adobeIllustratorで印刷用のデータを作成する際、トンボ(トリムマーク)の設定は避けては通れない重要な工程です。
この記事では、イラレ初心者の方に向けて、トンボの基本的な作り方から、簡単な付け方までを分かりやすく解説します。
印刷会社へ正しくデータを入稿するためには、トンボの付け方を正確に理解し、適切にデータへつける必要があります。
この記事を読めば、Illustratorにおけるトンボの作り方と設定方法の基本を習得できます。

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Illustratorのトンボ(トリムマーク)とは?印刷における役割を解説
Illustratorにおけるトンボ(トリムマーク)とは、印刷物を断裁する際の位置を示すための重要な目印です。
このマークがあることで、印刷後にどの位置でカットすればよいかが明確になります。
印刷用データを作成する上で、トンボは不可欠な要素です。
トンボの種類にはいくつかありますが、日本では主に「日本式トンボ」が使用されます。
これは、仕上がりサイズを示す内トンボ、塗り足し領域を示す外トンボ、そして印刷物の中心を示すセンタートンボで構成されています。
これらのマークによって、正確な断裁が可能になります。
Illustratorでトンボ(トリムマーク)を作成する基本的な手順
Illustratorでトンボ(トリムマーク)を作成する手順は、印刷物の制作において基本となる作業です。
名刺やチラシ、ポスターなど、A4サイズやA3、B4といった様々なサイズのデータ制作で共通して利用できます。
印刷会社の提供するテンプレートを使用せずにゼロからデータを作成する場合でも、トンボの出し方は簡単です。
Illustratorの標準機能を使えば、誰でも正確なトンボの作成が可能です。
この基本的な制作手順は、CS2のような古いバージョンでも応用できるため、覚えておくと便利です。
ステップ1:仕上がりサイズの四角形オブジェクトを用意する
トンボを作成するための最初のステップは、仕上がりサイズと同じ寸法の四角形オブジェクトを用意することです。
まず、ツールパネルから「長方形ツール」を選択し、アートボード上でクリックします。
表示されたダイアログボックスに、作成したい印刷物の幅と高さを正確に入力して、仕上がりサイズのオブジェクトを作成します。
このとき、アートボードのサイズも仕上がりサイズに合わせておくと、全体のレイアウトが把握しやすくなります。
この作成した長方形オブジェクトが、トンボを生成するための基準となるため、正確なサイズで作成することが最も重要です。
ステップ2:「オブジェクト」メニューからトリムマークを作成する
仕上がりサイズの四角形オブジェクトを用意したら、次はそのオブジェクトにトリムマークを作成します。
まず、先ほど作成した長方形オブジェクトを選択ツールで選択した状態にします。
次に、画面上部のメニューバーからオブジェクトをクリックし、ドロップダウンメニューの中からトリムマークを作成を選択します。
この操作を行うだけで、選択していたオブジェクトの四隅と各辺の中央に、自動的にトンボが生成されます。
この方法は、Illustratorでトンボを作成する最も基本的な手順であり、誰でも簡単かつ正確にオブジェクトに対してトンボを配置できます。
作成されたトンボはパスデータとして扱われます。
ステップ3:「効果」メニューからトンボを追加する方法
もう一つのトンボ作成方法として「効果」メニューを利用する手順があります。
この方法ではオブジェクト自体をパスに変換するのではなくアピアランスとしてトンボを追加します。
まず仕上がりサイズのオブジェクトを選択した状態でメニューバーの「効果」から「トリムマーク」を選択します。
するとオブジェクトの周りにトンボが表示されます。
この方法の最大の利点は後からオブジェクトのサイズを変更するとトンボも自動的にその変形に追従して位置やサイズが調整される点です。
デザインのサイズを後から変更する可能性がある場合や非破壊で編集したい場合にこの方法でトンボを適用すると柔軟なデータ調整が可能になります。
印刷データに必須のガイド線(塗り足し・文字切れ)を作成する方法
印刷データを作成する際は、トンボと合わせて「塗り足し」と「文字切れ」を考慮したガイド線が必須です。
塗り足し(裁ち落とし)とは、断裁時のズレで紙の地色が出ないように、仕上がりサイズの外側まで背景や画像をはみ出しさせておく領域のことです。
一般的に、塗り足しは仕上がりサイズの外側に上下左右それぞれ3mm設けますが、印刷物によっては10mm必要な場合もあります。
逆に、文字やロゴなど重要な要素は、仕上がりサイズの内側に配置する必要があり、このためのガイドも作成します。
この内と外のガイドが、品質の高い印刷物を作るための基本となります。
塗り足しと文字切れのガイドが必要な理由
印刷会社へ入稿データを作成する際、塗り足しと文字切れ防止のガイドは極めて重要です。
印刷物は通常、大きな用紙に複数のデータを配置して印刷し、その後で指定されたサイズに断裁します。
この断裁工程では、機械の特性上、どうしてもコンマ数ミリ単位のズレが生じる可能性があります。
もしデザインが仕上がりサイズぴったりに作られていると、断裁が少し内側に入った場合に絵柄が切れたり、外側にずれた場合に紙の白い部分が見えたりします。
これを防ぐために、あらかじめ仕上がりサイズの外側まで色や写真などを広げておく「塗り足し」が必要です。
同様に、切れては困る文字やロゴは仕上がりより内側に配置する必要があるため、これらのガイドを設けた上で入稿データを作成します。
オブジェクトのパスからガイド線を作成する手順
塗り足しや文字切れ防止のガイドラインは、「パスのオフセット」機能を使うと効率的に作成できます。
まず、基準となる仕上がりサイズのオブジェクトを選択します。
次に、メニューバーの「オブジェクト」から「パス」→「パスのオフセット」を選択してください。
ダイアログボックスが表示されたら、「オフセット」の欄に数値を入力します。
塗り足し用の外側ガイドを作成する場合は「3mm」のように正の値を、文字切れ防止用の内側ガイドを作成する際は「-3mm」のように負の値を入力し、OKをクリックします。
これで元のオブジェクトから指定した距離だけ離れた位置に新しいパスが作成されます。
最後に、作成したパスを選択した状態で右クリックし、「ガイドを作成」を選ぶと、ロックされたガイド線に変換できます。
PDF形式で入稿する場合のトンボと裁ち落とし設定
Illustratorで作成したデータを印刷会社に入稿する際、PDF形式での入稿が広く推奨されています。
PDF入稿のメリットは、データ内にトンボや裁ち落としの設定情報を含めることができ、環境による表示の差異が起きにくい点にあります。
Illustratorの保存機能を使えば、PDF作成時に必要な設定を簡単に行うことが可能です。
正しい手順でトンボと裁ち落としを設定したPDFを作成することで、印刷会社でのデータチェックがスムーズに進み、意図通りの印刷結果を得やすくなります。
PDF入稿は、確実なデータ受け渡しのための重要な手段です。
PDF入稿では裁ち落とし設定が重要
PDF形式でデータを入稿する際は、IllustratorのPDF保存オプションにある裁ち落とし設定が非常に重要です。
アートボード上に手動でトンボを作成する方法もありますが、データ上にトンボのオブジェクトがない状態でも、PDF保存時に自動で付与する機能の利用が推奨されます。
なぜなら、この機能を使えば裁ち落とし領域を正確にPDFへ含めることができるからです。
手動で作成したトンボだけでは、塗り足し部分がデータとして認識されず、断裁時に紙の地色が見えてしまうトラブルの原因となります。
そのため、アートボード上にはトンボがない状態にしておき、PDF保存時にトンボと裁ち落としの両方を設定するのが、最も確実な方法です。
PDF保存時に裁ち落としの数値を設定する手順
IllustratorからPDFを保存する際、トンボと裁ち落としを設定する手順は以下の通りです。
まず、「ファイル」メニューから「別名で保存」を選び、ファイル形式に「AdobePDF」を指定して「保存」をクリックします。
「AdobePDFを保存」のダイアログが開いたら、左のメニューから「トンボと裁ち落とし」を選択します。
「トンボ」の項目で「トンボ」にチェックを入れると、日本式のトンボが追加されます。
続いて、その下にある「裁ち落とし」の項目で、天地左右の入力欄すべてに「3mm」など、指定された数値を入力します。
これにより、仕上がりサイズの外側に塗り足し領域が設定されます。
すべての設定が完了したら「PDFを保存」をクリックして、入稿用データの作成は完了です。
Illustratorで作ったトンボが消せない?解除・削除する方法
Illustratorで作業中に、作成したトンボが消せない、あるいは選択できない状況に陥ることがあります。
このような問題は、トンボの作成方法によって対処法が異なるために起こります。
トンボの削除や解除ができない原因は、主に「オブジェクト」として作成されたか、「効果」として適用されたかの違いにあります。
データの修正や整理の過程で不要になったトンボを適切に削除するためには、それぞれの作成方法に応じた編集手順を理解しておくことが必要です。
正しい方法を知ることで、意図しないトンボがデータに残ることを防げます。
「オブジェクト」から作成したトンボの削除手順
オブジェクトメニューのトリムマークを作成機能で生成したトンボは独立したパスの集合体として扱われます。
これを削除するにはダイレクト選択ツール白い矢印のカーソルを使いトンボの線の一部をクリックして選択しキーボードのDeleteキーを押します。
もしトンボが選択できない場合はいくつかの原因が考えられます。
まず該当のトンボが含まれるレイヤーまたはトンボ自体がロックされていないか確認しましょう。
レイヤーパネルを見て鍵マークが付いていればクリックしてロックを解除します。
それでも選択できない場合は他のオブジェクトとグループ化されている可能性があるのでオブジェクトを選択してグループを解除するかグループ選択ツールを使ってトンボだけを選択してみてください。
「効果」で適用したトンボを非表示にする手順
効果メニューから適用したトンボは、オブジェクトの見た目として追加されているため、直接選択して削除することはできません。
このトンボを削除または非表示にするには、アピアランスパネルを使用します。
まず、トンボが適用されているオブジェクトを選択します。
次に、ウィンドウメニューからアピアランスを選択してパネルを表示させます。
パネル内にトリムマークという項目があるので、これを削除する場合は選択してゴミ箱アイコンをクリックします。
一時的にトンボを非表示にしたいだけであれば、トリムマーク項目の左側にある目のアイコンをクリックして表示をオフに切り替えることができます。
作成したトンボを印刷するには?プリント設定のポイント
Illustratorで作成したトンボを、社内確認などのためにプリンターで印刷したい場合、いくつかの設定に注意が必要です。
通常の設定のまま印刷すると、トンボがアートボードの外側にあるため、デザイン部分しか印刷されないことがあります。
作成したトンボも印刷するには、まず「ファイル」メニューから「プリント」を選択します。
表示されたプリント設定のダイアログで、左側のメニューから「トンボと裁ち落とし」を選びます。
「トンボ」セクションにある「トンボ」の項目にチェックを入れることで、印刷時にトンボが付加されます。
データ上にすでにトンボが存在し、それが印刷されない場合は、アートボード自体をトンボが収まるサイズに拡大するか、プリンターの用紙設定をデータサイズより大きいものに変更し、トンボ全体が印刷範囲に含まれるように調整する必要があります。
イラレより操作性が優れたCanvaを使うメリット
Canvaは、直感的な操作でデザインを作成できるツールであり、Illustratorと比較してトンボの設定や操作性に優位性があります。
Canvaでは、印刷用にデザインをダウンロードする際に、自動でトンボと塗り足しを設定してくれる機能があります。
これにより、複雑な設定をすることなく、簡単に印刷に適したデータを準備できます。Illustratorのように手動でトンボを作成したり、パスのオフセットを設定したりする必要がないため、デザイン初心者でも迷うことなく印刷用データを作成できる点が大きなメリットです。
まとめ
Illustratorでトンボを扱う際は、いくつかの重要な注意点があります。
トンボを作成した後は、その位置を誤って移動させたり、コピーして二重に配置したりしないようにしましょう。
トンボの線の色には、CMYK全てが100%の「レジストレーション」を使用し、線幅は0.3pt程度が一般的です。
特色印刷の場合は、トンボの色に特色が混ざらないように設定します。
また、トンボは入稿直前までアウトライン化せず、編集可能な状態を保ちます。
アートボード外に配置したトンボやオブジェクトは、保存設定によってはデータに含まれない場合があるため注意が必要です。
複製や移動で位置がずれると断裁の基準が狂うため、トンボは正確に管理することが求められます。

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