業務用エアコンは店舗やオフィスの快適な環境を維持するために不可欠な設備ですが、定期的なクリーニングを怠ると、性能の低下や衛生上の問題を引き起こす可能性があります。
専門業者によるクリーニングは、エアコン内部に蓄積したカビやホコリを徹底的に除去し、機器本来の性能を回復させるための重要なメンテナンスです。
この記事では、業務用エアコンのクリーニングの必要性から、業者に依頼するメリット、料金相場、さらには自分でできる掃除の範囲まで、総合的に解説します。
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業務用エアコンのクリーニングはなぜ必要?放置した場合の3つのリスク
業務用エアコンの定期的なクリーニングを怠ると、店舗やオフィスの環境に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
内部に蓄積したカビやホコリは、不快な臭いや健康被害の原因となるだけでなく、エアコンの性能を著しく低下させます。
その結果、冷暖房の効きが悪くなり、快適な空間を維持できなくなるほか、余分な電力を消費して電気代が増加するリスクも生じます。
これらの問題を防ぎ、設備を長期的に安定して使用するためにも、専門的なクリーニングは不可欠です。
カビやホコリが原因で嫌な臭いや健康被害につながる
エアコンの内部は、運転時に発生する結露によって湿度が高くなりやすく、カビや雑菌が繁殖するのに最適な環境です。
ここにホコリが溜まると、それを栄養源としてカビがさらに増殖し、運転時に酸っぱいような不快な臭いを室内にまき散らす原因となります。
この臭いは、店舗やオフィスの印象を損なうだけでなく、そこで働く従業員や訪れる顧客に不快感を与えます。
さらに、空気中に放出されたカビの胞子やハウスダストは、アレルギー性鼻炎や喘息、夏型過敏性肺炎といった健康被害を引き起こすリスクも高めます。
特に、多くの人が長時間過ごす空間では衛生管理が重要であり、定期的な内部洗浄が求められます。
エアコンの効きが悪くなり快適な空間を維持できない
エアコン内部のフィルターや熱交換器にホコリや汚れがびっしりと付着すると、空気の通り道が塞がれてしまいます。
これにより、エアコンが吸い込む空気の量が減少し、熱交換の効率が大幅に低下します。
その結果、設定した温度まで室温を調整する能力が弱まり、「なかなか冷えない」「暖まらない」といった効きの悪さを感じるようになります。
特に、人の出入りが多い店舗や広いオフィスでは、エアコンの性能低下は室温のムラを発生させ、快適な空間の維持を困難にします。
顧客満足度の低下や従業員の作業効率の悪化を招く前に、クリーニングによって性能を回復させることが重要です。
消費電力が増加して電気代が高くなる
熱交換器や送風ファンがホコリや汚れで目詰まりを起こすと、エアコンは設定温度に到達させるためにより多くのエネルギーを消費するようになります。
これは、汚れが空気の流れを妨げ、熱交換の効率を悪化させることで、コンプレッサーに過剰な負荷がかかるためです。
本来であればスムーズに行われるはずの運転が、汚れによって阻害されることで、同じ設定温度を保つためにも長時間、そしてより強力に稼働し続ける必要が出てきます。
その結果、無駄な電力消費が増え、月々の電気代が意図せず高騰してしまいます。
定期的なクリーニングで内部をきれいに保つことは、ランニングコストを削減する上でも非常に効果的です。
プロに業務用エアコンクリーニングを依頼するメリット
業務用エアコンのクリーニングは、ダイキン製品など各メーカーの構造を熟知した専門業者に依頼することで、自分で行う掃除では得られない数多くのメリットがあります。
専門業者は、専用の機材と洗剤を用いて、普段は手の届かないエアコン内部の汚れまで徹底的に除去します。これにより、エアコン本来の性能が回復し、省エネ効果や空気質の改善が期待できます。
プロに任せることで、安全かつ確実に、店舗やオフィスの空調環境を最適な状態に保つことが可能です。
専門的な分解洗浄で内部の汚れを徹底的に除去できる
専門業者は、エアコンの構造に関する深い知識と経験を持ち、本体カバーやドレンパン、ファンといった部品を安全かつ正確に分解します。
家庭用の掃除では決して触れることのできないエアコンの心臓部までアクセスし、高圧洗浄機と専用のアルカリ性洗剤などを用いて、熱交換器のフィンやファンの隙間にこびりついた頑固なカビ、ホコリ、油汚れを根本から洗い流します。
これにより、汚れや臭いの原因を徹底的に除去し、新品に近い清潔な状態を取り戻すことが可能です。
普段のメンテナンスでは限界がある内部の衛生状態を、プロの技術で一新できる点が大きな利点です。
熱交換効率が改善され電気代の節約が期待できる
エアコンの電気代に大きく影響するのが、室内の空気と冷媒ガスの熱を交換する「熱交換器」の効率です。
この部分にホコリや汚れが蓄積すると、熱交換の効率が著しく低下し、設定温度に到達させるためにより多くの電力が必要となります。
プロによるクリーニングでは、高圧洗浄によってこの熱交換器の目詰まりを解消し、空気の通りをスムーズにします。
その結果、熱交換効率が本来の状態に回復し、エアコンはより少ないエネルギーで効率的に運転できるようになります。
コンプレッサーへの負荷が軽減されることで無駄な電力消費が抑えられ、電気代の節約に直結します。
清潔な空気が保たれ職場や店舗の環境が向上する
エアコン内部に蓄積されたカビやホコリ、雑菌は、運転時に空気とともに室内に放出され、アレルギーの原因や不快な臭いのもととなります。
専門業者によるクリーニングでこれらの汚染源を徹底的に除去することにより、エアコンから送り出される空気は清潔になります。
これにより、カビ臭さやホコリっぽさがなくなり、クリーンで快適な室内環境が実現します。
衛生的な空気環境は、オフィスで働く従業員の健康を守り、作業効率の向上に貢献するほか、店舗を訪れるお客様に与える印象も良くなり、顧客満足度の向上にもつながります。
業務用エアコンクリーニングの料金相場をタイプ別に紹介
業務用エアコンクリーニングの価格は、設置されているエアコンの機種によって大きく異なります。
最も一般的な「天井埋め込みタイプ」をはじめ、「天井吊り下げタイプ」や「壁掛けタイプ」、さらには床に設置する「置き型」など、それぞれの構造や分解・洗浄の難易度に応じて料金が設定されています。
また、多くの業者では2台、3台と複数台を同時に依頼することで1台あたりの料金が割引されるプランを用意しているため、全体のコストを把握するためには事前の見積もりが重要です。
ここでは、主要なタイプ別の料金相場を紹介します。
天井埋め込みタイプの料金目安
オフィスや店舗でよく見られる天井埋め込みタイプの業務用エアコンクリーニングの料金は、業者によって異なります。例えば、ダスキンでは1台あたり40,700円から提供されており、くらしのマーケットでは1台あたり18,000円から26,000円が相場とされています。その他、25,000円から40,000円程度を相場とする業者もあります。このタイプは、風の吹き出し口が4方向、2方向、1方向など複数あり、構造が複雑で分解・組み立てに手間がかかるため、他のタイプと比較して料金が高めに設定されています。
また、お掃除機能や昇降機能などが付いている場合は、追加料金が発生することが一般的です。多くの業者では、2台、3台と複数台をまとめて依頼すると割引が適用されるため、施設内に複数のエアコンが設置されている場合は、一括での依頼を検討すると総額を抑えることができます。
天井吊り下げタイプの料金目安
天井から本体が吊り下げられている天井吊り下げタイプのクリーニング料金は、1台あたり約23,000円から35,000円が目安となります。
このタイプは、学校の教室やコンビニエンスストア、比較的広い事務所などでよく利用されています。
天井埋め込みタイプよりは分解作業が容易な場合が多いですが、高所に設置されているため、作業には脚立や足場が必要となります。
設置されている天井の高さや作業環境によっては、高所作業費として追加料金がかかるケースもあります。
こちらも複数台割引が適用されることが多いので、事前に業者へ確認すると良いでしょう。
壁掛けタイプの料金目安
家庭用エアコンと同様の形状を持つ壁掛けタイプの業務用エアコンは、構造が比較的シンプルであるため、クリーニング料金も安価な傾向にあります。
料金相場は、標準的なモデルで1台あたり約10,000円から20,000円程度です。
ただし、これはフィルターの自動お掃除機能などが付いていない場合の料金であり、機能付きのモデルは内部構造が複雑なため、分解作業に手間がかかる分、5,000円から10,000円程度の追加料金が発生することがほとんどです。
小規模な事務所や店舗の個室などで使用されており、床に設置する置き型タイプのエアコンも、業者によっては壁掛けタイプに準じた料金体系で対応している場合があります。
業者による業務用エアコンクリーニングの作業手順
専門業者に業務用エアコンのクリーニングを依頼すると、どのような流れで作業が進むのでしょうか。一般的には、作業前の動作確認から始まり、周辺を汚さないための養生、部品の分解と洗浄、高圧洗浄機による内部洗浄、そして組み立てと最終確認という手順で進められます。
この一連の工程を事前に理解しておくことで、当日の作業がスムーズに進み、安心してクリーニングを任せることができます。
ここでは、標準的な作業手順を5つのステップに分けて具体的に解説します。
ステップ1:動作確認と作業場所周辺の養生
作業を開始する前に、まず専門スタッフがお客様立ち会いのもと、エアコンが正常に運転するかをリモコンで確認します。
冷房・暖房がきちんと機能するか、風量や風向きのルーバーは正常に動くか、異音や異常がないかといった点をチェックし、クリーニング前の状態を共有します。
この確認作業は、クリーニング後のトラブルを防ぐために重要です。
その後、洗浄作業中に水や洗剤が飛び散っても問題ないように、エアコンの周りにある壁や床、デスクや棚といった什器を、防水性の養生シートで丁寧に覆い保護します。
精密機器などがある場合は、特に念入りに養生を行います。
ステップ2:本体カバーやフィルターなどの部品を取り外して洗浄
養生作業が完了したら、エアコン本体の分解作業に移ります。
業務用エアコンの構造を熟知したスタッフが、化粧パネル、フィルター、ドレンパン、送風ファンといった取り外し可能な部品を、手順に沿って慎重に一つひとつ外していきます。家庭用エアコンに比べて部品点数が多く、配線も複雑なため、専門的な知識と技術が求められます。
取り外した部品は、ベランダや屋外の洗浄スペースに運び、専用の洗剤とブラシを使用して、付着したホコリやカビ、油汚れなどを丁寧に洗い流します。洗浄後の部品は、組み立てる前にしっかりと乾燥させます。
ステップ3:高圧洗浄機でエアコン内部の熱交換器やファンを洗浄
部品を取り外してむき出しになったエアコン本体の内部を洗浄します。
まず、洗浄水が周囲に飛び散らないように、エアコン全体を専用の防水カバーで覆います。
次に、熱交換器(アルミフィン)やその奥にあるファンに、カビや細菌に効果的な専用の洗浄剤をまんべんなく吹き付け、汚れを浮き上がらせます。
その後、高圧洗浄機を使用して、大量の水で洗剤と汚れを一気に洗い流していきます。
熱交換器の細かな隙間やファンの羽根の奥に詰まった頑固な汚れも、高圧の水流で徹底的に除去します。
このとき、排出される水が真っ黒になることで、内部の汚れ具合を実感できます。
ステップ4:部品を組み立てて全体の拭き上げ
エアコン内部の高圧洗浄が完了し、本体内部の水分を拭き取ったら、洗浄して乾燥させておいた各部品を元の状態に組み立てていきます。分解した時と逆の手順で、ファンやドレンパン、フィルター、化粧パネルなどを正確に取り付けていきます。
業務用エアコンは構造が複雑なため、配線の接続ミスや部品の取り付け忘れがないよう、慎重に確認しながら作業を進めます。
全ての部品の組み立てが完了したら、エアコン本体や周辺に付着した水分や汚れを、清潔な布で丁寧に拭き上げて仕上げます。この拭き上げ作業により、見た目もきれいな状態に戻ります。
ステップ5:正常に作動するか最終確認
すべての組み立てと拭き上げ作業が完了したら、最後のステップとして試運転を行います。
お客様に立ち会ってもらいながらエアコンの電源を入れ、リモコン操作で正常に作動するかを最終確認します。
冷暖房運転が問題なく行えるか、風量や風向ルーバーはスムーズに動くか、作業前にはなかった異音や振動、水漏れなどの異常が発生していないかを細かくチェックします。
問題がないことを確認できたら、周辺の養生をすべて撤去し、作業場所の清掃と片付けを行います。
お客様に最終的な状態を確認してもらい、作業完了の報告をして全工程が終了となります。
自分でできる業務用エアコンの掃除範囲と注意点
専門業者による分解洗浄は年に1回程度が目安ですが、エアコンの性能を長く維持するためには、日常的なセルフメンテナンスも効果的です。
ただし、自分で掃除できる範囲には限りがあり、無理に内部まで手を出そうとすると、かえって故障や事故を招く危険性があります。
安全かつ効果的にメンテナンスを行うためには、どこまでが自分でできる範囲で、どこからがプロに任せるべき作業なのかを正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、その境界線と注意点について解説します。
フィルターや外装パネルの清掃は自分でも可能
個人でも安全に行える業務用エアコンの掃除範囲は、主にフィルターと外観部分です。
フィルターは、室内のホコリを最初にキャッチする重要な部品であり、最も汚れが溜まりやすい場所でもあります。
取扱説明書を参照してフィルターを取り外し、掃除機で表面のホコリを吸い取るか、汚れがひどい場合は中性洗剤を使って水洗いし、陰干しで完全に乾かしてから元に戻します。
このフィルター清掃は、2ヶ月に1度が目安とされていますが、使用頻度や環境によっては1ヶ月に1度の清掃が推奨される場合もあります。特に、24時間稼働している場合や油汚れ・ヤニ汚れが気になる場合は、毎月掃除することをおすすめします。飲食店や人の出入りが多い場所では、より頻繁な掃除が必要です。
また、エアコン本体の化粧パネルや、風向を調整するルーバーなど、手が届く範囲のホコリを柔らかい布で拭き取ることも、清潔を保つ上で有効です。
内部の分解洗浄は故障のリスクがあるため専門業者に任せよう
フィルターの奥にある熱交換器(アルミフィン)や送風ファン、結露水を受けるドレンパンといった内部部品の洗浄は、専門的な知識と技術が必要です。
業務用エアコンは家庭用に比べて構造が非常に複雑で、内部には多くの電子部品や配線が密集しています。知識がないまま無理に分解しようとすると、部品を破損させたり、配線を断線させたりする恐れがあります。
また、誤った方法で洗浄を行うと、電装部分に水がかかってショートし、漏電や火災の原因になることも考えられます。深刻な故障や事故のリスクを避けるためにも、内部の分解洗浄は必ず専門業者に依頼しましょう。
まとめ
業務用エアコンのクリーニングは、快適で衛生的な室内環境を維持し、設備の性能を最大限に引き出すために不可欠なメンテナンスです。
内部に蓄積したカビやホコリを放置すると、悪臭や健康被害、冷暖房能力の低下、さらには電気代の増加といった様々な問題を引き起こします。
フィルターや外装パネルの清掃といった日常的な手入れは自分でも行えますが、内部の熱交換器やファンなどの分解洗浄は、故障や事故のリスクを伴うため専門業者に依頼することが必須です。
料金相場や作業内容を理解した上で、定期的なプロによるクリーニングを計画的に実施し、店舗やオフィスの空調環境を常に最適な状態に保つことが求められます。