。ルールが曖昧だと、情報の誤用や不適切な投稿によるトラブルが発生し、従業員が投稿をためらう原因となりかねません。
例えば、利用可能な時間帯やアカウント名の表示形式、基本的な連絡は社内SNSを優先するといったルールを定めることが考えられます。また、プライベートな内容の投稿や、特定の個人への攻撃的な発言を禁止するなど、マナーに関するルールも設けるべきです。つぶやきや写真、動画の投稿、アイコンの使用、掲示板機能の活用方法など、具体的に何を発信すべきか、どのようなリアクションが推奨されるかを示すことで、従業員は安心して利用できます。
定期的にルールを見直し、企業の成長やニーズに応じた改善を行うことも、長期的な運用成功の鍵となります。


まとめ

社内SNSは、部署を超えたコミュニケーションの活性化、迅速な情報共有、業務ノウハウやナレッジの蓄積、そしてセキュリティリスクを抑えた情報管理といった多岐にわたるメリットをもたらします。
一方で、導入・運用コストの発生や、社内浸透に時間がかかる可能性といったデメリットも存在します。
導入を成功させるためには、導入目的とツールの強みが合致しているか、全従業員が直感的に使える操作性か、セキュリティ対策は万全か、既存システムと連携して業務を効率化できるか、そして無料トライアルで使い勝手を試せるかといったポイントを踏まえたツール選定が重要です。
さらに、なぜ導入するのか目的を全社で共有し、経営層や管理職が積極的に利用する姿勢を見せ、投稿しやすい雰囲気を作るための運用ルールを決めることが、社内SNSを成功に導く鍵となります。


TOPへ