Microsoft 365はExcelやOutlook、Teamsなど多様なビジネスツールを含みます。AIとの連携やファイル共有、共同作業など多機能なため、使い方をきちんと学んでおくことで業務効率向上が可能です。そこでMicrosoft 365を使いこなすために押さえておきたい点をQ&A形式で紹介します。
Microsoft 365のプランや使用環境に関するQ&A
Microsoft 365のビジネス向けプランについて、導入前に押さえておきたい質問に回答します。
Q1. 「Business Standard」と「Apps for business」の違いは何ですか？
A. 「Business Standard」と「Apps for business」の大きな違いは「Teams」と呼ばれる機能や「SharePoint」と呼ばれるポータルサイトが作れる機能、＋αのアプリなどが含まれるかどうかです。どちらもビジネス向けのプランですが「Business Standard」では、より多くの機能を利用できます。
「Apps for business」では、WordやExcel、Outlook、PowerPointの基本機能とクラウドストレージを1TB分、利用可能です。一方で「Business Standard」では、それらに加えてオンラインミーティングやチャット、通話などができる「Teams」、ビジネス用のメール機能「Exchange」、Bookings、Microsoft Loop、Planner、Clipchamp、Formsなどアプリも使用できて、利便性が高いです。
業務上、オンラインミーティングや組織的なファイル共有をよく行う場合、また多様なデバイスからの利用が想定される場合は「Business Standard」がおすすめです。
Q2. 「Apps for business」契約で個人向けCopilotとの連携は可能ですか？
A. 個人向けCopilotの場合は「Apps for business」と連携できません。ただし大企業向け、あるいは一般法人向けの「Copilot」であれば、アドオンとして使用できます。ビズらくでお申し込みの場合はカートにてプランをお申し込みの際にオプションにてCopilotを追加してください。
Q3. 1ライセンスで何台のデバイスまでインストールできますか？
A. 使用者が300名以下の一般法人向けのMicrosoft 365プランでは、パソコン（WindowsとMac）・タブレット・スマートフォンの各5台、計15台までインストールが可能です。そのため、業務で使うデスクトップパソコンだけでなく、持ち出し用のノートパソコン、自宅のパソコン、タブレット、スマートフォンなどでもOfficeアプリを入れて利用できます。
注意点は、各デバイス5台ずつへのインストールが可能な点です。つまり、「パソコンのみ15台」「タブレットのみ15台」といったデバイスを限定してのインストールはできません。
Q4. インターネットに繋がっていないオフライン環境でも使えますか？
A. Microsoft 365はデスクトップ版のアプリであれば、条件付きでオフラインでも利用できます。ただし、アプリをダウンロードしてアクティブ化する際には、オンライン環境とデスクトップ版のOfficeアプリ利用が可能なプランでの契約が必要です。また最新のバージョンへのアップグレードやアカウントの管理、OneDrive内のドキュメントへのアクセス時などにもインターネット接続が必要です。
なおオフライン状態が30日間を超えると、アプリの機能が制限されます。ドキュメントの新規作成や編集ができなくなるため、少なくとも30日に1回はオンラインに接続する必要があります。
Q5. 導入時に既存のOffice 2019／2016等はアンインストールすべきですか？
A. Microsoft 365導入時には、基本的にOffice 2019／2016等のアンインストールを推奨します。ライセンスやバージョンなどの競合によって、ファイルの関連付けの不具合や認証エラーが発生するため、その際はアンインストールが有効です。ただし、すぐにアンインストールをせず、以下に当てはまる場合は十分に注意して作業を進める必要があります。
特定のマクロやアドインがExcel 2019／2016等に依存している場合
導入したMicrosoft 365でもマクロやアドインがきちんと作動するかを確かめてからのアンインストールを推奨します。
Office 2019／2016等のライセンスを持っており、いずれまた再インストールして使用する可能性がある場合
既存のOfficeのプロダクトキーやライセンス管理情報をアンインストール前に控えておくことを推奨します。
なおOffice 2019／2016のサポート期間は、2025年10月14日までのため、現在はソフトウェアやセキュリティの更新、テクニカルサポートなどを受けられません。ご注意ください。
Q6. OneDriveの1TBを使い切ったらどうすればいいですか？
A. 一般法人向けのMicrosoft 365プランでは、使用者1人につき1TBまでのクラウドストレージを利用できます。容量を使い切った場合は、不要なデータを整理・削除したり、バックアップ機能を停止することで、空き容量を確保できる可能性があります。またOneDriveのブラウザにアクセスして、追加で容量を増やす方法も検討できます。
Q7. 誤って上書き保存したファイルを過去の状態に戻せますか？
A. OneDriveまたはSharePointの「バージョン履歴」から、以前のファイルを復元できるため、過去の状態に戻すことは可能です。Microsoft 365にはもともと、クラウド上（OneDriveまたはSharePoint）にデータが数秒単位で自動保存される機能があります。ただし、これを活用するには普段からネットワーク環境下で自動保存機能の設定を有効にしておく必要があります。
【Teams】よくあるQ&A
Microsoft 365の機能に含まれるTeamsに関してよくある疑問へ回答します。
Q1. Web会議の録画データはどこに保存されますか？
A. Teamsでは、Webミーティングの録画データがOneDriveまたはSharePointに格納されます。Teamsのチーム機能にあるチャンネルで会議を行った場合はSharePointに、チャネル外でミーティングした場合は主催者のOneDriveの「レコーディング」フォルダに保存されます。
Q2. 社外の人（ゲスト）をTeamsに招待できない時の原因は何ですか？
A. ゲストを招待できないのは、管理センターで「ゲストアクセス」が許可されていない可能性があります。Teamsにゲストを招待するためには、組織の管理者にMicrosoft Entra 外部 ID及びMicrosoft 365（Teams）の両方の管理センターで、ゲストアクセスを有効にしてもらわなければなりません。
【Outlook】よくあるQ&A
続いてはMicrosoft 365で利用できるOutlookのよくある疑問について答えます。
Q1. 送信直後のメールを取り消すことはできますか？
A. Outlookで送信したメールは一定の条件を満たしていれば、送信の取り消し、もしくは置き換えが可能です。取り消し・置き換えは、メールを送付した相手がビジネス向けのMicrosoft 365またはMicrosoft Exchangeを使用していて、未読かつ同じ組織内の場合です。
Q2. 「info@」などの代表アドレスを複数人で管理したい場合は別途ライセンスが必要ですか？
A. Outlookの「共有メールボックス」なら別途ライセンスを用意する必要なく、50GBまでのメールデータを複数人で管理できます。また、特定のメールアドレスに送付するメールを、複数人で対応できるため、問い合わせ窓口や部署代表のメールアドレスなどとして活用されます。なお、送受信するには、管理者にアクセス許可を付与してもらう必要があります。
【Excel】よくあるQ＆A
Microsoft 365の主要ツールのひとつであるExcelに関するよくある質問について回答します。
Q1. ブラウザ版（Web版）のExcelで、既存のマクロ（VBA）は動かせますか？
A. ブラウザ版（Web版）のExcelでは、VBAマクロの実行や編集などはできません。しかし、マクロ付きファイル（.xlsm）は開いた上で、編集が可能です。
なおデスクトップ版のアプリのExcelであれば、マクロの作成や編集もできるため、マクロを利用する業務フローがある場合は、デスクトップ版を推奨します。
Q2. Excelの「共同編集」はできますか？
A. Excelブックでリアルタイムにほかの人と共同編集ができます。ただし、ファイル形式が「.xlsx」「.xlsm」「.xlsb」、の場合に共同編集が可能です。また新しいバージョンがインストールされており、Microsoft 365にサインインした状態に限られます。さらにファイルの保存場所が「OneDrive」または「SharePoint」も必須条件です。
【管理・運用】よくあるQ＆A
Microsoft 365の導入後の管理の方法や運用の際に起きる問題に対して回答します。
Q1. 社員が退職した場合、ライセンスはどう処理するべきですか？
A. 退職した社員のアクセスをブロックし、ライセンスの割り当てを解除することを推奨します。ブロックすれば退職者がサインインできないため、セキュリティ面に配慮できます。なお、解除されたライセンスは、他の従業員に割り当てるか、契約数を減らすなどコストの削減が可能です。
Q2. スマホ紛失時などにデータを遠隔消去できますか？
A. 「Business Premium」プランであれば、遠隔消去が可能です。「Intune」機能を使うことで、紛失したスマートフォンのデータのみを削除したり、端末を初期化したりできます。Microsoft 365の一般法人向けのプランのうち、「Intune」機能があるのは「 Business Premium」に限られます。
まとめ
Microsoft 365は一般法人向けに、機能・サポート・セキュリティ強度別で、複数のプランがあります。上位プランほど多機能なため、業務効率化やコンプライアンス強化を見込めます。機能を使いこなすためには運用・管理の方法を把握しなければなりません。使い方を押さえて導入を検討してください。
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