人材の流出を防ぐには、働きやすい環境作りが重要です。この記事では、介護・医療現場で働きやすい職場を作るための3つのポイントや、現場の働き方を改善するサービスやプログラムについて解説します。現在の職場における課題を解決するには、デジタルツールの活用がおすすめです。
介護・医療業界の人手不足には働きやすい職場作りが大切
さまざまな業界で人手不足が生じていますが、介護・医療業界では特に深刻です。
国内の生産年齢人口(15~64歳)は減少し続けており、内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によれば、2022年時点で7,421万人の生産年齢人口は2050年には5,540万人まで減少する見通しです。また、パーソナル総合研究所と中央大学が公表した「労働市場の未来推計 2030」によると、2030年には医療・福祉分野で187万人が不足するという予測が出ています。
介護・医療分野では離職率の高さも問題化しており、貴重な人材を流出させない仕組み作りが重要です。長く働いてもらうには給与を上げるといった対策だけでなく、職場環境の改善が不可欠です。
参考:パーソナル総合研究所|労働市場の未来推計 2030
参考:内閣府|令和5年版高齢社会白書第1章 高齢化の状況
介護・医療現場で働きやすい職場を作るためのポイント3つ
介護・医療現場の環境を改善することで、人材の定着や業務効率化などの効果が期待できます。働きやすい職場を作るために重要な3つのポイントについて解説します。
研修やサポート体制を充実させる
新しい職場で働きはじめる場合、誰もが即戦力になれるわけではありません。経験が浅いスタッフやブランクのあるスタッフが安心して働けるように、研修やサポート体制を充実させましょう。
マニュアルを整備すれば仕事の手順や流れが明確になり、業務をスムーズに進めやすくなります。またスタッフからの質問や問い合わせに対応する担当者を決めておけば、業務に不慣れなスタッフでもすぐに不明点を確認・解決でき、安心できます。最新の知識や情報を得られるため、研修は定期的に実施すると効果的です。不安や疑問があってもすぐに解消でき、サポートしてもらえることでストレスやプレッシャーを感じにくくなります。緊張や焦りによるミスも減り、スタッフの精神状態が安定することによって職場の人間関係も良好になるはずです。
子どもや要介護者がいるスタッフに配慮する
子育てや介護をしているスタッフが、家庭と仕事を無理なく両立できるような仕組み作りも重要です。子どもの学校行事や病気に対応するには、仕事を休む必要があります。介護をしているスタッフは、時短勤務を希望するかもしれません。スタッフの要望にも柔軟に対応できるように、勤務体制を整えましょう。個別の事情に配慮して働きやすい環境を作ることで、長く働いてもらえる可能性が高まります。
一方で、フルタイムで働けるスタッフへの配慮も忘れてはなりません。急に休んだスタッフには別の日に働いてもらうなど、事情を抱えていないスタッフの業務が過重にならないようにしましょう。また、ほかのスタッフのサポートをした場合は給与を上乗せするなど、不公平感をなくす取り組みも重要です。誰かが急に休んでも不満や負担が生じにくいような職場環境を整備しましょう。
休日をしっかり確保する
休日の確保も、働きやすい環境作りには重要です。シフト制で働く看護師の場合、「休みを取りづらい」、「希望を出せない」といった悩みを抱える人も少なくありません。特に人手不足の場合は夜勤も多くなり、連続で休みを取りにくいことも多いでしょう。
スタッフがしっかり休息を取れるように勤務時間を調整し、休みを取りやすい体制を整えましょう。希望通り休みを取れる職場では余裕を持って働けるため、疲労やストレスを解消しやすくなります。長期的に見れば、スタッフの仕事環境に対する満足度も向上します。
介護・医療現場の働き方改善にはデジタル化がおすすめ
人手不足が進む中でスタッフが働きやすい環境を整えるには、デジタル化による業務効率化や生産性の向上が不可欠です。以下に紹介するITツールやプログラムを利用し、スタッフの負担を軽減させて快適な職場作りを実現させましょう。
オンライン教育プログラム(e-トレーニング)みえる・まなぶ キラリア感染予防
みえる・まなぶ キラリア感染予防 は、介護スタッフ向けのオンライン感染予防教育プログラム(e-トレーニング)です。感染対策に関する基礎知識から実践方法までを”いつでも” ”どこでも”学べる動画教育サービスです。Kiralia独自の「自己点検シート」により、施設の課題を明らかにした上で受講コンテンツの推奨を受けられ、効率的かつ実践力重視の教育が受けられます。視聴時間は1コンテンツあたり5分程度で、PCやタブレットで視聴可能なため、隙間時間を利用して受講可能です。直接スタッフを集めて行う研修や教育が難しい場合、忙しい現場でも無理なく続けることができます。
みえる・まなぶ キラリア感染予防
介護職員・スタッフ様向けの感染予防に特化したオンライン教育プログラム
(e-トレーニング)。現場課題に合わせた最適な教育コンテンツをご提供。
受講前後に実施する自己点検シートによって意識や行動の変化が可視化でき、
知識の定着も図れます。
業務共有が簡単に LINE WORKS
医療・介護・福祉分野で広く利用されているのが、ビジネス版のLINEである LINE WORKS です。介護・医療現場では、スタッフ間のコミュニケーションや情報共有を、なるべくタイムラグなくスムーズに行わなければなりません。LINE WORKSでは、スマートデバイスやタブレットから作業状況や患者の状態に関する情報を送信でき、正確かつ迅速な情報共有が可能です。操作性にも優れており、専門的なIT知識がなくても使いこなせます。また、複数のツールと連携させれば勤怠打刻も簡便に行えます。セキュリティレベルも金融・官公庁が導入するほど高く、情報管理もしやすくなるため業務時間を削減可能です。
タスク管理やカレンダー、設備予約などの機能も搭載されており、スタッフの予定も分かりやすいため無理がないシフト体制を組むこともできます。ミスや行き違いも減るので業務効率化が進み、業務負荷も軽減できます。
見守りサービス Safie
クラウドカメラ Safie(セーフィー) を防犯や施設管理に利用すれば、人間関係のトラブルや事故、夜勤などの業務負担など、現場の課題を解決できます。屋内設置の場合工事や設定は不要であり、クラウドカメラ本体とインターネット接続環境があれば利用可能です。
Safieを設置すれば、トラブルが発生しても映像から原因を特定できます。転倒事故などの経緯も確認できるので、転倒防止の対策につなげられます。利用者のご家族と現場状況を共有できるため、信頼関係を構築しやすくなるはずです。
さらにSafieは暗闇でも高画質な映像を撮影でき、夜間の見回りにも利用可能です。動きや音を検知し通知してくれるため、ずっと付き添う必要がある利用者の部屋に設置すればスタッフの負担を減らせます。
このように、一部の業務を削減できるため、少ないスタッフでも、より効率よく業務を行えます。
現場の改善はまず「洗い出し」から
現場の働き方を改善するにはデジタル化が重要ですが、新しいツールやシステムを導入するだけでは不十分です。スタッフが使いこなせない場合、かえって負担になりかねません。
まずは現状を把握し、問題点を洗い出しましょう。現場ではどのような問題が生じており、スタッフがどういった不満や悩みを抱えているのかについて聞き取り調査が必要です。さまざまな立場のスタッフから、幅広く意見を求めましょう。直接話しにくい悩みもあるため、書面での調査も行うことをおすすめします。現状の課題が明らかになったら、課題を解決に導くデジタルツールの導入を検討します。その場合、機能やコストに加えて、スタッフにとっての使いやすさにも着目しましょう。
まとめ:医療・介護の職場環境をデジタル化で改善しよう
人手不足の解消には、サポート体制の構築や休みを取りやすくするなどの対策が有効です。デジタル化を進めて職場環境を改善できれば、スタッフに加えて経営者や利用者もメリットを受けられます。そのためには、まずは課題を明確化するところからはじめましょう。