生成AIへの指示文であるプロンプトで見かける「#」や「-」などの記号は、AIに指示の意図を正確に伝え、回答の精度を高めるために重要な役割を果たします。プロンプトとは、AIに対してどのような処理を実行してほしいかを伝えるためのテキスト形式の命令文です。
この記事では、プロンプトで使われる代表的な記号の種類と使い方を解説し、AIとのコミュニケーションを円滑にするための具体的なテクニックを紹介します。
AIへの指示が劇的に変わる!プロンプトで記号を使う効果とは?
プロンプトで記号を利用すると、AIに対する指示が構造化され、人間が文章を読むときと同じように内容を理解しやすくなります。例えば、見出しや箇条書きを用いて情報を整理することで、AIは指示の全体像や各要素の関連性を正確に把握できます。
また、特定のキーワードを強調すれば、その部分が重要な条件であると認識させることが可能です。記号を使わずに長文で指示を出すと、AIが意図を誤解したり、重要な情報を見落としたりする可能性がありますが、記号を適切に使うことで、これらの問題を回避し、より精度の高い回答を引き出せます。
【目的別】プロンプトで頻出する記号の意味と使い方一覧
AIへの指示を明確にするためには、目的に応じて記号を使い分けることが効果的です。プロンプトで頻繁に利用される記号には、それぞれ特定の意味や役割があります。
例えば、指示全体の構造を示すもの、情報をリストとして整理するもの、特に重要な部分をAIに伝えたいときに使うものなど、様々です。
これから、見出し、箇条書き、強調、引用といった目的別に、代表的な記号とその具体的な使い方を一つずつ見ていきます。これらの記号を理解し、適切に組み合わせることで、AIの能力を最大限に引き出すプロンプトを作成できるようになります。
見出しで構造を伝える「#」「##」
シャープは、プロンプト内で見出しを作成し、指示内容を構造化する際に使用します。文書の章立てのように、シャープを文頭に置くことで、その行を見出しとしてAIに認識させることが可能です。
シャープの数を増やす(例:##、###)と、より下位の階層の見出しとなり、指示全体の構成を明確に示せます。
例えば、#指示の概要、##前提条件、##実行内容のように階層を分けることで、AIは各ブロックの役割を正確に理解し、文脈に沿った適切な回答を生成しやすくなります。複雑な依頼をする際には、この記号で情報を整理することが特に有効です。
箇条書きで情報を整理する「-」「*」
「-」(ハイフン)や「*」(アスタリスク)は、複数の項目を箇条書きで示す際に使用する記号です。AIに複数の条件や手順、リストなどを伝える際に、これらの記号を行頭に置くことで、情報が整理され、AIが各項目を個別の要素として認識しやすくなります。
例えば、ブログ記事の構成案を依頼する場合、「-はじめに」「-メリット」「-デメリット」「-まとめ」のように記述すると、それぞれの項目について言及された、網羅性の高い回答が期待できます。
情報を列挙する際には、文章で長く説明するよりも、箇条書きを用いる方がAIの誤解を防ぎ、指示の抜け漏れを減らす効果があります。
特定の箇所を重要だと示す強調の「**」「__」
特定の単語や文章を「**」(アスタリスク2つ)または「__」(アンダースコア2つ)で囲むと、その部分をAIに重要だと認識させることができます。これは、プロンプトにおける強調の役割を果たします。
例えば、文章生成を依頼する際に、「必ず**サステナビリティ**というキーワードを含めてください」と指示すると、AIはそのキーワードを最優先で考慮するようになります。
守ってほしい制約条件や、絶対に含んでほしい要素などを明確に伝えたい場合に非常に有効な記号です。
この強調表現を使うことで、指示の中の核となる部分をAIが見落とすリスクを低減させ、より意図に沿った出力が得られます。
引用文として区別させる「 > 」
「 > 」(大なり記号)を文頭に置くと、その部分を引用文としてAIに認識させることができます。この記号は、要約してほしい文章や、参考にしてほしい外部のテキスト、会話のログなどをプロンプトに含める際に役立ちます。
引用記号を使うことで、AIはどこからどこまでが引用された文章で、どこが指示文なのかを明確に区別できます。
例えば、「 > 」(の後に要約対象の長文を貼り付け、その後に「上記の文章を300字で要約してください」と指示を記述する構成が考えられます。
これにより、AIが指示と対象テキストを混同することなく、タスクを正確に処理することが可能になります。
プログラムコードを正確に記述する「```」
「```」(バッククォート3つ)でテキストを囲むと、その部分をプログラムコードとしてAIに認識させられます。この記号で囲まれた部分は「コードブロック」として扱われ、プログラミング言語の構文やインデントがそのままの形でAIに伝わります。そのため、コードの生成、レビュー、デバッグ、解説などを依頼する際に非常に有効です。
例えば、特定のプログラミング言語で記述したコードを貼り付けて「このコードの誤りを指摘してください」と依頼する場合、コードブロックを使用しないと、特殊な記号やインデントが通常のテキストとして解釈されてしまい、AIが正確にコードを理解できない可能性があります。
情報を表形式で整理する「|」「-」
「|」(パイプ)と「-」(ハイフン)を組み合わせることで、Markdown形式のテーブル(表)を作成し、情報を整理してAIに伝えられます。複数のデータを項目ごとに分かりやすく整理したい場合に有効で、AIは表の構造を理解し、各列と各行の関係性を把握します。
例えば、商品リストの各特徴を比較する文章の作成を依頼する際に、商品名、価格、特徴などを表形式でインプットすると、AIはその構造化されたデータに基づいて、より正確な比較分析を行えます。
また、AIに対して「以下の情報を表形式で出力してください」と指示する際にも、この形式は出力フォーマットの指定として利用できます。
テンプレート化に役立つ変数を入れる「{}」「[]」
「{}」(波括弧)や「[]」(角括弧)は、プロンプトをテンプレート化する際に、可変部分を示すプレースホルダー(変数)として利用できます。毎回同じような構造で異なる内容の指示を出す場合に、この記号で変更したい箇所を囲んでおくと便利です。
例えば、週次レポートを作成するプロンプトで、「今週のトピックに関するレポートを作成してください。期間は開始日から終了日です。」というテンプレートを用意しておけば、括弧の中身を書き換えるだけで、毎回効率的に指示を出せます。
これにより、定型的な業務を自動化しやすくなり、作業時間を大幅に短縮することが可能になります。
実例で解説!記号を使ってAIからの回答精度を上げるテクニック
これまで紹介した記号を実際にどのように活用すれば、AIからの回答の質を高められるのでしょうか。
ここでは、具体的なプロンプト例を「AIがうまく回答できないプロンプト例」と「AIがうまく回答できるプロンプト例」で比較しながら、記号を使った実践的なテクニックを解説します。
記号を使わない曖昧な指示では、AIが意図を正確に汲み取れず、期待外れの回答が返ってくることが少なくありません。
一方で、見出しや箇条書き、強調などを適切に組み合わせることで、指示が明確になり、AIのパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能です。
目的別の実例を通じて、効果的なプロンプトの書き方を学びましょう。
記号で指示を構造化して長文の要約を依頼する
ここでは、長文を要約する際に記号を使って指示を構造化する方法を解説します。記号を使わずに要約を依頼すると、AIは依頼者の意図を正確に把握できず、期待通りの要約ができない可能性があります。特に、要約する際の条件や文字数制限、ターゲット層などを明確に伝えないと、情報が不足した要約や、意図しないトーンの要約が生成されてしまいます。
【AIがうまく回答できないプロンプト例】
次の文章を箇条書きで要約して。「地球温暖化は、人間の活動によって引き起こされる温室効果ガスの排出が主な原因です。この問題に対処するためには、国際的な協力と個人の意識改革が不可欠です。地球温暖化は、人間の活動によって引き起こされる温室効果ガスの排出が主な原因です。この問題に対処するためには、国際的な協力と個人の意識改革が不可欠です。」できれば簡単な言葉でまとめて。
この例では、AIへの指示が複数の箇所に散らばっており、AIがどの文章をどのような条件で要約すればよいか、正確に判断することが困難で、なかなか思い通りの回答が得られません。
【AIがうまく回答できるプロンプト例】
#要約指示
以下の文章を要約してください。
#要約対象文章
>地球温暖化は、人間の活動によって引き起こされる温室効果ガスの排出が主な原因です。この問題に対処するためには、国際的な協力と個人の意識改革が不可欠です。
#要約条件
-3つの要点に絞る
-各要点は100文字以内
-小学生にもわかるように簡単な言葉で説明する
AIがうまく回答できるプロンプト例では、見出し(#)をうまく使って依頼内容を「要約指示」「要約対象文章」「要約条件」として構造化し、条件を箇条書き(-)にしているため、AIはどのように要約すればよいかを正確に把握できます。このように記号を活用することで、AIへの指示が明確になり、効率的かつ正確な要約結果が得られます。
役割や条件を明確にして質の高い文章を生成させる
ここでは、AIに質の高い文章を生成させるためのプロンプト作成例を紹介します。AIへの指示が曖昧だと、的外れな回答が返ってくることがありますが、記号を使って役割や条件を明確にすることで、AIは意図を正確に理解し、ターゲットに響く文章を生成できるようになります。具体例を見ていきましょう。
【AIがうまく回答できないプロンプト例】
新しいコーヒーメーカーのブログ記事を書いて。ターゲットは30代のビジネスパーソンで、魅力的に紹介してほしい。
上記の例は一見良いプロンプトに見えますが、AIをうまく活用しきれていません。この指示でAIに対して「新しいコーヒーメーカーのブログ記事作成」という大まかな依頼は伝わりますが、それ以外の情報が不足しています。どのような視点で書くべきか、ターゲットに何を伝えたいのかが不明確なため、AIは一般的な内容の文章しか生成できません。
【AIがうまく回答できるプロンプト例】
あなたはプロのマーケティングライターです。
新発売のコーヒーメーカー「○○○○」に関するブログ記事を作成してください。
#ターゲット読者:30代の忙しいビジネスパーソン
##訴求ポイント:
-手軽に本格的なコーヒーが楽しめる点
-静音設計で早朝でも使いやすい点
-コンパクトで置き場所に困らない点
##文章のトーン:
-専門用語を避け、親しみやすい言葉遣い
-ポジティブで魅力が伝わる表現
この例では、「プロのマーケティングライター」という役割を明確に与えることで、AIは専門家としての視点で文章を生成しようとします。また、見出し(#)や箇条書き(-)を用いて、ターゲット読者の属性、商品の訴求ポイント、文章のトーンといった具体的な条件を構造化しているため、AIはペルソナや文章の方向性を具体的に理解し、ターゲットに響く質の高い文章を生成しやすくなります。
テンプレートを作成して繰り返し使う作業を効率化する
テンプレートを活用することで、繰り返し行う作業の効率化を図ることができます。同じ形式の書類やメールを頻繁に作成する場合、そのたびにゼロからプロンプトを作成するのは手間がかかります。そこで、共通する部分をテンプレートとしてあらかじめ設定し、毎回変わる部分だけをAIに指定することで、効率的に作業を進めることが可能です。これにより、週次の報告メールや会議の議事録など、定型業務におけるAI活用のハードルが大幅に下がります。
【AIがうまく回答できないプロンプト例】
毎週、営業部の週次報告メールを作っているけど、AIで効率化できないかな。今週はA社とB社に訪問して、Cのプロジェクトが進んだ。これを基にメール文案を作成して。
上記の例では、メール文面を提案してくれますが、過去に報告している文章校正と異なる文案を提案されてしまい、すぐに報告ができない場合があります。効率化の相談にはぴったりのプロンプトですが実運用ですぐに使える文面をもらうには、実際に使っているテンプレートをAIに読み込ませるのがおすすめです。
【AIがうまく回答できるプロンプト例】
以下のテンプレートに合わせて今日の予定をまとめてください。
#テンプレート:営業週次報告メール
##宛先
営業部長
##件名
営業部週次報告([氏名])
##本文
お疲れ様です。[氏名]です。
[報告期間]の週次報告をいたします。
###今週の活動ハイライト
-訪問先:[訪問先企業名]
-主な進捗:[進捗内容]
-課題・懸念点:[課題]
###来週の活動予定
-[来週の予定]ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
この例では、テンプレートを与えることで、AIはテンプレートに合わせて文章を生成しようとします。また、Outlookなどの予定表と連携しているCopilotなどのグループウェア連携AIであれば、AIが自動的に予定表を見に行ってテンプレートに合わせて文章を回答してくれます。
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Copilot for Microsoft 365を使いこなせ!仕事でつかえるプロンプト例を大公開!
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詳しくはこちらプロンプトで記号を使う際に知っておきたい3つの注意点
プロンプトにおける記号の使用は、AIへの指示を明確にする上で非常に効果的ですが、使い方を誤ると意図が正しく伝わらないこともあります。記号を効果的に活用するためには、いくつかの注意点を理解しておくことが重要です。例えば、AIが解釈できない形式で記述してしまったり、記号を多用しすぎて逆に指示が複雑になったりするケースが考えられます。
また、どれだけ精巧なプロンプトを作成しても、AIの出力が常に正しいとは限りません。ここでは、記号を使う際に陥りがちな失敗を避け、より安全かつ効果的にAIを活用するための3つのポイントを解説します。
AIが正しく解釈できない記号の書き方
AIが記号を正しく解釈するためには、定められた書式に従う必要があります。よくある間違いとして、全角と半角の混同が挙げられます。「#」(全角)で見出しを作ろうとしても、AIはそれを記号として認識せず、ただの文字として扱ってしまいます。
記号は原則として半角で入力することが基本です。
また、記号と文字の間にスペースを入れるかどうかも重要です。
例えば、見出しを示す「#」の後には、半角スペースを入れるのが一般的です。「#見出し」のようにスペースがないと、正しく解釈されない場合があります。
これらの細かいルールを守らないと、せっかく構造化した指示がAIに伝わらない原因となります。
記号の多用でかえって指示が曖昧になるケース
記号は指示を明確にするために有効ですが、使いすぎると逆効果になることがあります。例えば、一つのプロンプトの中で見出しの階層を過剰に深くしたり、ほとんどの単語を強調したりすると、情報が複雑になりすぎてしまいます。人間が読んでも分かりにくい指示は、AIにとっても理解が困難です。
過度な装飾は、どこが本当に重要な部分なのかを曖昧にし、AIが指示の優先順位を判断できなくなる可能性があります。記号はあくまで情報を整理し、要点を伝えるための補助的なツールと捉え、プロンプト全体がシンプルで分かりやすい構造になるように心がけるべきです。
出力結果を鵜呑みにしないためのファクトチェックの重要性
どれだけ工夫して精度の高いプロンプトを作成しても、AIが生成するアウトプットには、事実と異なる情報や古いデータが含まれている可能性があります。これは「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれ、生成AIの特性の一つです。
特に、統計データや専門的な情報、最新の出来事に関する内容を扱う際には注意が必要です。
AIからの回答は、あくまで下書きやアイデアのたたき台として活用し、最終的なアウトプットとして利用する前には、必ず信頼できる情報源を参照してファクトチェックを行うプロセスが欠かせません。この一手間を怠ると、誤った情報に基づいて業務を進めてしまうリスクがあります。
まとめ|上手なプロンプトでうまくAIを活用しよう!
AIへの指示であるプロンプトにおいて、「#」や「-」などの記号を適切に活用することは、回答の精度を飛躍的に向上させます。見出しで構造化し、箇条書きで情報を整理し、強調で重要点を伝えることで、AIは指示の意図をより正確に理解できるようになります。本記事で紹介した記号の意味と使い方、そして実例を参考にすることで、これまで曖昧だった指示が具体的で分かりやすいものに変わります。
ただし、記号の書き間違いや多用は避け、生成されたアウトプットのファクトチェックを怠らない注意も必要です。これらのポイントを押さえ、AIとの対話の質を高めることで、業務の効率化や新たなアイデア創出に繋げることが可能です。

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