入退室管理システムとは、オフィスや工場など特定の施設・区画への人の出入りを制御・記録する仕組みです。
本記事では、この入退室管理システムの基本的な概要から、導入のメリット、具体的な価格の相場、そして自社に合ったおすすめの製品を比較・選定するためのポイントまでを網羅的に解説します。
防犯・監視、見守りカメラにおすすめのsafieの詳しい商品情報やお申込みはこちら
▶ビズらく safie
そもそも入退室管理システムとは?
入退室管理システムとは、ICカードや生体認証といった多様な認証方法を用いて、許可された人物のみが特定のエリアへ出入りできるように制御し、その履歴を記録する仕組みです。
誰がいつどこに出入りしたかを正確にデータとして管理できる機能を持っており、物理的な鍵では実現が難しい高度なセキュリティと管理体制を構築します。
従来の物理的な鍵管理が抱える課題
従来の物理的な鍵を用いた管理方法には多くの課題が存在します。
鍵の紛失や盗難が発生した場合、セキュリティリスクを回避するためにシリンダーごと交換する必要があり、多大なコストと手間がかかります。
また、従業員の入退社や部署異動の都度、鍵の複製や受け渡し、返却管理といった煩雑な業務が発生し、管理者の負担が増大します。
さらに、誰がいつ鍵を使用したのか正確な履歴を追うことが困難なため、内部不正の抑止やインシデント発生後の原因究明が難しいという問題も抱えています。
入退室管理システムが持つ基本的な役割
入退室管理システムの基本的な役割は、厳格なセキュリティの確保と、入退室ログの正確な記録という二つの側面に集約されます。
第一に、あらかじめ登録・許可された人物以外の立ち入りを物理的に制限し、部外者の侵入を防ぐことで、情報資産や物的資産を保護します。
第二に、「誰が」「いつ」「どのドアを」通過したかの履歴(ログ)を自動的にデータとして保存します。
このログは、不正行為やトラブルが発生した際の追跡調査に活用できるだけでなく、勤怠管理システムと連携させることで、客観的な労働時間の把握にも役立ちます。
入退室管理システムを導入する5つのメリット
入退室管理システムの導入は、セキュリティ強化にとどまらず、企業経営に多岐にわたるメリットをもたらします。
部外者の侵入防止や内部不正の抑止はもちろん、物理的な鍵の管理業務から解放されることによる業務効率化も大きな利点です。
さらに、勤怠管理の精度向上や、ISMS認証取得支援による対外的な信頼性向上など、そのメリットは組織全体に及びます。
部外者の不正侵入リスクを低減しセキュリティを高める
入退室管理システムは、認証された権限者のみに入室を許可するため、部外者の不正な侵入リスクを大幅に低減させ、セキュアな環境を構築します。
より高度なセキュリティ対策として、一人の認証で他者が便乗して入室する「共連れ」を検知・警告する共連れ防止機能や、入室記録がなければ退室できないように制御するアンチパスバック機能などを搭載したシステムも存在します。
これらの機能を活用することで、データセンターやサーバールーム、機密情報を扱う区画など、特に高いセキュリティレベルが求められるエリアの安全性を確保します。
内部関係者による不正行為や情報漏洩を抑制する
入退室管理システムは、全ての入退室がログとして記録されるため、従業員に対する心理的な抑止力として機能し、内部関係者による不正行為や情報漏洩のリスクを抑制します。
役職や部署に応じて「誰がどの部屋に入れるか」というアクセス権限を柔軟に設定でき、必要最小限の権限のみを付与する原則(最小権限の原則)を徹底できます。
万が一、情報漏洩などのインシデントが発生した場合でも、保存された入退室ログを調査することで、特定の時間帯にそのエリアに立ち入った人物を迅速に特定し、原因究明をスムーズに進めることが可能です。
鍵の貸し借りや管理の手間を大幅に削減できる
物理的な鍵の管理に伴う業務は、入退室管理システムの導入によって大幅に削減されます。
従業員の入退社や人事異動に伴う鍵の受け渡しや回収、管理台帳の更新といった手間がなくなり、管理者の負担を大きく軽減します。
アクセス権限の付与や剥奪は、管理用のソフトウェア上で簡単に行え、即座に反映させることが可能です。
特に後付け型のスマートロックなどを活用すれば、スマートフォンが鍵の代わりとなり、物理的なカードの発行や管理すら不要になるケースもあります。
鍵の紛失時も、システム上で該当者の権限を無効化するだけで対応が完了します。
正確な入退室記録で勤怠管理を効率化する
多くの入退室管理システムは、勤怠管理システムとの連携機能を備えています。
オフィスのエントランスに設置したリーダーを通過した最初の時刻を出勤、最後の時刻を退勤として自動で記録することにより、勤怠打刻の手間を省き、業務を効率化します。
タイムカードの押し忘れや代理打刻といった不正を防ぎ、客観的かつ正確な労働時間の把握が実現します。
これにより、従業員は日々の打刻作業から解放され、人事・総務担当者は勤怠データの集計や修正作業にかかる時間を削減できます。
正確な勤怠記録は、法令遵守の観点からも重要です。
ISMS認証など対外的な信頼性の向上につながる
入退室管理システムを導入し、物理的なセキュリティ対策を適切に講じていることは、企業の信頼性を対外的に示す上で大きなアピールポイントとなります。
特に、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証やプライバシーマーク(Pマーク)を取得する際には、事業所の物理的なアクセス管理が審査項目に含まれており、システムの導入が有利に働く場合があります。
厳格なセキュリティ体制を構築している会社であると示すことで、取引先や顧客からの信頼を獲得しやすくなり、新たなビジネス機会の創出にも貢献する可能性があります。
入退室管理システムの主な認証方法の種類
入退室管理システムには多種多様な認証方法があり、それぞれセキュリティレベル、利便性、コストが異なります。
代表的な種類としては、指紋や顔といった身体的特徴を利用する生体認証、社員証や交通系カードを用いるICカード認証、数字の組み合わせを入力する暗証番号認証などが挙げられます。
近年ではスマートフォンアプリを利用する手軽な方法も普及しており、設置場所の重要度や利用者の特性に応じて最適な種類を選択します。
生体認証(顔・指紋など)で高いセキュリティを実現
生体認証は、指紋・顔・静脈といった個人の身体的特徴を利用して本人を特定する認証方式です。
指紋認証や顔認証が広く採用されており、本人以外のなりすましが極めて困難なため、非常に高いセキュリティレベルを確保できます。
ICカードのように紛失、盗難、貸与といったリスクがなく、物理的な鍵を持ち歩く必要がない点が大きな利点です。
特に顔認証は、認証装置に触れることなくハンズフリーで通過できるため、衛生面や利便性にも優れています。
認証時に撮影された顔画像データをログとともに保存するシステムもあり、サーバールームなど最高レベルのセキュリティが求められる場所に適しています。
ICカード(社員証・交通系カードなど)で手軽に認証
ICカード認証は、専用リーダーにICカードをかざして解錠する、最も普及している認証方法の一つです。
FeliCaなどの規格に対応したシステムであれば、既存の社員証や普段利用している交通系ICカードを登録して鍵として利用できるため、従業員は余分なカードを持つ必要がなく、手軽に導入できます。
生体認証と比較して導入コストが安価な傾向にあり、多くのオフィスで採用されています。
ただし、カード自体の紛失や盗難、社員間での貸し借りによるなりすましのリスクが潜在するため、紛失時の迅速な登録抹消など、運用ルールの整備が重要になります。
暗証番号の入力でカードレス運用が可能
暗証番号認証は、ドアに設置されたテンキーやタブレット端末の画面に、事前に設定した4桁から8桁程度の数字の組み合わせ(パスコード)を入力して解錠する方法です。
ICカードやスマートフォンといった物理的な媒体が一切不要なため、完全なカードレス運用を実現でき、鍵の発行や管理にかかるコストや手間を削減できます。
しかし、入力時の盗み見(ショルダーハッキング)や、暗証番号の漏洩による不正侵入のリスクには注意が必要です。
セキュリティを確保するためには、定期的な番号変更を徹底したり、ICカード認証など他の認証方式と組み合わせたりする運用が推奨されます。
スマートフォンアプリで合鍵の発行も簡単に
専用のアプリをインストールしたスマホを利用して認証を行う方法も普及が進んでいます。
BluetoothやNFCといった通信技術を用いて、アプリを操作したりスマホをリーダーにかざしたりすることでドアを解錠します。
従業員が日常的に携帯しているスマホを鍵として使えるため利便性が高く、管理者はWebの管理画面から遠隔で合鍵(アクセス権限)を時間単位で発行・失効させることが可能です。
来訪者や一時的な作業者に対して、有効期限付きの鍵を簡単に発行できるなど、柔軟な運用が実現します。
ただし、スマホの充電切れや故障時には入室できなくなるため、代替手段の検討も必要です。
設置工事は必要?導入方法の3つのパターン
入退室管理システムの導入方法は、大掛かりな設置工事が必要なものから不要なものまで様々で、大きく3つのパターンに分けられます。
また、システムの構成として、自社でサーバーを管理するオンプレミス(オンプレ)型、インターネットを介してサービスを利用するクラウド型、単独で動作するスタンドアロン型などがあり、導入方法と組み合わせて選択します。
クラウド型のサービスが増えており、多くの企業で利用されています。
【工事不要】現在のドアに後付けで設置するタイプ
現在のドアの内側にあるサムターン(つまみ)の上から、両面テープなどで装置本体を貼り付けて設置するタイプです。
スマートロックと呼ばれる製品に多く見られ、配線工事などが不要なため、簡易かつ迅速に導入できます。
賃貸オフィスで原状回復義務がある場合や、特定の部屋からスモールスタートしたい場合に最適です。
導入コストを安く抑えられるメリットがある一方、物理的な強度は他のタイプに劣る可能性があるため、設置場所のセキュリティ要件を考慮する必要があります。
電池で駆動する製品が多いため、定期的な電池交換などのメンテナンスが求められます。
【工事必要】既存の電気錠や自動ドアに連携させるタイプ
ビルに元々設置されている電気錠や自動ドア、通用口のオートロックなどのシステムに、新しい認証リーダーや制御盤を接続して入退室管理を実現するタイプです。
ドア自体を交換する必要はありませんが、認証装置と既存の制御盤などをつなぐための配線工事が発生します。
既存設備との互換性の確認が必須であり、専門業者による施工が一般的です。
複数の扉を一元的に管理するような、中規模から大規模のオフィスや施設に適しています。
後付けタイプに比べて堅牢なセキュリティを構築できますが、その分、初期費用は高くなる傾向があります。
【工事必要】ドアの錠前自体を交換するタイプ
ドアに付いている既存の錠前(シリンダーやドアノブ)を一度取り外し、認証機能と電気的な施解錠機能が一体となった錠前にまるごと交換する設置方法です。
このタイプは、ドアの美観を損なわずにシステムを導入でき、物理的な強度も非常に高い点がメリットです。
錠前の交換作業に加え、多くの場合で電源を確保するための配線工事も必要となるため、専門業者による大掛かりな工事が伴います。
オフィスの新設や移転、リニューアルといったタイミングでの導入に適しており、初期費用は高額になりますが、長期的で安定した運用が可能です。
気になる価格は?入退室管理システムの費用相場
入退室管理システムの導入にかかる費用は、選択する製品の機能、認証方法、管理するドアの数、設置工事の有無によって大きく変動します。
全体の費用は、機器購入や工事にかかる初期費用と、システム利用料や保守料などの月額料金で構成されるため、両方の相場を把握し、トータルコストで比較検討することが重要です。
導入時にかかる初期費用の目安と内訳
初期費用は、カードリーダーや電気錠、制御装置といった「機器代金」と、それらの設置や配線にかかる「工事費」が主な内訳です。
工事不要で後付けできるスマートロックタイプであれば、機器代金の数万円程度からと比較的安価に導入が可能です。
一方で、配線工事を伴うシステムを複数のドアに設置する場合は、1ドアあたり15万円~50万円程度が目安となり、規模によっては総額で数百万円になることもあります。
クラウド型サービスの中には、機器をレンタルにすることで初期費用を無料または安い価格に抑えるプランを用意している場合もあります。
運用にかかる月額料金の価格帯
運用にかかる月額料金は、クラウド型システムのサービス利用料や機器のリース料、保守サポート費用などが中心です。
クラウド型の場合、管理するドアの数やユーザー数に応じた料金体系が一般的で、小規模なプランであれば月額数千円から、大規模になると数万円以上となります。
オンプレミス型は月額費用が発生しないことが多いですが、サーバーの維持費や故障時の修理費用、法定耐用年数を考慮した将来の機器更新費用などを別途見積もっておく必要があります。
初期費用だけでなく、長期的な運用コストを含めて総額を比較することが肝心です。
失敗しない!自社に合った入退室管理システムの選び方
自社に最適な入退室管理システムを選定するためには、単に人気ランキングや市場シェアを参考にするだけでは不十分です。
まず「何のために導入するのか」という目的を明確にし、管理したい扉の数や利用人数といった規模感を把握します。
その上で、セキュリティ要件、既存システムとの連携性、予算、そして万が一の際のサポート体制などを多角的に比較検討し、自社の課題解決に最も貢献する製品を選ぶ必要があります。
導入目的(セキュリティ強化・業務効率化など)を明確にする
システム選定の第一歩は、導入目的を具体化することです。
例えば、「特定の機密情報保管室へのアクセスを厳格に制限したい」というセキュリティ強化が主目的か、「全社員の鍵管理の手間をなくし、勤怠管理も自動化したい」という業務効率化が目的かによって、最適な製品や機能は異なります。
受付の無人化や来訪者管理の効率化といった、より具体的な運用シーンを想定することも有効です。
この目的が曖昧なままだと、導入後に機能が不足していたり、逆にオーバースペックで無駄なコストが発生したりする事態を招きかねません。
管理する扉の数や利用人数などの規模で選ぶ
管理対象となる扉の数や、システムを利用する従業員・スタッフの人数は、選ぶべきシステムのタイプを決定する重要な要素です。
1〜2箇所の扉を管理する小規模なケースでは、工事不要の後付け型や、ネットワークに接続しないスタンドアロン型の製品がコストを抑えやすく適しています。
一方、複数の拠点にまたがる多数の扉を一元管理したい大規模なケースでは、拡張性に優れたクラウド型やオンプレミス型のシステムが選択肢となります。
将来的にオフィスを増床したり、従業員が増えたりする可能性も考慮し、事業規模の拡大に柔軟に対応できるシステムを選定します。
勤怠管理など他のシステムと連携できるか確認する
入退室管理システムの価値を最大化するためには、他の社内システムとの連携が鍵となります。
特に勤怠管理システムとの連携は、入退室時刻を自動で打刻データとして反映できるため、業務効率化の効果が非常に大きいです。
自社で既に利用している勤怠管理システムや給与計算ソフト、人事管理システムがある場合は、それらとのAPI連携が可能かどうかを必ず事前に確認します。
ほかにも、監視カメラシステムと連携して入退室時の映像を記録したり、ビル管理システムと連携して空調や照明を制御したりできる製品もあり、自社の運用に合った連携機能を持つシステムを選びます。
トラブル発生時のサポート体制は充実しているか確認する
入退室管理システムは企業のセキュリティを担う基幹システムであるため、故障や不具合が発生した際に迅速に対応してくれるサポート体制の充実は不可欠です。
「ドアが開かない」「管理画面にアクセスできない」といったトラブル時に、すぐに相談できる窓口があるかを確認します。
サポートの受付時間(24時間365日か平日日中のみか)、連絡手段(電話、メール等)、対応の速さなどをメーカーや販売代理店ごとに比較検討します。
ハードウェア故障時の代替機提供や、現地での保守対応の有無なども重要な確認ポイントであり、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが長期的な安心運用につながります。
セキュリティ対策を強化するには
入退室管理システムは物理セキュリティの重要な要素ですが、万全を期すためには他のソリューションと組み合わせる多層的な防御が効果的です。
例えば、監視カメラを併設することで、誰が入退室したかのログデータと実際の映像を結びつけて確認でき、共連れなどの不正行為の抑止と証拠記録に役立ちます。
また、警備会社のオンラインセキュリティサービスと連携させれば、不正な開扉やこじ開けといった異常を検知した際に、自動で通報し警備員が駆けつける体制を構築することも可能です。
システム的な対策に加え、従業員へのセキュリティ教育を定期的に行い、ルール遵守の意識を高めることも欠かせません。
おすすめの防犯カメラSafieとは
Safie(セーフィー)は、高画質で安定性の高いクラウド録画型防犯カメラサービスです。
カメラ本体とインターネット環境があればすぐに利用を開始でき、映像データはクラウド上に安全に保存されるため、レコーダーの設置やメンテナンスが不要です。
パソコンやスマートフォンからいつでもどこでもライブ映像や録画映像を確認できるため、複数拠点の状況を一元的に把握するのに便利です。
動体検知や音声検知によるアラート機能も備えています。
入退室管理システムと組み合わせることで、入退室ログと連動した映像をピンポイントで確認できるようになり、セキュリティレベルを飛躍的に向上させることが可能です。
まとめ
入退室管理システムは、セキュリティの強化と業務効率化を同時に実現する上で極めて有効なツールです。
工事不要で手軽に導入できるAkerunのようなスマートロックから、セコム、クマヒラ、アート、日立ビルシステムなどが提供するビル全体のセキュリティと連携する本格的なシステム、NECやトライが手掛ける総合的なソリューションまで、その選択肢は多岐にわたります。
自社の導入目的、管理規模、予算などを明確にした上で、認証方法や拡張性、サポート体制を比較検討し、最適な製品を選定することが導入成功の鍵となります。
物理鍵の課題を解決し、企業の資産と信用の保護に貢献します。

Safie(セーフィー)
防犯カメラはクラウド録画シェアNo.1(※)
Safie(セーフィー)で。
面倒な工事や設定なしで、カメラが届いて5分で使えます。
初月無料でレコーダーなども不要。手軽にスタートできます。
※テクノ・システム・リサーチ社調べ
「ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査(2022)」より、エンジン別カメラ登録台数ベースのシェア(56.4%)
代理店届出番号:C2220508