セルフレジの普及に伴い、万引きの件数が増えたと指摘されています。
店舗の省人化や顧客の利便性向上に貢献する一方、新たな犯罪の温床となるリスクもはらんでいます。
この記事では、なぜセルフレジで万引きが増えたのか、その理由と具体的な手口を解き明かし、店舗側が実施できる有効な対策について網羅的に解説します。
正確な件数の把握は難しいものの、被害を最小限に抑えるための対策は不可欠です。
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セルフレジの導入で万引き被害は増加しているのか?
セルフレジを導入した店舗で万引き被害が多発しているという声は多いです。
公式な統計データは限られていますが、従来の有人レジと比較して被害額や発生件数が増える傾向にあるとされています。
特に、高額な商品を狙った万引きの割合が増加するケースもあり、店舗経営における深刻な課題となっています。
顧客自身が会計を行うシステムが悪用され、万引きが以前よりも容易になったと感じる犯罪者が増えている可能性が考えられます。
なぜセルフレジでの万引きが増加するのか?3つの理由
セルフレジは利便性が高い反面、構造的に万引きを誘発しやすい環境を生み出す側面があります。
利用者が自身で商品をスキャンするため、店員の目が届きにくく、意図的な不正や操作ミスを装った犯行が容易になります。
これにより、万引きに対する心理的なハードルが下がりやすい状況が生まれます。
また、後日逮捕される可能性が低いという誤った認識が広まっていることも、犯行を助長する一因と考えられます。
意図しないスキャン漏れが起こりやすいため
セルフレジは顧客自身がスキャン作業を行うため、操作ミスが発生しやすい環境です。
例えば、商品のバーコードがうまく読み取れなかったり、多数の商品を処理する中でスキャンしたと勘違いしたりするケースが考えられます。
このような「うっかり万引き」は、故意の犯行との見分けがつきにくいという問題があります。
店舗側が窃盗を疑っても、顧客からは「ミスだった」と主張されやすく、これが悪意のある万引き犯にとって都合の良い言い訳として利用されることがあります。
結果として窃盗の意図を立証することが困難になり、一方で本当にミスをした顧客が窃盗犯と疑われる冤罪のリスクも生じます。
店員の目が届きにくく心理的なハードルが下がるため
有人レジでは店員と顧客が必ず対面するため、常に見られているという意識が万引きの抑止力として機能します。
しかし、セルフレジでは店員の監視が広範囲に分散し、個々の顧客への注意が散漫になりがちです。
特にレジの台数が多かったり店内が混雑したりすると、監視の目はさらに行き届きにくくなります。
この状況は、万引きを企む者にとって「見られていない」という安心感を与え、犯行への心理的なハードルを著しく低下させます。
顧客が会計の主導権を握るシステムが、かえって不正行為の機会を提供してしまっている側面があり、店員の存在感が薄れることで規範意識が低下し、安易な犯行に及びやすくなります。
後日逮捕の可能性が低いという誤解が広まっているため
セルフレジでの万引きはその場で発覚しなければ逃げ切れ、後日逮捕される可能性は低いという誤解が広まっています。
しかし、これは全くの事実誤認です。
多くの店舗では高解像度の防犯カメラが複数設置されており、犯行の瞬間だけでなく入店から退店までの一部始終が記録されています。
警察は、店舗から被害届が提出されればこれらの映像を証拠として捜査を開始します。
特に被害額が大きい場合や常習性が見られるケースでは、警察は後日捜査によって犯人を特定し、逮捕に至ることは決して少なくありません。
軽い気持ちで行った行為が、警察の介入を招き逮捕という重大な結果につながるリスクは十分にあります。
セルフレジを悪用した万引きの代表的な手口
セルフレジを悪用した万引きの手口は巧妙化しており、その代表例を把握することが対策の第一歩となります。
カートの下に商品を隠したり、エコバッグや自身の袋へスキャンせずに入れたりする手口は、コンビニやスーパーで頻発しています。
また、単価の安い商品が多い百均のような店舗でも、複数の商品を一度に盗むなどの手口が見られます。
これらの手口は多岐にわたるため、店舗側は様々な可能性を想定しておく必要があります。
一部の商品だけを意図的にスキャンしない
購入商品の一部、特に高額な品やカゴの底にある商品を意図的にスキャンせず、他の商品と一緒に会計を済ませる手口が最も多く見られます。
犯人は会計作業を全て自分で行うため、どの商品をスキャンするかを自由に選択できてしまいます。
他の商品は正規に会計しているため、外見上は通常の買い物客と区別がつきにくいのが特徴です。
特に、購入点数が多い場合、数点スキャンしなくても店員に気づかれにくいという状況が生まれます。
この手口は「うっかり忘れた」という言い逃れがしやすいため、万が一発覚した際のリスクが低いと考えて行われることが多いです。
安い商品のバーコードをスキャンして商品をすり替える
高価な商品の代わりに、安価な商品のバーコードをスキャンして会計をごまかす、計画性の高い手口です。
例えば、高価な精肉パックに安価な野菜のバーコードシールを貼り替えてスキャンしたり、あらかじめ用意しておいた安い商品のバーコードをスマートフォンに表示させて読み込ませたりします。
スキャン音も鳴り、会計操作も行われているため、店員の目視だけでは不正の発覚が困難です。
特に、手元で巧妙にバーコードを隠しながら操作されると、防犯カメラの映像からでも犯行の特定が難しい場合があります。
この手口は悪質性が高く、厳しい処罰の対象となり得ます。
購入済み商品と未購入商品をカゴの中で混ぜる
一度他の店で購入した商品や、以前に同じ店で購入した商品を買い物カゴにあらかじめ入れておき、未購入の商品と一緒にセルフレジに持ち込む手口があります。
会計時には未購入の商品だけをスキャンし、購入済みと偽った商品はそのまま持ち去ります。
店員に声をかけられても「これは別の店で買ったものです」などと言い逃れができてしまいます。
レシートの提示を求められても、別の買い物のものを提示するなど巧妙に偽装するケースもあります。
特に、同じ商品を複数購入する際に、そのうちの一部を購入済みと偽る手口は発覚しにくい傾向にあります。
重量計測をごまかして商品を盗む
重量チェック機能付きのセルフレジの仕組みを逆手に取った手口も存在します。
このレジは、スキャンした商品の登録データと、袋詰めの台に置かれた商品の実際の重さを比較して不正を検知します。
しかし、犯人はこの機能を悪用し、商品をスキャンした直後に手で台に圧力をかけて重さを調整したり、軽い商品をスキャンして実際には重く高価な商品を袋に入れたりします。
商品の重さが登録データと多少異なってもエラーが出ない許容範囲が設定されている場合、その範囲内でごまかすケースも見受けられます。
本来は不正防止のための機能が、かえって新たな万引きの手口を生み出す要因にもなっています。
セルフレジの万引きが発覚する仕組み
セルフレジでの万引きはバレることはないという考えは大きな間違いです。
店舗側は様々な対策を講じており、不正行為は複数の仕組みによって発覚します。
防犯カメラの映像は犯行を立証する決定的な証拠となり、店員や保安員の目視によって現行犯で確保されるケースも少なくありません。
一度の犯行が見逃されたとしても、常習化すれば捜査の手が及び、特定される可能性は極めて高いです。
防犯カメラの映像が証拠となる
現代の店舗に設置されている防犯カメラは高画質化が進み、レジ周りの手元まで鮮明に記録しています。
どの商品をスキャンし、どの商品をスキャンしなかったかという一連の行動は、明確な映像証拠として残ります。
顔認証システムを導入している店舗では、人物の特定もより容易です。
これらの映像は、万引きが疑われる際に警察へ提出され、犯行を立証するための決定的な証拠となります。
被害届が提出されると、警察はこの映像を基に捜査を進め、犯人を特定し後日逮捕に至るケースは多数あります。
カメラの存在が、犯行後の追跡を可能にしています。
店員や保安員による現認
セルフレジコーナーには、操作のサポートと監視を兼ねたスタッフが配置されていることが多く、常に利用客の不審な行動に注意を払っています。
特定の商品を隠すような仕草や不自然な手つき、周囲を過度に警戒する様子などは、万引きを疑うきっかけとなります。
また、店舗によっては私服保安員(万引きGメン)を巡回させ、客を装いながら不正行為を監視しています。
店員や保安員が不正行為を直接目撃(現認)した場合、店の外に出た瞬間に声をかけ、現行犯として確保することが可能です。
機械の目だけでなく、訓練された人の目による監視も、万引きを発見する重要な仕組みです。
複数回の犯行による常習犯としての特定
一度の犯行では発覚しなくても、同じ店舗で万引きを繰り返す常習犯は特定されやすくなります。
店舗側は、在庫データと売上データの差異から被害を把握しており、被害が続けば防犯カメラの映像を重点的に確認します。
映像を遡ることで、同一人物による複数回の不審な行動が判明します。
犯行のパターンや日時、人物の特徴を分析し、要注意人物として情報を共有します。
その人物が次に訪れた際に監視を強化し、犯行の現行犯確保や、過去の犯行も含めた証拠を固めて警察に通報します。
万引きの検挙率は決して低くなく、常習犯となれば逮捕される可能性は飛躍的に高まります。
セルフレジの万引きで科される罰則
セルフレジでの万引きが発覚した場合、軽い気持ちの犯行であっても重大な結果を招きます。
この行為は窃盗罪に該当し、刑事罰が科されるリスクがあります。
具体的には懲役刑や罰金刑の対象となり、前科がつく可能性も否定できません。
さらに、刑事上の責任とは別に、店舗側から損害賠償を請求される民事上のリスクも存在します。
万引き行為が発覚した際に負う法的な責任は決して軽視できません。
窃盗罪として懲役刑や罰金刑が科される
セルフレジでの万引きは、刑法第235条に定められた窃盗罪に該当します。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」であり、決して軽い犯罪ではありません。
たとえ盗んだ商品の金額が僅かであっても、窃盗罪の成立に変わりはありません。
初犯で被害額が少なく、店舗側と示談が成立すれば不起訴となる可能性もありますが、犯行が悪質であったり常習性があったりする場合には、起訴され刑事裁判に至ります。
その結果、罰金刑や、場合によっては懲役刑が科されることもあり、社会生活に大きな影響を及ぼします。
刑事罰とは別に損害賠償を請求されるケースも
万引き行為は、刑事上の責任とは別に、店舗の財産を不法に侵害する行為として民事上の責任も問われます。
店舗側は犯人に対し、盗まれた商品の代金相当額に加え、万引き犯の対応に要した人件費や防犯カメラの確認費用など、犯行によって被った様々な損害を含めた賠償を請求する権利を有します。
示談交渉の際にこれらの損害額を含めた示談金の支払いを求められたり、別途民事訴訟を提起されたりするケースも存在します。
刑事罰を受けたからといって、民事上の責任が免除されるわけではありません。
店舗側ができる効果的なセルフレジの万引き対策
セルフレジでの万引き被害を最小限に食い止めるには、店舗側が積極的な対策を講じることが不可欠です。
監視体制の強化といったソフト面から、最新技術を導入するハード面まで、様々な対策があります。
これらの対策を単独ではなく複数組み合わせることで、相乗効果が生まれ、不正行為を未然に防ぎ、万引きがしにくい環境を構築することが可能となります。
店舗の状況に応じた最適な対策を選択・実行することが求められます。
専門スタッフを配置し監視体制を強化する
セルフレジコーナーに操作案内と監視を兼ねた専門スタッフを配置することは、基本的ながら非常に効果的な対策です。
スタッフはただ立つだけでなく、積極的に「お手伝いしましょうか」などと声かけを行うことで、顧客とのコミュニケーションが生まれ、これが不正行為への強い抑止力となります。
専用のユニフォームを着用させるなどして、スタッフの存在を明確にアピールすることも重要です。
「常に見られている」という意識を顧客に持たせることが、万引きの心理的なハードルを上げる上で欠かせません。
人的な監視は、機械では対応しきれない状況にも柔軟に対応できるという利点があります。
AI搭載の防犯カメラで不審行動を検知する
近年進化しているAI搭載の防犯カメラは、万引き対策の強力なツールです。
このカメラは、AIが映像をリアルタイムで解析し、商品をカバンに入れる、同じ場所をうろつくといった、万引きが疑われる不審な行動を自動で検知します。
検知した際には、スタッフが持つ端末にアラートを通知するため、広範囲を常時目視で監視する必要がなくなり、効率的かつ的確な対応が可能となります。
人間の目では見逃しがちな微細な動きもAIが捉えるため、監視の精度が飛躍的に向上し、万引きの早期発見と予防に大きく貢献します。
重量チェック機能付きのレジを導入する
重量チェック機能は、スキャンした商品のデータ上の重さと、会計用の台に置かれた商品の実重量を照合する仕組みです。
スキャンせずに商品を置いたり、登録と違う商品を置いたりするとエラーが発生し、会計が進まなくなるため、単純なスキャン忘れや意図的な商品のすり替えを防ぐ効果があります。
この機能は多くのセルフレジに搭載されており、基本的な万引き対策として有効です。
ただし、この機能をかいくぐる手口も存在するため、完璧な対策とは言えません。
他の対策、例えばスタッフによる監視や防犯カメラと組み合わせることで、より防犯効果を高めることができます。
防犯ゲートとセキュリティタグを併用する
店舗の出入り口に設置する防犯ゲートと、商品に取り付けるセキュリティタグの組み合わせは、古典的ですが依然として高い効果を持つ対策です。
特に、化粧品や酒類、ゲームソフトといった高額で狙われやすい商品にセキュリティタグを取り付けます。
このタグは会計時に専用の装置で無効化され、もし無効化されていない商品がゲートを通過すると大きな警報音が鳴ります。
このシステムは、スキャンをごまかす手口にも有効であり、ゲートの存在自体が「万引き対策を徹底している」という強いメッセージとなり、犯行を思いとどまらせる心理的な抑止効果が期待できます。
注意喚起の音声案内やモニター表示を活用する
セルフレジの操作画面や周辺に、万引き防止を促すメッセージを表示したり、音声案内を流したりすることも有効な対策です。
レジの待機画面に「商品のスキャン忘れにご注意ください」「防犯カメラ作動中」といった警告文を大きく表示する、定期的に「万引きは犯罪です。警察に通報します」といったアナウンスを流すなどの方法があります。
これにより、うっかりミスによるスキャン漏れを防止すると同時に、不正を企む者へ心理的なプレッシャーを与えます。
比較的低コストで導入でき、顧客の規範意識に直接働きかけることで、万引きがしにくい店の雰囲気を作り出します。
利用者が「うっかり万引き」を防ぐためのポイント
セルフレジでは、盗む意図がなくても操作ミスによって万引きと疑われてしまう「うっかり万引き」のリスクが常に存在します。
このような意図しないトラブルを回避するため、利用者側も会計時にいくつかの点を意識することが大切です。
正しい手順で操作し、誤解を招かない行動を心がけることが、自身の身を守るための有効な防止策となります。
いくつかの簡単なポイントを実践するだけで、リスクを大幅に減らすことが可能です。
商品をスキャンする際は音と画面表示を確認する
セルフレジでの会計時、最も基本的な防止策は、一つひとつの商品が正しく読み取られたかを確認することです。
バーコードリーダーに商品をかざした後は、必ず「ピッ」というスキャン音を確認し、同時にレジの画面に商品名と価格が表示されたことを目で見てください。
音が鳴らない、あるいは画面に表示されない場合は、スキャンが正常に完了していません。
急いでいる時ほどこの確認を怠りがちですが、スキャンしたつもりという思い込みを防ぐための重要な作業です。
焦らず、一品ずつ確実に処理を進める意識が、意図しないミスを防ぎます。
スキャン済みと未スキャンの商品を分けて置く
多くの商品を購入する際、どれをスキャンしたか分からなくなることがあります。
これを防ぐには、商品を物理的に分けて管理する方法が有効です。
例えば、買い物カゴを二つ使い、スキャン前の商品を一方に、スキャンが完了した商品をもう一方のカゴやレジ袋に移します。
または、セルフレジの台のスペースを明確に分け、スキャン前とスキャン後の商品を置く場所を決めます。
このように物理的な置き場所で管理することで、同じ商品を二度スキャンしたり、スキャンし忘れたりするミスを大幅に減らせます。
単純なルールですが、混乱を防ぎ正確な会計を助けます。
会計後はレシートと購入品を照らし合わせる
会計が完了した後、店舗を出る前にレシートと購入した商品を照らし合わせる習慣をつけることが望ましいです。
レシートに記載された商品リストと、実際にレジ袋やカートに入っている品物が一致しているかを確認します。
この作業によって、スキャン漏れや二重スキャンにその場で気づくことができます。
もし間違いを発見した場合は、すぐに近くの店員に申し出て、正しい会計処理をしてもらってください。
この一手間が、後から万引きを疑われるリスクを回避することに直結します。
レシートは、自身の潔白を証明する証拠として、一定期間保管しておくとよいでしょう。
まとめ
セルフレジの導入は、店舗運営を効率化する一方で、万引きのリスクを増大させる側面を持ちます。
この背景には、店員の監視が行き届きにくい物理的な要因と、不正が容易であるという心理的な要因が関係しています。
店舗側は、専門スタッフの配置といった人的対策と、AIカメラや重量チェック機能付きレジといった技術的対策を複合的に実施し、多角的な防犯体制を築く必要があります。
万引きは窃盗罪という犯罪であり、発覚時には刑事罰や損害賠償といった厳しい結果が待っています。
また、利用者側も意図しない「うっかり万引き」を防ぐため、スキャン時の音や画面の確認を徹底するなど、慎重な操作が求められます。

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