2024年注目の人事・労務トレンドと企業がやるべきことは?

2024年以降は、新たな法律の施行や制度の見直しが行われるため、企業は適切に対応を進めていかなければなりません。そのためには、2024年注目の人事・労務トレンドを押さえておくことが大切です。本記事では、2024年以降の人事・労務トレンドや具体的に求められる対応などを解説します。

2024年注目の人事・労務トレンド6選

働き方改革の推進や新型コロナウイルスの流行、法改正に伴う新たな制度のスタートなどを経て、2024年からは企業における人事・労務関連の業務が変化すると考えられています。以下では、2024年注目の人事・労務のトレンドを紹介します。

2024年注目の人事・労務トレンド

働き方のパーソナライズ

2024年以降は、従業員の育成や働き方のパーソナライズがより進むと考えられています。パーソナライズとは、個々の特性やスキル、置かれている環境、状況などにあわせて最適化することです。

例えば、育児や家族の介護が必要な従業員にはリモートワークやフレックスタイム制を適用する、全従業員を対象とした研修ではなく個々の能力や経験にあわせた研修を実施するなどが挙げられます。

「ビズらく」で扱っている介護職・スタッフ様向けのオンライン教育プログラムでも、個々にパーソナライズした学習提案を行っています。学習前後の変化を確認できる「自己点検シート」の運用によって個々の課題を明確にでき、忙しい現場に居る従業員に適切な学習提案を行える点が特長です

多様な採用手法が定着

新型コロナウイルスの流行や価値観の変化などによって、企業の採用手法も変わりつつあります。コロナ禍の影響を受け深刻な人材難に陥った企業も多く、今後はさらに採用手法が多様化すると考えられます。

従来は、入社を希望する求職者の応募を受け、企業が選考のうえ採用するのが一般的でした。しかし、近年では企業側から求職者へアプローチするダイレクトリクルーティングの活用も広がっています。

ダイレクトリクルーティングの特長は、人材紹介会社や求人媒体などをあいだに挟むことなく、企業が気になる人材へ直接アプローチする点です。企業自らが自社にマッチする人材を見つけられるうえに、採用コストを抑えられる点が大きなメリットです

また、リファラル採用を実施する企業も増えてきました。これは、自社の従業員やその家族、取引先などから人材を紹介してもらう手法です。

オンライン面接も定着しています。コロナ禍では従来型の対面形式による面接が難しくなったことがひとつの理由です。

多様な採用手法を実施する前に、スムーズな採用を実現するための準備も重要です。少子高齢化に伴って日本全体の労働力人口が減少している今、人手不足に陥ってから採用活動をはじめても、簡単に人材は確保できません。企業と求職者がフランクに情報交換できる、カジュアル面接などの環境・体制の整備も進めていきましょう。

「格差をなくす」人事の強化

日本における男女間の賃金格差は、長らく議論の的となってきました。国はこの問題を解消すべく、2022年7月8日に改正女性活躍推進法を施行しました。これによって、常時301人以上の従業員を雇用している企業は、男女間の賃金にどれくらいの差があるのかを公表しなくてはならなくなりました。

また、育児・介護休業法の改正に伴い、2023年4月1日からは男性の育児休業の取得状況公表が、常時1,000人を超える従業員を雇用する企業に義務づけられています。さらに、大手企業約4,000社を対象として、人材育成や流動性、従業員エンゲージメントなど7分野19項目の人的資本情報開示が義務づけられました。

これまで、社内格差や男女格差の問題はうやむやにされてきましたが、公表が義務化されたとなると今までのようにはいきません。大企業はもとより、今後は中小規模の企業でも格差をなくす取り組みが加速化すると予想できます

さらに、2024年10月からは、短時間労働者を対象に健康保険や厚生年金保険の適用範囲が変わります。これまで、従業員501人以上の企業、101人以上の企業と対象範囲が段階的に拡大されてきましたが、2024年10月以降は従業員数51人以上の企業まで範囲が拡大されるため、企業は適切な対策が必要です。

労働条件明示ルールの変更

労働基準法施行規則などの改正に伴い、2024年4月からは労働条件明示のルールが変更されます。ルール改正の主な目的は、同一労働同一賃金の実現です。

新たなルールとして、全ての労働契約締結時と有期労働契約の更新時には、就業場所・業務の変更の範囲を明示しなくてはならなくなりました。また、有期労働契約締結や更新時には、更新上限の有無や内容を明示する必要があります。無期転換申込権が発生する契約の更新時には、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件を明示することも必要です。

ルールの変更に伴い、労働条件通知書の見直しも求められます。厚生労働省の公式サイトでは、新ルールに適応した労働条件通知書のモデル様式を公開しているので、見直しの際は参考にしてみましょう。また、労務管理システムを導入すると、労務管理作業の効率化を進められるほか、労働条件通知書や雇用契約書のテンプレートを利用できるため、見直しも容易です


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2024年問題への対応

2024年より、建設業従事者やトラックドライバーなどの時間外労働に上限が適用されます。これらの業界は、市場などへのさまざまな影響を鑑み、働き方改革における時間外労働の上限規制の適用が先延ばしにされていましたが、2024年4月からいよいよ実施される運びとなりました。

これによって、ただでさえ人手不足が問題となっている物流業界に、多大な影響を及ぼす恐れがあります。例えば、ドライバー不足や荷物の納品遅れなどです。もはや猶予期間はほとんど残されていないため、適用を猶予されていた業界に属する企業は、適切な対応をとらねばなりません。


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特定技能外国人の雇用増加

出入国在留管理庁によると、日本で働いている特定技能在留資格をもつ外国人は約17万人とのことです。現在、日本で永住権を取得できる可能性がある在留資格は建設、造船・舶用工業を対象とした特定技能2号ですが、今後はこれを2分野から11分野に拡大する動きが活発化しています。
参照: 出入国在留管理庁「令和5年6月末 特定技能在留外国人数」

企業にとっては、人手不足の解消や人件費削減などのメリットが期待できる反面、文化の違いや教育コストの上昇といった問題が発生する恐れがあります。

2024年、人事・労務担当者に求められるのは?

2023年10月からスタートしたインボイス制度や、2024年問題などへの対応が企業には求められます。また、人材の定着率を高めて人手不足を解消するには、従業員の職場環境や待遇面の改善などへも積極的に取り組んでいかなければなりません

人材の定着には賃上げも有効な手段です。ただ、各企業の業績が低迷しているなかでの賃上げは、組織をさらなる窮地に立たせる恐れもあるため、慎重な判断が求められます。

このように、新たな制度や法律の施行、ルールの変化など企業が対応すべき点は多数あります。そのなかで人事・労務担当者は、従業員のエンゲージメントを高めて組織への定着や生産性の向上を実現する方法を考えなければなりません。また、コストを削減しつつどのように効率よく業務を遂行していくかを考えることも大切です。


インボイス制度に対応しましょう

2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入されました。課税事業者は正確な仕入税額控除のためにもインボイス制度への対応が求められましたが、エクセルで作成して請求書で取り急ぎ対応した職場も少なくありません。しかし、作成した請求書の管理などの対応はかなり面倒に感じるかもしれません。そのような手間を省きたいなら会計サービスの導入がおすすめです。また業務フローや保存ルールは、インボイス制度と改正電帳法を踏まえて統一するのがベストです。


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労働時間の把握と管理を行いましょう

2024年以降に備えた対策を行うには、まず現状を正確に把握することが大切です。特に、2024年問題を含む時間外労働の上限規制に対応するには、残業時間をできるだけ減らす必要があるため、従業員の労働時間を正確に把握しなくてはなりません。

おすすめなのは、勤怠管理システムの導入です。機能性と操作性に定評がある「 ジョブカン勤怠管理 」や、外部サービスとの連携性に優れる「 KING OF TIME 」なら、労働時間の正確な把握と適切な管理を実現できます。

まとめ:2024年の制度改正・トレンドへの備えを進めましょう

ただでさえ競争が激しい現代ビジネスの世界で生き残り、組織を継続的に発展させるためにも、2024年以降の法改正や人事・労務トレンドへの対応を進めていきましょう。勤怠管理システムをはじめとした、ITツールやシステムの導入も対策として有効です。

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