Canvaは、デザインの専門知識がない方でも直感的な操作でプロ品質のグラフィックデザインを簡単に作成できるオンラインツールとして、世界中で多くのユーザーに利用されています。特に、ビジネスシーンでの活用を目的とした「CanvaTeams」プランは、企業や組織でのデザイン業務を効率化し、チームでのコラボレーションを促進するために開発されました。本ガイドでは、CanvaTeamsの具体的な機能、料金体系、導入プロセス、効果的な活用方法、そして法人利用における重要な注意点について詳しく解説します。
Canva Teamsの基本
CanvaTeamsは、企業や組織内のチームがデザイン業務を効率的に進めるために設計されたCanvaの有料プランです。個人利用を想定したCanvaProとは異なり、複数人での共同作業、ブランドイメージの統一管理、そして管理者によるメンバーやアクセス権限のコントロールなど、チームで利用する際に必要となる機能が強化されています。例えば、複数のメンバーが同時に一つのデザインを編集できるリアルタイム共同編集機能は、離れた場所にいるチームメンバー間でも効率的なデザイン作業を可能にし、フィードバックの時間を大幅に短縮できます。また、チームで共有する素材やテンプレートを一元管理できるため、デザインの品質を維持しながら、プロジェクトの進捗管理も容易になります。これにより、社内広報やマーケティング資料の作成、イベント用の印刷物制作など、多岐にわたるビジネスシーンでCanvaTeamsを効果的に活用し、デザイン業務の効率化とコスト削減に繋げることが可能です。

Canva(キャンバ)
簡単操作で誰でもあらゆるデザインを作成できるビジネス版「Canva」
豊富なテンプレートや素材が用意されているため、ドラッグ&ドロップで誰でも簡単に
プロクオリティのプレゼンテーション、動画、ポスター、メニューなどあらゆるものをデザインできます。
Canva Teamsの主要な機能
CanvaTeamsの主要な機能は、チームでのデザイン作成と管理を大幅に効率化します。まず、リアルタイムでの共同編集機能が充実しており、複数メンバーが同時にデザインを編集し、リアルタイムで修正内容を確認できます。これにより、離れた場所にいるメンバー間でも効率的な作業が可能です。例えば、マーケティング担当者がベースデザインを作成し、デザイナーが調整、マネージャーが最終確認を行うといった分業体制もスムーズに進められます。
次に、ブランドキット機能は、企業ロゴ、ブランドカラー、フォントなどを一元管理し、チーム全体でブランドの一貫性を保つ上で不可欠です。一度設定すれば、すべてのデザインに簡単に適用でき、制作物全体の統一感を維持できます。また、チームテンプレートの作成と管理機能も重要です。よく使用するデザインをチームテンプレートとして保存することで、メンバー全員が同じテンプレートを利用でき、デザインの標準化と制作時間の短縮に貢献します。さらに、デザインの承認ワークフローや編集権限の詳細設定が可能な管理者権限も提供されており、プロジェクトの品質管理やセキュリティを強化できます。
個人事業主などで1人で利用する際はCanvaProがおすすめですが、ブランドキット機能を利用できるため、CanvaTeamsプランは小規模チームでも導入しやすいのが特徴です。加えて、コンテンツプランナーやSNS予約投稿機能により、SNS投稿のスケジュール管理を効率化し、複数のSNSアカウントを一元管理することも可能です。これらの機能により、CanvaTeamsはデザイン作成の効率化だけでなく、チーム全体のコラボレーションとブランド管理を強力にサポートします。
Canva Teamsの料金プランと導入
CanvaTeamsの料金プランは、チームの規模や利用目的に応じて選択できます。導入を検討する際には、料金体系の理解に加え、支払い方法やアカウント管理についても把握しておくことが重要です。
Canva Teamsの料金体系
CanvaTeamsの料金体系は、利用人数によって変動し、主に年間プランが提供されています。基本料金は年間プランで1人あたり税込16,500円(最小3名から利用可能)とされています。ただし、CanvaPro(個人利用)と比べるとCanvaTeamsの年額料金は少し高くなりますが、企業の高額なデザイン外注費やソフトウェア購入費を削減し、年間で数十万円から30万円以上のコスト削減に繋がるケースも存在します。
Canva Teamsの支払い方法
CanvaTeamsの支払い方法は、Canva公式オンラインサイトではクレジットカードのみ利用できます。無料トライアル期間を試した後、有料プランへ移行する際には、登録時に選択した支払い方法で自動的に課金される仕組みになっています。そのため、無料トライアル期間中に継続利用の意思がない場合は、期間終了前に解約手続きを行うことで料金発生を防ぐ必要があります。Canvaの公式サイトでの支払い方法として請求書払いは基本的に対応しておらず、クレジットカード決済が推奨されています。
請求書払いをしたい場合は、Canvaの代理店であるビズらくよりご契約すると請求書での決済が可能になるケースもあります。支払いに関するトラブルを防ぐためにも、契約前に支払い方法の仕組みを十分に理解しておきましょう。
Canva Teamsの導入とアカウント管理
CanvaTeamsの導入は、まずビズらくで該当プランをカートに追加し、申し込み手続きを完了させる必要があります。その後、アカウント開通完了メールが送られますので、メールからログインを行ってください。
管理者はホーム画面から「チーム」タブを選択し、チームの名前を入力して作成します。チームの作成が完了したら、メンバーを招待することができます。招待方法は、メールアドレスを入力するか、リンクを送信することで可能です。アカウント管理においては、チームの所有者、管理者、テンプレートデザイナー、メンバーといった役割と権限を細かく設定できます。例えば、管理者はメンバーのアクセス範囲を制限したり、デザインの承認ワークフローを設定したりすることが可能です。特に、デザインの承認プロセスやアクセス管理システムは、大規模な組織での利用において重要となります。
また、退職者が出た場合のデザイン所有権限の移行も可能です。CanvaTeamsは、複数メンバーで共同作業を行うことを目的としているため、各メンバーが個別にCanvaに契約している状態から、チームとして一元管理できるようになることで、デザイン資産の管理やブランドの一貫性維持が容易になります。

Canva(キャンバ)
簡単操作で誰でもあらゆるデザインを作成できるビジネス版「Canva」
豊富なテンプレートや素材が用意されているため、ドラッグ&ドロップで誰でも簡単に
プロクオリティのプレゼンテーション、動画、ポスター、メニューなどあらゆるものをデザインできます。
Canva Teamsの活用
CanvaTeamsは、単なるデザインツールではなく、チーム全体の生産性向上とブランド価値の確立に貢献する強力なプラットフォームです。共同編集機能やブランド管理機能を通じて、効率的なデザインワークフローを実現し、多様なビジネスシーンで活用できます。
チームでの共同編集
CanvaTeamsの最大の強みの一つは、チームでの共同編集機能が非常に充実している点です。複数のメンバーがリアルタイムで同じデザインにアクセスし、同時に編集作業を進めることができます。これにより、離れた場所にいるチームメンバー同士でも効率的にデザイン作成を進めることができ、例えばマーケティング担当者がデザインのベースを作成し、デザイナーが調整を行い、マネージャーが最終確認をするといった分業体制をスムーズに実現します。
デザイン内のコメント機能も充実しており、修正指示やフィードバックをピンポイントで伝えられるため、コミュニケーションの効率が向上し、フィードバックの時間が大幅に短縮されます。メンバーはそれぞれの役割に応じて編集権限を設定できるため、誤操作を防ぎつつ、デザインの品質を維持することが可能です。また、チームフォルダを活用することで、デザイン関連のツールや素材を一元的に管理し、アクセス権限を付与することでセキュリティも確保されます。このように、CanvaTeamsの共同編集機能は、プロジェクトの効率的な進行とチーム内の円滑なコラボレーションを強力にサポートします。
ブランドの一貫性
CanvaTeamsは、企業や組織のブランドの一貫性を維持するために非常に重要な機能を提供しています。特に「ブランドキット」機能は、企業のロゴ、ブランドカラー、フォントなどを一元管理できるため、チーム全体で統一感のあるデザインを作成する上で不可欠です。一度ブランドキットを設定すれば、新しいデザインを作成する際にもワンクリックでこれらのブランド要素を適用できるため、毎回色やフォントを選び直す手間が省けます。
これは、SNS投稿やプレゼン資料、マーケティング素材など、さまざまなコンテンツで一貫したブランドイメージを維持するために役立ちます。チームでデザインを作成する場合、制作者によってデザインにばらつきが出るといった問題が発生しがちですが、ブランドキットを活用することで、メンバー全員が同じブランド要素を使用できるため、このような問題を解消できます。また、ブランドコントロール機能により、カラーやフォントの使用を制限したり、デザインの承認プロセスを設定したりすることも可能です。これにより、企業のミッションやブランドガイドラインに沿ったデザイン制作が徹底され、ブランドの認知度や信頼性向上に貢献します。
法人利用におけるメリットと活用事例
Canva Teamsを法人で利用するメリットは多岐にわたり、特に小規模ビジネスにおいては、デザイナーを雇うコストをかけずにプロ品質のデザインを内製できるようになるため、競争力を高める上で非常に有効です。デザインの専門知識がない社員でも簡単に高品質なデザインを作成できるため、外注コストを削減し、社内での制作効率を大幅に向上させることが可能です。実際、外部委託に比べて年間数十万円以上のコスト削減に繋がるケースも報告されています。
具体的な活用事例としては、大手旅行会社ではCanva Enterpriseを導入したことで、デザインコストを93%削減し、ビデオ制作時間を3日から3時間へ短縮した事例があります。これにより、世界中の16,000人のチームがブランドに関連するコンテンツを効率的に作成できるようになりました。また、動画学習サービス配信会社では、SNS投稿のクリエイティブ制作を内製化するためにCanvaを導入し、これまで1週間かかっていた制作工数を1~2時間に短縮、月によっては外注コストがゼロになったと報告されています。Webメディア運営をしている会社ではCanva導入によりデザイナー不足を解消し、社員の4割がCanvaを活用することでデザイン業務の効率化と品質向上を実現しました。
美容クリニックでは、症例写真や院内ポスター、SNS投稿の作成にCanva Teamsを活用し、チーム連携による共同編集で業務効率化を実現しています。また、市役所でも市の案内デザインや掲示物作成にCanvaを導入し、デザイン知識のない職員でも高品質なデザインを作成できるようになりました。これらの事例からも、Canva Teamsはデザイン業務の効率化、コスト削減、ブランドの一貫性維持、そしてチームコラボレーションの強化という点で、多岐にわたる法人に大きなメリットをもたらすことがわかります。

Canva機能の説明と導入事例紹介資料
プロクオリティーのデザインを簡単に作れるデザインツール「Canva」について、基本の機能や
使用例をご紹介した資料です。Canvaについて興味のある方はまずこちらをご覧ください。
Canva利用における注意点
Canvaを法人で利用する際には、料金請求や解約手続き、商用利用と著作権、そしてセキュリティとデータ管理に関する注意点を十分に理解しておく必要があります。
Canvaで作成したコンテンツの商用利用と著作権
Canvaで作成したデザインは、基本的な商用利用が可能ですが、著作権や利用規約に関する詳細を理解しておくことが重要です。Canvaが提供する素材には、無料版と有料版(Canva Pro、Canva Teamsなど)で利用範囲が異なるライセンスが定められています。有料プランに加入すると商用利用可能な素材の範囲は大幅に広がりますが、それでも全ての素材が無制限に商用利用できるわけではありません。そのため、使用する素材ごとに提示されるライセンス条件を必ず確認することが不可欠です。
特に注意すべき点はいくつかあります。まず、Canvaの無料素材をそのまま使用するのではなく、適切な加工や変更を加える必要があります。テンプレートをそのまま印刷して販売する行為は禁止されています。
次に、Canvaで作成したデザインやロゴを商標登録することは基本的にできません。ただし、丸や四角などCanvaでなくても作成できるシンプルな図形のみで構成されたデザインはこの限りではありません。また、著作権表記が必要とされる素材を使用した場合は、「画像提供:Canva」などのクレジット表記を投稿内に入れることで著作権侵害を防げます。Canva Proプランを利用している場合は、表記不要の素材が多くなります。
さらに、Canvaは世界中で利用されており、テンプレートが豊富なため、そのまま使用すると他社とデザインが重複する可能性があります。オリジナリティを加えることで著作権侵害のリスクを軽減し、ブランド独自の視覚的表現を確立することが重要です。これらのルールを遵守することで、法的なトラブルを回避し、安心してCanvaを商用利用することができます。
セキュリティとデータ管理
Canvaのようなクラウドベースのデザインツールを法人で利用する際は、セキュリティとデータ管理に細心の注意を払う必要があります。特に機密情報を含むデザインデータを扱う場合、情報漏洩や不正アクセス、ハッキングのリスクを考慮し、適切な対策を講じることが重要です。
CanvaEnterpriseのような大規模組織向けのプランでは、シングルサインオン(SSO)やIDMプロバイダーとの連携、SCIMでのプロビジョニングといった高度な権限管理とセキュリティ機能が提供されています。これにより、共有権限の細かな設定や監査ログ・レポート機能を通じて、Canvaの利用状況を詳細に把握し、企業レベルでの厳密な管理が可能です。さらに、Enterpriseプランでは、企業や個人のデータがAIによって学習されることがありません。
ユーザー自身も、強力なパスワード設定と二段階認証の利用、共有権限の適切な管理、定期的なデータバックアップ、バージョン履歴の活用、個人情報保護の徹底といったセキュリティ対策を行うことが大切です。これらの対策を講じることで、Canvaを安全かつ効果的に法人利用することができます。