デジタル化への取り組みとして注目を集めているのが、「重要なチャットは1年以上保存する」という新たな指針です。ここではチャットツールが重要視されている背景や、その重要性を解説します。管理機能や操作性に優れたチャットツールを確認し、導入に備えましょう。
政府が「重要なチャットは1年以上保存」と指針
2023年10月、政府は行政機関を対象に、チャットツールを使用した業務上の伝達を行政文書として取り扱う指針を示しました。具体的には、以下のような内容が定められています。
保存期間
- 政策の企画立案に関わる重要な内容は保存期間1年以上の文書とする
- 日常的な業務内容に関する内容は保存期間1年未満の文書とする
保存方法
- スクリーンショットや文書作成ソフトへの貼りつけなど、外部出力して保存する
- 日時や当事者の所属先や氏名を明記する
参照元:内閣府|デジタル技術を用いた行政文書の作成・管理等について
この指針は、行政機関でのデジタルコミュニケーションが一般化していることを背景にしています。
行政機関におけるチャットツールの導入率
行政機関におけるチャットツールの導入率は、2023年内閣府大臣官房公文書管理課調べによると90%以上に達しています。
参照元:内閣府|各行政機関におけるチャットツールの利用状況について
すなわち、49の行政機関中45行政機関にて日常的な業務連絡にチャットツールが利用されていることがわかりました。これは情報共有や業務効率化において、チャットツールが有用であると認識されていることを示しています。
企業におけるチャットツールの導入率
行政のチャットツール導入率が高いのに対し、2023年日経BPコンサルティングの調査によると、企業の導入率は43.1%にとどまっています。企業の規模別に見ると、社員数99人以下の企業では18.8%、1万人以上の企業では79.9%であることがわかりました。
参照元: BizClip|企業のビジネスチャット利用実態調査2023
大人数で迅速な情報伝達が難しい大企業ほど導入率が高く、対面でのやり取りに支障がない中小企業ほど導入率が低いことがうかがえます。
なお、企業では Microsoft Teams や LINE WORKS 、 Chatwork などのチャットツールが使用されています。
チャットツールが重要視されている理由
チャットツールの浸透の背景には、デジタル化やリモートワーク導入による働き方の多様化など、社会の目まぐるしい変化があります。スピード感が重視される時代で、チャットツールが有効とされる理由について解説します。
コミュニケーションの活性化
チャットツールが重要視される理由のひとつは、社内コミュニケーションが円滑になることです。電話やメールは相手の都合に左右され、スピーディな意思疎通が難しい部分があります。その点チャットツールは気軽にやり取りでき、即時性があるのがメリットです。グループチャットを利用すれば情報共有も容易です。さらに、チャットでは発言者や発言内容が記録として残るので、情報伝達の漏れがなくなるという大きなメリットもあります。
タスク管理・会議の効率化
チャットツールにはメッセージのやり取りだけでなく、タスク管理機能や会議機能が備わっています。タスク管理機能では、メンバーを限定して依頼したいタスク内容を送信することことが可能です。完了報告もできるので業務の進捗管理に役立ちます。また、会議機能を利用すればリモートワークで出社していない社員とも会議が行えるので、日程調整の必要がなく効率的に業務を進められます。
ビジネスチャットの機能についてより詳しく知りたい方はこちらのお役立ち記事もおすすめ!
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政府の水準に対応して使用できるチャットツール
行政機関は機密事項を取り扱うことも多く、チャットツールには高いセキュリティとプライバシーの保護が求められます。システムエラーが発生しない信頼性が高いシステムであることも重要です。ここでは、このような行政機関の水準に対応したチャットツールを2つご紹介します。
WowTalk
WowTalk(ワウトーク)は以下のような機能を備えたビジネスチャットツールです。シンプルな操作性と法人向け管理機能を搭載した WowTalk は、1ユーザーあたり月額にすると330円(税込)とはじめやすい金額であることも魅力です。30日フリートライアルも実施しています。
ビズらくがおすすめするポイント
- パソコンやスマートデバイスからの利用が可能
- 管理者がアカウントを発行するため、情報漏えいのリスクが少ない
- アクセス権限管理機能で、部門や役職により柔軟な対応が可能
- SSL暗号化、ログ監視機能で安全性確保
- 教育不要のシンプル操作
- 22ヶ国語対応の自動翻訳機能搭載
- 複数同時通話機能、日報機能、安否確認機能搭載
Teams
Teamsは、Microsoftが提供する、行政機関での導入率No.1(2023年日経BPコンサルティング調べ)のビジネスチャットツールです。特長としては以下のようなものがあります。
ビズらくがおすすめするポイント
- 他のMicrosoft製品(Word、Excelなど)との連携が可能
- Teams App Storeにて外部アプリケーションとの連携が可能
- 連携した他のツールの更新情報が即座に通知されるため、情報のアップデートが早い
- オンライン会議でリアルタイムの文字起こしが可能
- 音声のみのWEB会議では300人参加可能、映像ありの場合は20人まで参加可能
Teamsは単体での利用は1ユーザーあたり月額500円(税別)ですが、Microsoft 365に加入すればTeamsを含むMicrosoft製品がよりおトクな価格で利用できます。クラウド上で利用可能なので、製品のアップデートごとに買い替える必要もありません。

Microsoft 365
Microsoft Teamsはチャットを主体としたコミュニケーションツール。
チャット、音声通話、ビデオ会議、ファイルなどの共有が可能です。
プラン比較表にて使用できるアプリケーションを確認しましょう。
チャットツールを導入する際の注意点
高機能搭載で便利なチャットツールですが、導入においては注意が必要な点もあります。スムーズな運用のために、導入前にチェックしておくべきことをご紹介します。
導入目的を明確にしておく
まず企業にチャットツールを導入する際には、導入目的を明確にしておくことが重要です。ビジネスチャットにはいろいろな製品があるので、使用目的に合った機能を搭載している製品を比較検討するようにしましょう。
現場での使いやすさを確認しておく
ビジネスチャット導入の成功の鍵は、使いやすさにあります。高性能で魅力的なビジネスチャットでも、操作が難しく社内に浸透しないと意味がありません。年配者など苦手意識が強い人でも簡単に使用できるシンプルなのものを選びましょう。また従業員へビジネスチャット導入の目的やメリットを周知して、理解を得ることも重要です。
日本での利用率が非常に高いLINEも、セキュリティ機能を強化したビジネスモデルを展開しています。LINE WORKSは馴染みのある画面であるため、円滑な導入と効果的な利用が可能となります。
チャット使用時のルールを定めておく
チャットツールは、メールや電話よりもフランクな対応が可能で、社員間の距離が縮まりやすいメリットがあります。その反面、利用モラルが問われるツールでもあります。ビジネスチャットをトラブルなく導入するためには、チャット使用時のルールを明確にしておきましょう。チャットの利用時間や頻度、コミュニケーションにおけるマナーなどがその例です。ファイル共有や機密事項取り扱いなど情報管理に関しては、特に細かいルール設定が必要です。業務と関係のない話をしたり、メッセージを無視したりといったマナー違反による業務の遅滞が起こらないように気をつけましょう。
まとめ:行政機関の水準に対応できるチャットツールの導入を検討しましょう
ビジネスチャットツールはコミュニケーションの活性化やタスク管理の効率化に役立つツールです。政府の新指針が発表された今、本記事でご紹介したチャットツールなどをぜひ参考に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。