企業のIT管理者や情報システム担当者の皆様、自社のメールセキュリティ強化は喫緊の課題ではないでしょうか。巧妙化するサイバー攻撃や内部からの情報漏洩リスクに対応するため、クラウド型メールセキュリティ製品の導入を検討されていることと存じます。本記事では、メールセキュリティサービスやメールセキュリティ製品の比較検討に役立つ具体的な情報を提供し、最適な製品選定の一助となることを目指します。
メールセキュリティの重要性
ビジネスにおいてメールは不可欠なコミュニケーションツールであり、機密情報や個人情報など重要なデータのやり取りが日常的に行われています。しかし、それに伴いサイバー攻撃の主要な標的ともなっており、メールセキュリティサービスの導入は企業の安全を確保する上で極めて重要です。サイバー攻撃による被害は、経済的損失だけでなく、企業の信頼失墜にもつながるため、強固なメールセキュリティ製品の導入が必須となっています。
メールを取り巻くリスク
メールを取り巻くリスクは多岐にわたります。まず、マルウェア感染のリスクが挙げられます。悪意のある添付ファイルやリンクを含むメールは、システムダウンやデータ損失を引き起こす可能性があります。また、フィッシング詐欺は、正規の組織を装い、偽のWebサイトへ誘導して認証情報や個人情報をだまし取る手口であり、近年ではその手口が巧妙化しています。さらに、標的型攻撃メールは、特定の企業や組織を狙って送られる攻撃で、情報漏洩やシステムへの不正侵入を目的としています。ビジネスメール詐欺(BEC)も深刻なリスクの一つであり、取引先や経営層になりすまして金銭をだまし取ろうとします。その他にも、メールの盗み見や改ざんといったリスクも存在し、特にフリーメールやWebメールなど、セキュリティが不十分な環境での利用は危険性が高まります。これらの外部からの脅威に加え、メール誤送信による情報漏洩も大きなリスク要因です。宛先間違いや添付ファイルの誤送付など、人的ミスによって機密情報が外部に流出するケースも少なくありません。
クラウド型メールセキュリティの利点
クラウド型メールセキュリティは、自社でサーバーを構築・管理する必要がないため、初期費用を抑え、短期間で導入できるという利点があります。また、ベンダーが脆弱性への対応やプログラムのアップデート、サーバーの障害対応などを実施するため、運用管理の手間を大幅に削減できます。特に中小企業やITリソースが限られている企業にとっては、運用負荷の軽減は大きなメリットとなるでしょう。さらに、クラウドサービスは常に最新の脅威情報に自動で対応できるため、巧妙化するサイバー攻撃に対しても高いセキュリティレベルを維持することが可能です。リモートワークやテレワークなど多様な働き方が普及する中で、場所を問わずにセキュリティ対策が行える点もクラウドの強みです。拡張性にも優れており、ユーザー数の増減にも柔軟に対応できるため、企業の成長に合わせてセキュリティ対策を最適化できるでしょう。
クラウド型メールセキュリティの機能
クラウド型メールセキュリティソリューションは、多岐にわたる脅威からメール環境を保護するために、様々な機能を提供しています。これらの機能は、外部からの攻撃を防ぐだけでなく、内部からの情報漏洩を防止し、より安全なメール利用を実現するためのものです。メールセキュリティソフトの選定においては、自社のセキュリティ要件に合致した機能が搭載されているかを確認することが重要です。
外部からの脅威への対策
外部からの脅威に対しては、多層的な対策が講じられます。まず、スパムメールフィルタリングは、迷惑メールや広告メールを自動で振り分け、ブロックする機能です。これにより、従業員が不要なメールに煩わされることなく、業務に集中できる環境を整えます。次に、フィッシング対策は、偽装されたメールや不審なURLを検知し、ユーザーに警告することで、フィッシング詐欺の被害を防ぎます。AIや機械学習を取り入れた製品は、巧妙な攻撃メールの検出力が高いとされています。マルウェア対策として、メール本文や添付ファイルに潜むウイルスやマルウェアを検知・隔離する機能も重要です。さらに、メール・ファイル無害化機能は、HTMLメールのプレーンテキスト変換、URLリンクの無害化、添付ファイルの破棄・無害化などを行い、安全なメールへ変換することで、リスクを低減します。サンドボックス機能は、疑わしいファイルを仮想環境で実行し、挙動を解析することで、未知のマルウェアを検知し、標的型攻撃メールによる情報漏洩リスクを低減する効果があります。送信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC)は、メール送信元のドメインを認証し、なりすましメールを排除することで、フィッシング詐欺やビジネスメール詐欺などの対策に有効です。
内部からの情報漏洩防止
内部からの情報漏洩を防ぐソリューションも、メールセキュリティの重要な側面です。最も一般的なのは、誤送信防止機能です。これは、送信メールの一時保留や第三者による承認、BCC強制変換などの機能を通じて、宛先の間違いや添付ファイルの誤送付といった人的ミスを未然に防ぎます。例えば、送信ボタンを押した後にメールを一時保留し、その間に宛先や添付ファイルの内容を再確認できるようにしたり、上長や第三者がメールの内容を確認し、承認するフローを組み込んだりすることで、誤送信のリスクを大幅に軽減できます。また、メールの暗号化機能は、メール本文や添付ファイルを暗号化することで、盗聴や改ざんを防ぎ、機密情報の安全な送受信を可能にします。DLP(Data Loss Prevention)ソリューションは、機密情報や重要なデータが意図せず組織外に流出することを防止するためのセキュリティソリューションです。これには、メール監査機能が含まれ、送信メールを常時モニタリングし、内部不正や人的ミス、ボット潜伏による踏み台被害などの異常を検知することで、情報漏洩やコンプライアンス違反の早期発見に役立ちます。
その他のセキュリティ機能
上記以外にも、クラウド型メールセキュリティ製品には様々なテストに対応する機能が搭載されています。メールアーカイブ機能は、送受信されたメールを長期的に保存する機能であり、内部統制や法令遵守、万が一のインシデント発生時の原因究明に役立ちます。検疫機能は、疑わしいメールを一時的に隔離し、管理者が内容を確認できるようにすることで、脅威がシステムに侵入するのを防ぎます。監査ログ機能は、メールの送受信履歴やアクセス履歴を記録し、不正な操作や通信を追跡するための証拠保全に利用されます。これらの機能は、企業のセキュリティポリシーに合わせた柔軟な設定が可能で、継続的なセキュリティ対策の強化に貢献します。さらに、AIや機械学習を活用した自己学習型AI技術を搭載した製品もあり、これらは利用すればするほど判別精度が向上し、新たなスパムやマルウェアの流行にも即座に対応できるため、常に最新の脅威に対する防御を期待できます。
クラウド型メールセキュリティ製品の選定基準
クラウド型メールセキュリティ製品の選定においては、自社の現状と将来的なニーズを評価し、最適なサービスを見極めることが重要です。数多くの製品がある中で、何を基準に選べば良いのか、具体的なポイントを解説します。適切な製品を選ぶことで、効果的なセキュリティ対策を実現し、企業の安全性を高めることができます。
対策したい脅威への対応範囲
メールセキュリティ製品を選定する上で、最も重要なのは、自社が対策したいリスクにどれだけ対応できるかという点です。一口にメールセキュリティシステムといっても、その機能や検知範囲は製品によって大きく異なります。例えば、多段階検知の仕組みを持つシステムは、マルウェア検知の精度が高い傾向にあります。特に、複数のセキュリティベンダーのエンジンを組み合わせている製品は、1社のエンジンでは見落としてしまうような脅威も、別のエンジンで検知できるため、より広範な脅威に対応可能です。IIJセキュアMXサービスのように、複数のエンジンによる多層的な脅威メール判定が可能な製品もあります。また、標的型攻撃に対しては、安全な仮想空間でファイルを開いて内容を確認するサンドボックス機能が有効です。フィッシング詐欺やビジネスメール詐欺(BEC)対策には、なりすましメールを自動判別し、自動で削除する機能や、送信ドメイン認証(SPF/DKIM/DMARC)に対応しているかが重要となります。誤送信による情報漏洩を防ぐためには、送信前の確認機能、一時保留機能、第三者承認機能などが充実している製品を選ぶ必要があります。自社の主要なリスクを明確にし、それに対応する機能が十分に備わっているかを評価することが肝要です。
既存のメール環境との連携
クラウド型メールセキュリティ製品を選ぶ際には、既存のメール環境との連携のしやすさも重要な選定基準となります。多くの企業でMicrosoft365やGoogleWorkspaceなどのクラウドメールサービスが利用されており、これらのサービスとシームレスに連携できる製品は導入や運用が容易です。例えば、Microsoft365やGoogleWorkspaceの標準サービスでは対応できない幅広いメールセキュリティ機能を提供するソリューションもあります。ゲートウェイ型での導入が可能な製品であれば、既存のメールサーバー環境をそのまま維持しつつ、セキュリティ対策を強化できるため、大規模なシステム変更を避けたい企業に適しています。また、アプライアンス型のセキュリティ製品を導入している場合は、その製品との連携が可能かどうかも確認が必要です。既存のメールソフトとの互換性や、導入後の業務フローに大きな影響を与えずに運用できるかどうかも考慮すべきポイントです。API連携の有無や、SAMLなどのSSO(シングルサインオン)に対応しているかどうかも、日々の運用効率に影響を与えるため、確認しておくと良いでしょう。既存のITインフラを最大限に活用し、最小限の変更でセキュリティを強化できる製品を選ぶことが、スムーズな導入と長期的な運用に繋がります。
費用対効果
クラウド型メールセキュリティ製品の選定において、費用対効果は非常に高い検討基準となります。導入コストだけでなく、月額費用やランニングコスト、そして運用にかかる手間や人件費まで含めて総合的に判断する必要があります。クラウド型サービスは、オンプレミス型に比べて初期費用が抑えられる傾向にありますが、月額課金のため、ユーザー数が増えるほどランニングコストが増加する可能性があります。したがって、自社の従業員数やメールアカウント数に基づいた料金体系を事前に確認し、将来的な拡大も考慮して長期的なコストシミュレーションを行うことが重要です。また、導入後のサポート体制も費用対効果に大きく影響します。導入初期の設定支援、問い合わせ対応のレスポンス、国内拠点からのサポートの有無などは、運用面での安心材料となります。無料トライアル期間を提供している製品もあるため、実際に利用して機能や操作性を確認し、自社のニーズに合致するかどうかを評価することも推奨されます。セキュリティインシデントが発生した場合の対応スピードや、監視体制の強化も大切な選定ポイントであり、これらが充実している製品は、被害を最小限に抑え、結果的に高い費用対効果をもたらす可能性があります。単純な価格だけでなく、提供される機能、サポート体制、そして将来的な拡張性を含めたトータルコストで判断することが、最適なメールセキュリティ製品の導入に繋がります。
おすすめのクラウド型メールセキュリティ製品
クラウド型メールセキュリティ製品は多種多様であり、それぞれに異なる特徴と強みを持っています。自社のニーズに最も合致するおすすめの製品を見つけるためには、各製品の詳細を比較し、自社のセキュリティ要件や既存システムとの連携性を考慮することが重要です。
ビズらくおすすめ製品の紹介
クラウド型メールセキュリティ製品の中から、ビズらくで取り扱いがあるサービスを3つ紹介します。
Active! gate SSは、Microsoft 365やGoogle Workspace、LINE WORKSなど、さまざまなクラウドメールサービスとの連携が強みです。メールの添付ファイルを自動で暗号化したり、自動的にURL化して送信する機能も備わっています。また、TLS(Transport Layer Security)確認機能により、通信経路が暗号化されている場合は添付ファイルにパスワードをかけずに送付できるため、受信者の手間を軽減できます。上長承認機能も搭載されており、第三者によるメールチェックを徹底したい企業に適しています。導入前に無料トライアルで操作感を試すことも可能です。

Active! gate SS(アクティブゲート エスエス)
情報のヒヤリハット誤送信を徹底対策!
送信メールの一時保留や添付ファイルの暗号化
(zip暗号化)といった機能を利用し、
メールでの情報漏えいや誤送信を防止することが可能なメールセキュリティサービス
PlayBackMail Onlineは、SCSK Minoriソリューションズが提供するメール誤送信防止サービスで、完全クラウド型でありながらシンプルな操作性が特徴です。宛先や添付ファイルの間違いといった「うっかりミス」を防ぐための送信メール一時保留や上長承認などの機能を備えています。 特に、2022年8月にリリースされた「PBMO 添付ファイルダウンロードオプション」は、PPAP問題に対応する機能として注目されています。この機能により、添付ファイルは自動的にクラウドストレージに分離され、受信者はダウンロード通知用の別メールを介して安全にファイルを受け取ることが可能です。 万が一誤送信してしまっても、受信者にダウンロードされる前にクラウドストレージ上のファイルを削除することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。 1ユーザーあたり月額150円から利用可能で、30日間の無料トライアルも用意されています。
FinalCode@Cloudは、ファイル暗号化・追跡ソリューションであり、「守る」「追跡する」「あとから消せる」の3つの特徴で情報を保護します。 ファイルの作成・保存時やダウンロード時に自動で暗号化(透過暗号化)され、特別な操作は不要です。 また、ファイルごとに役職や組織で操作権限を細かく設定できるため、複数の暗号化ファイルを作成することなく情報を共有できます。 誰がいつ、どのような操作をしたかというファイルの閲覧・操作履歴を追跡できるほか、不正な操作が発生した場合には通知メールで把握可能です。 さらに、一度渡したファイルも不要になったタイミングで遠隔から削除できるため、万が一の情報漏洩リスクを低減します。