臨店とは、主に多店舗展開する企業の本部社員が、店舗の運営状況を確認したり、指導やサポートを行ったりするために、直接店舗へ訪問することです。
この記事では、臨店の基本的な意味から、混同されがちな「訪店」などの類語との違い、さらには臨店が担う重要な目的や具体的なチェックポイントについて解説します。
また、臨店業務の効果を高めつつ、負担を軽減するための実践的なコツも紹介しますので、初めて臨店を担当する方は参考にしてください。
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臨店とは?本部社員が店舗の状況を確認するために訪問すること
臨店は、スーパーバイザーやエリアマネージャーといった本部社員が、担当エリア内の店舗を定期的に訪問する活動を指します。
その主な目的は、本部の方針が各店舗で正しく実行されているかを確認し、売上やサービスの品質を維持・向上させることです。
データだけでは把握しきれない現場の実態、例えばスタッフの働きぶりや顧客の反応、店舗の雰囲気などを直接見て、感じることが重要となります。
これにより、本部と店舗間の認識のズレをなくし、組織全体としての一貫した店舗運営を実現します。
「裁量臨店」や「店舗巡回」との意味の違い
臨店と似た言葉に「裁量臨店」や「店舗巡回」があります。
「裁量臨店」は特に金融機関で使われることが多く、通常の臨店よりも不正行為の防止やコンプライアンス遵守状況の確認といった、監査的な目的が強いのが特徴です。
一方、「店舗巡回」は臨店とほぼ同じ意味で使われることが多いですが、より広範囲の店舗を定期的に見て回るというニュアンスで用いられることもあります。
これらの言葉は使われる業界や企業によって定義が若干異なりますが、本部社員が店舗へ赴き、何らかの目的を持って状況を確認するという点では共通しています。
臨店が担う本部と店舗をつなぐ3つの目的
臨店は、単に店舗の状況をチェックするだけの業務ではありません。
本部と現場の店舗をつなぐ重要なコミュニケーションの機会としての役割を担っています。
臨店時には、本部の方針を正確に伝えること、現場が抱える課題を吸い上げること、そしてスタッフの意見に耳を傾けるという、主に3つの目的が存在します。
これらを意識して臨店することで、単なる視察に終わらない、建設的な店舗運営の改善活動へとつなげることが可能になります。
目的1:本部の方針や重要事項を現場に浸透させる
臨店の重要な目的の一つは、本部が決定した経営方針や販売戦略、新たなキャンペーンといった重要事項を現場のスタッフに正確に伝え、浸透させることです。
文書やメールでの通達だけでは伝わりにくい施策の背景や意図を、本部社員が直接対面で説明することにより、スタッフの理解度が深まります。
例えば飲食店チェーンで新メニューを導入する際、臨店して調理方法や提供時の注意点を直接指導することで、全店舗で均一の品質を保つことができます。
このように、本部と店舗間の認識の齟齬を防ぎ、組織として一体感のある活動を促進する役割を果たします。
目的2:店舗運営における課題や問題点を把握する
日々の売上データや報告書だけでは見えてこない、現場特有の課題や問題点を発見することも臨店の大きな目的です。
スーパーの売り場を例にとると、商品の陳列方法が顧客動線を考慮していない、バックヤードの在庫管理が煩雑になっているなど、現場を直接確認しなければ気づけない問題は少なくありません。
エリアマネージャーなどが臨店し、店舗の状況を観察したり、店長やスタッフと対話したりすることで、業務フローの非効率な点や設備の不具合といった潜在的なリスクを早期に発見し、具体的な改善策を共に検討することが可能になります。
目的3:現場スタッフの意見や要望をヒアリングする
臨店は、本部からの一方的な指示伝達の場ではなく、日々顧客と接している現場スタッフの生の声を聞くための貴重な機会でもあります。
業務マニュアルの改善点、顧客から寄せられた要望、あるいは職場環境に関する悩みなど、スタッフが抱える意見や要望をヒアリングします。
例えば、銀行などの金融機関では、窓口業務の効率化に関するアイデアや、顧客対応で困った事例などを聞き取ることがサービス向上につながります。
現場の意見を真摯に受け止め、本部の施策に反映させることで、従業員エンゲージメントを高め、より実態に即した店舗運営を実現します。
臨店時にチェックすべき4つの重要ポイント
効果的な臨店を実施するためには、漠然と店舗を訪問するのではなく、事前に明確なチェックポイントを設定しておくことが不可欠です。
これにより、評価の客観性を保ち、確認漏れを防ぐことができます。
特に「目標設定と達成状況」「接客品質」「商品管理」「クリンリネス」の4つは、業種を問わず店舗運営の根幹をなす重要なポイントです。
これらの観点から店舗の状況を多角的に評価し、具体的な改善指導につなげることが求められます。
ポイント1:店舗の目標設定と達成状況は適切か
臨店時には、まず店舗に設定された売上や利益などの目標が、商圏の特性や店舗の規模に対して適切であるかを確認します。
その上で、目標に対する進捗状況や達成度合いを店長と共に検証することが重要です。
目標が未達の場合は、その原因が客数、客単価、あるいは特定商品の不振など、どこにあるのかをデータに基づいて分析し、具体的な対策を一緒に考えます。
反対に、目標を大きく上回っている場合は、その成功要因を深掘りし、他の店舗でも応用できるノウハウとして共有できないか検討します。
単に結果を確認するだけでなく、目標達成に向けたプロセスを評価し、次につながるアクションを導き出すことが求められます。
ポイント2:接客品質やサービスレベルは維持されているか
接客品質は、顧客満足度やリピート率を左右する極めて重要な要素です。
臨店時には、スタッフの身だしなみや言葉遣い、挨拶、笑顔といった基本的な接客態度が、企業が定める基準を満たしているかを確認します。
また、顧客からの質問に対して的確に答えられているか、スムーズなレジ応対ができているかなど、オペレーションの質もチェックします。
評価は顧客の視点で行い、改善が必要な点があれば、その場で具体的なフィードバックや指導を行います。
時にはエリアマネージャー自ら手本を示すなど、現場のサービスレベルを維持・向上させるための働きかけが不可欠です。
ポイント3:商品の陳列や在庫管理は徹底されているか
商品の陳列状態は、顧客の購買意欲に直接影響を与えます。
重点商品や季節商品が、最も目立つ場所で魅力的に陳列されているか、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の基本が守られているかを確認します。
また、商品が見やすく、手に取りやすい状態にあるか、POPなどの販促物が効果的に使われているかもチェックポイントです。
同時に、バックヤードの在庫管理状況も確認し、整理整頓が行われているか、在庫データに間違いがないかを把握します。
適切な在庫管理は、欠品による販売機会の損失や、過剰在庫によるキャッシュフローの悪化を防ぐために欠かせません。
ポイント4:店舗のクリンリネス(清潔さ)は保たれているか
店舗の清潔さは、顧客に与える印象を大きく左右し、ブランドイメージにも直結します。
床や陳列棚、窓ガラスはもちろんのこと、トイレや休憩スペース、バックヤードに至るまで、店舗の隅々まで清掃が行き届いているかを確認します。
特に飲食店や食品を扱う小売店においては、クリンリネスは衛生管理の観点からも最重要項目です。
清掃の分担や手順がルール化され、それが全スタッフに徹底されているかをチェックし、不十分な点があれば改善を指導します。
常に清潔な環境を保つことが、顧客が安心して快適に過ごせる店舗づくりの基本となります。
【業界別】臨店で確認する内容の具体例
臨店における基本的なチェックポイントは多くの業界で共通していますが、業界の特性に応じて、特に重点を置いて確認すべき項目は異なります。
ここでは代表的な例として、飲食業界、小売業界、金融業界を取り上げ、それぞれの臨店でどのような点が重視されるのか、具体的な確認内容を解説します。
自社が属する業界の特徴を理解し、臨店のチェック項目を最適化することで、より効果的な店舗指導が可能になります。
飲食業界の場合:QSC(品質・サービス・清潔さ)のチェック
飲食業界の臨店で最も重視されるのが、QSC(Quality,Service,Cleanliness)です。
Q(品質)では、料理の味付けや盛り付けがマニュアル通りか、食材の鮮度管理は適切かなどを厳しくチェックします。
S(サービス)では、スタッフの接客態度、オーダーテイクや料理提供の速さ、顧客への気配りなど、サービス全般のレベルを評価します。
C(清潔さ)では、客席や厨房、トイレの衛生状態、スタッフの身だしなみなど、店舗全体のクリンリネスを確認します。
このQSCのレベルを高い水準で維持することが顧客満足度に直結するため、臨店時の最優先確認事項となります。
小売業界の場合:売場づくりや販促活動の確認
アパレルや雑貨、スーパーマーケットなどの小売業界における臨店では、売上を最大化するための売場づくりが重要なチェックポイントになります。
本部が推進するVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)が売場で適切に表現されているか、重点商品や季節商品が顧客の目に留まりやすい場所に配置されているかなどを確認します。
また、セールやキャンペーンといった販促活動が計画通りに実行されているか、POPやポスターなどの販促物が正しく設置・管理されているかも評価対象です。
競合店の動向なども踏まえながら、より魅力的な売場にするための具体的なアドバイスを行います。
金融業界の場合:コンプライアンスの遵守状況を検査
銀行や証券会社などの金融業界における臨店は、「臨店監査」や「臨店検査」とも呼ばれ、法令や社内規定を遵守しているか、すなわちコンプライアンスの確認が最重要目的です。
顧客の個人情報が厳格に管理されているか、重要書類の保管方法や管理体制に不備はないか、各種事務手続きが規定のフロー通りに行われているかなどを詳細に検査します。
不正行為や事務上のミスを未然に防ぎ、顧客の資産と信頼を守るという観点から、他の業界の臨店とは異なり、非常に厳格かつ監査的な側面が強いのが特徴です。
臨店の負担を減らし効果を高める3つのコツ
臨店は本部と店舗の双方にとって時間や労力がかかる業務です。
そのため、やり方を工夫しなければ、移動するだけで一日が終わってしまったり、形式的なチェックで終わってしまったりする可能性があります。
ここでは、臨店の効果を最大限に高めながら、業務負担を軽減するための3つの実践的なコツを紹介します。
事前の準備、日頃のコミュニケーション、テクノロジーの活用を組み合わせることで、より効率的で生産性の高い臨店を実現できます。
コツ1:事前にチェックする項目リストを作成・共有する
臨店を効率的かつ効果的に行うためには、事前に確認すべき項目を網羅したチェックリストを作成し、訪問先の店舗と共有しておくことが極めて有効です。これにより、臨店担当者は当日の確認漏れを防ぎ、客観的な基準で評価を行えます。
一方、店舗側も事前に何を見られるかが分かるため、自己点検を行ったり、必要な資料を準備したりすることができ、当日のコミュニケーションが円滑に進みます。
臨店の目的や重点項目をあらかじめ共有することで、店舗側も「監査される」という受け身の姿勢ではなく、共に店舗を良くしていくという前向きな意識で臨店に臨むことができます。
コツ2:日頃からオンラインでコミュニケーションをとっておく
臨店の効果を高めるには、訪問時だけの関係性に頼るのではなく、日頃から店舗とのコミュニケーションを密にしておくことが重要です。
ビジネスチャットツールや社内SNSなどを活用し、本部からの情報共有や、店舗からの日報提出、業務上の相談などを日常的に行うことで、信頼関係を構築します。
これにより、店舗で発生した問題や成功事例をリアルタイムで把握でき、臨店時には表面的な確認作業に時間を費やすのではなく、より本質的な課題解決や戦略の議論に集中できます。
日常的な接点を持つことで、スタッフも本音で相談しやすくなり、臨店がより有意義なものになります。
コツ3:Web会議システムなどを活用した「遠隔臨店」を取り入れる
担当店舗が広範囲に点在する場合、移動時間とコストはエリアマネージャーにとって大きな負担となります。
この課題を解決する手段として、Web会議システムや店舗に設置したカメラ映像を活用した「遠隔臨店」が注目されています。
遠隔臨店では、移動することなくリアルタイムで店舗の様子を確認し、現地のスタッフと映像・音声を通じてコミュニケーションをとることができます。
これにより、臨店の頻度を高めたり、緊急時に迅速な状況把握を行ったりすることが可能になります。
もちろん、対面でしか分からない雰囲気などもあるため、通常の臨店と遠隔臨店を目的応じて使い分けるハイブリッドな運用が効果的です。
まとめ
臨店とは、本部社員が店舗を直接訪問し、運営状況の確認や指導を行う活動であり、本部と現場の連携を強化する上で不可欠な業務です。
その目的は、本部方針の浸透、現場が抱える課題の把握、そしてスタッフからの意見聴取と多岐にわたります。
効果的な臨店のためには、売上目標の達成状況、接客品質、商品管理、クリンリネスといった明確なチェックポイントを設けることが求められます。
また、事前にチェックリストを共有する、日頃からコミュニケーションをとる、遠隔臨店を取り入れるといった工夫により、双方の負担を軽減しつつ、店舗の成長を支援する生産的な活動とすることが可能です。

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