年賀状廃止が急増!企業の年賀状じまい事情|挨拶状の文例をご紹介

近年、儀礼的な挨拶を見直す動きが広がり、企業間でも年賀状廃止の選択が目立つようになりました。コスト削減や業務効率化、環境配慮といった社会的な要請が背景にあります。

この記事では、企業が年賀状をやめる理由やメリット、取引先に失礼なく伝えるためのポイントを解説し、そのまま使える挨拶状の文例も紹介します。年賀状じまいを円滑に進めるための具体的な方法を確認していきましょう。

目次

企業が年賀状をやめる3つの主な理由

多くの企業が慣習として続けてきた年賀状の送付を取りやめる背景には、複数の経営判断が関係しています。特に、直接的な経費削減、全社的な業務効率化の推進、そして企業の社会的責任への意識の高まりが、この流れを加速させている要因と考えられます。

これらは、単なる儀礼の見直しにとどまらず、企業としての姿勢を示す重要な決定事項となりつつあります。


印刷や郵送にかかるコストを削減するため

年賀状の送付には、年賀はがき代や印刷会社への外注費、切手代といった直接的な費用が発生します。特にに取引先が多い企業の場合、これらのコストは決して無視できない金額になります。また、デザイン作成や宛名印刷、発送作業にかかる人件費も考慮しなければなりません。

これらの費用を削減することは、企業の利益改善に直接つながるため、コスト意識の高い経営層にとって年賀状の廃止は合理的な選択肢となります。削減した予算を他の事業活動に再投資できる点も、廃止を後押しする大きな要因です。


働き方改革やデジタル化を推進するため

年賀状の作成は、担当部署や担当者にとって年末の繁忙期における大きな負担となります。送付先のリスト管理からデザインの選定、印刷、宛名確認、一言メッセージの追記、そして投函まで、多くの時間と手間を要する作業です。

働き方改革が叫ばれる中、こうした季節的で定型的な業務をなくすことは、従業員の負担軽減と業務効率化に直結します。また、デジタル化推進の一環として、年始の挨拶をメールやコーポレートサイト、SNSなどに切り替える企業も増えており、時代の変化に対応する姿勢を示すことにもなります。


環境問題(SDGs)への配慮を示すため

企業の社会的責任として、環境問題への取り組みはますます重要視されています。年賀状は紙を大量に消費するため、森林資源の保護という観点から送付を見直す動きが活発化しています。

ペーパーレス化を推進することは、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献にもつながり、企業のイメージアップにも寄与します。環境への配慮を理由に年賀状の廃止を告知することで、取引先や社会に対して、企業の環境保護に対する真摯な姿勢をアピールする機会ともなり得ます。

法人が年賀状を廃止することで得られる2つのメリット

法人が年始の挨拶状を取りやめる決断は、単なる慣習の見直し以上の効果をもたらします。この変更により、これまで年末の業務を圧迫していた作業から解放され、従業員の負担が大幅に軽減される点が挙げられます。

さらに、それに伴い捻出された経費や人的リソースを、より生産性の高い業務へと戦略的に再配分することが可能になり、企業全体の競争力強化にも貢献します。


年賀状作成にかかる担当者の業務負担を軽減できる

年末の繁忙期において、年賀状の作成は担当者にとって大きな業務負担となります。具体的には、送付先リストの更新・管理、デザインの選定、印刷会社とのやり取り、宛名や役職の最終確認、手書きでの一言メッセージの追加、そして発送作業と、多岐にわたる工程が存在します。

これらの作業がなくなることで、担当者は本来注力すべきコア業務に集中できるようになり、残業時間の削減や生産性の向上に期待が持てます。年末の残業時間削減にもつながり、従業員のワークライフバランス改善にもつながり、組織全体の士気を高める効果も見込めます。


経費削減により他の業務へリソースを配分できる

年賀状の作成と送付にかかる費用は、はがき代、印刷費、郵送費、人件費と多岐にわたり、合計すると相当な金額になります。年賀状を廃止することで、これらの経費を完全に削減できます。

削減された予算は、新たなマーケティング活動、顧客満足度向上のための施策、従業員への福利厚生の充実など、企業の成長に直接貢献する分野へ再投資が可能です。このように、年始の挨拶という慣習を見直すだけで、貴重な経営資源をより戦略的な用途に振り分けられるようになります。

取引先に失礼なく年賀状じまいを伝えるための3つのポイント

年賀状の廃止は、一方的な通知では取引先との良好な関係を損なう可能性があります。相手への配慮を欠かさず、円滑に移行するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

特に、廃止を伝えるタイミング、相手との関係性に応じた対応方法の選択、そして今後の関係維持への意欲を明確に示すことが、相手の理解を得る上で不可欠です。


廃止を伝えるタイミングは11月〜12月上旬が最適

年賀状廃止の通知は、相手が年賀状の準備を始める前に行うのがマナーです。多くの企業では11月下旬から12月上旬にかけて準備を開始するため、11月中、遅くとも12月の第3週までにはお知らせするのが理想的です。このタイミングで伝えることで、相手が自社宛ての年賀状を用意してしまう手間や無駄なコストをかけさせずに済みます。

通知方法としては、年末の挨拶で訪問する際に直接伝えたり、独立した挨拶状を送付したりするのが丁寧な対応とされます。早すぎる通知は忘れられてしまう可能性があり、遅すぎると失礼にあたるため、適切な時期を見計らうことが重要です。


全ての取引先に一律ではなく関係性に応じて対応を変える

年賀状の廃止を伝える際は、すべての取引先に同じ方法で通知するのではなく、関係性の深さに応じて対応を使い分けることが望ましいです。例えば、長年にわたりお世話になっている重要な取引先や担当者には、メールでの一斉送信ではなく、個別に挨拶状を送付したり、年末の挨拶で訪問した際に口頭で丁寧に説明したりすると良いでしょう。

一方で、付き合いが浅い取引先や多数の連絡先に対しては、メールや公式サイトでの告知でも問題ない場合があります。相手への敬意を示すためにも、画一的な対応は避け、個別性を考慮したコミュニケーションを心がけるべきです。


今後も変わらぬお付き合いをお願いする気持ちを伝える

年賀状の廃止が、取引関係の軽視や縮小を意図するものではないことを明確に伝える必要があります。挨拶状の文面には、年賀状を廃止する旨だけでなく、これまでの感謝の気持ちと、今後も変わらぬお付き合いを願う真摯なメッセージを必ず含めましょう。

「誠に勝手ながら」といったクッション言葉を用いつつ、「今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」のように、関係継続を望む姿勢を丁寧に表現することが大切です。
これにより、相手は形式的な挨拶がなくなるだけで、ビジネス上の関係はこれまで通り続くと理解し、安心感を持つことができます。

【文例集】そのまま使える企業の年賀状じまい挨拶状

年賀状の廃止を取引先に伝える際には、失礼のないよう丁寧な表現を心がける必要があります。ここでは、具体的なシチュエーションに応じて活用できる挨拶状の文例を3つのパターンで紹介します。
年末に事前に通知する場合、最後の年賀状で知らせる場合、そして年賀状をいただいた相手に返信する場合と、それぞれの状況に適した文面を用意しました。自社の状況に合わせて適宜修正し、ご活用ください。


年末に挨拶状やメールで事前に伝える場合の文例

拝啓 師走の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、弊社では近年のデジタル環境への移行や自然環境意識の高まりなどを鑑み、
誠に勝手ながら、来年よりすべてのお取引先様に対し、年賀状による年始のご挨拶を控えさせていただくことといたしました。

今後はメール等にてご挨拶申し上げる所存でございます。
貴社におかれましても、弊社へのお心遣いはご不要にござますので、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
今後とも変わらぬご厚情を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。敬具


最後の年賀状で来年以降の廃止を知らせる場合の文例

謹んで新春のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
さて、弊社ではSDGsへの取り組みやデジタル化推進の一環として、皆様への年賀状によるご挨拶を本年をもちまして控えさせていただくことになりました。
誠に勝手ではございますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

今後も皆様のご期待に沿えるよう一層の努力を重ねてまいりますので、変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
皆様の今後のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。


年賀状をいただいたお相手へ寒中見舞いで伝える場合の文例

寒中お見舞い申し上げます。
この度は、丁寧な年始のご挨拶をいただき、誠にありがとうございました。
皆様におかれましては、幸多き新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

誠に勝手ながら、弊社では昨年より年賀状によるご挨拶を控えさせていただいております。本来であれば、こちらからご挨拶申し上げるべきところ、ご連絡が行き届かず大変失礼いたしました。
今後も変わらぬお付き合いをいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
寒さ厳しき折、皆様のますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます。


まとめ

企業が年賀状を廃止する動きは、コスト削減、業務効率化、環境配慮といった現代的な経営課題への対応として広まっています。
この「年賀状じまい」を円滑に進めるためには、一方的な通知ではなく、取引先への配慮が不可欠です。

具体的には、相手が年賀状を準備する前の11月から12月上旬に通知し、関係性の深さに応じて伝え方を変えることが求められます。
そして、廃止の理由とともに、今後も良好な関係を継続したいという意思を明確に伝えることが重要です。
適切な手順と丁寧なコミュニケーションを心がけることで、取引先の理解を得ながら、新しい時代の挨拶の形へと移行しましょう。

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