電子帳簿保存法一問一答! よくある誤解や間違いを解消

「電子帳簿保存法は一通り理解しているものの、誤解している点がないか不安」「きちんと対応できているのか、あらためて確認したい」といった声は少なくありません。この記事ではよくありがちな間違いを一問一答式で解説します。ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

よくある誤解や間違い|基礎編

Q. 電子帳簿保存法は破っても罰則は無い?

A. いいえ

電子帳簿保存法はれっきとした法律であり、要件を満たしていない、かつ悪質と判断された場合には罰則を受けるおそれがあります。 例えば、青色申告の取り消しや、追徴課税推計課税の徴収が考えられます。また、会社法に基づき過料が科されることもあります。決して違反することのないよう、あらかじめ万全に対策していきましょう。


Q. 個人事業主や小規模企業は対象外?

A. いいえ

電子帳簿保存法は、規模に関係なくすべての法人・個人事業主を対象としています。また、すでに電子帳簿保存法に対応しているかどうかも関係ありません。ただ、電子データを一切扱わない場合は対象外です。


Q. e-文書法と電子帳簿保存法は同じもの?

A. いいえ

e-文書法と電子帳簿保存法は異なる法律です。前者は企業が扱う各種文書を対象とし、これまで紙ベースで保存しなければならなかった文書のうち一部について、電子保存してもよいと定めた法律です。各省庁が管轄し、申請や承認などはとくに不要とされます。

一方、後者はe-文書法が想定する文書の中でも、国税に関する帳簿書類を対象としている点で明確な違いがあります。財務省や国税庁が管轄し、申請・承認といった手続きも必要です。

よくある誤解や間違い|電子帳簿等保存編


Q. 電子帳簿保存法とインボイス制度はどんな関係?

A. 補完関係にある

インボイス制度 は交付した適格請求書の写しや、受領した適格請求書を保存することを求めます。また、電子インボイスを提供すると、適格請求書交付の代わりとして扱われるの ですが、その際に関わってくるのが電子帳簿保存法です。 発行したものであっても受領したものであっても、電子インボイスを保管するには、電子帳簿保存法が求める要件を満たさなければなりません。電子帳簿保存法はインボイス制度を補完する関係にあります。

具体的には、電子帳簿保存法は「国税」、インボイス制度は「消費税」に関する制度です。 またインボイス制度は基本的に、電子データで受領した書類を紙ベースで保存する規定です。しかし、電子帳簿保存法の要件に合致すれば、電子データでも保存できます。

両者は別の制度であるものの、対象となる書類には重複する部分があります。社内の書類保管ルールの混乱を避けるためにも、同時対応がおすすめです


Q. 手書きの帳簿や書類も電子保存しなきゃだめ?

A. いいえ

電子帳簿保存法では、最初からコンピュータで作成された文書だけに電子データ保存が認められています。つまり、手書きで作成された文書は、スキャン保存も不可のため、紙ベースで保存しなければなりません。(※) なお、電子的に作成された帳簿や書類で「手書き」で情報を加えたものも電子帳簿保存の対象外であり、書面での保存が必要です。※資金や物の流れに直結・連動する書類(契約書、領収書等)については、要件を満たせばスキャン保存が可能です。


Q. とりあえずパソコンにデータを保存すればよい?

A. いいえ

データを保存する際には要件を満たすことが必要です。その目的は「真実性の確保」と「可視性の確保」とされています。(詳しくはこちらをご覧ください。)

例えば電子保存する際に訂正あるいは削除した場合は、その旨履歴を残すことが要件です。また使用しているシステムの使用マニュアルなど、関係書類を備え付けることも必要です。 帳簿を電子保存する際はディスプレイの画面上から速やかに出力できるように、プリンタも準備しておきましょう。併せて、記録項目をすぐに探せるように検索機能を確保することも求められています。

※ただ、これらはスキャナ保存時の要件とはまた異なることにも注意が必要です。

出典:電子帳簿保存時の要件
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/05.htm


Q. 電子帳簿等保存は任意だから対応してもあまりメリットはない?

A. いいえ

電子帳簿等保存を実施し、かつ「優良な電子帳簿」の保存要件を満たすことで、次のような恩恵を受けられます。
例えば、過少申告加算税の軽減措置です。また、所得税の青色申告特別控除を適用できるため、節税にもつながります。

参考:国税庁 ~優良な電子帳簿の要件チェックシート~
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021011-060_03.pdf

なお、「その他の電子帳簿」であっても業務上のメリットは少なくありません。保管スペースの削減、環境問題への配慮、印刷コストの削減などのメリットが挙げられます。

よくある誤解や間違い|スキャナ保存編

Q. スキャナ保存していても原本は破棄しない方がよい?

A. いいえ

電子帳簿等保存法の改正後、原本をスキャンした後はただちに破棄が可能になりました。ただし、折れ曲がりなどの不備なくきちんと保存されているか、原本とデータを照合し、記載事項をしっかりと確認しておく必要があります。例外としてプリンタの最大出力より大きな書類の場合は、原本を残さなければなりません。


Q. レシートは電子保存の対象ではない?

A. いいえ

レシートもスキャナ保存が認められています。ただ、解像度が200dpi以上であること、また赤色、緑色および青色の階調がそれぞれ256階調以上(24ビットカラー)などが保存要件です。

参考:国税庁 スキャナ保存関係パンフレット
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_02.pdf


Q. タイムスタンプは全てのスキャナ保存で必要?

A.いいえ(一定の条件を満たせば免除される)

電子帳簿等保存法改正により、一定の条件下であればスキャナ保存時のタイムスタンプが免除されることになっています。
具体的には、訂正または削除をした際の事実確認ができるようなクラウド環境で使用するケースです。改ざんの有無が明白なため、タイムスタンプによる証明は必要ありません。

参考:国税庁 改正に関するパンフレットを見る
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf#page=3

よくある誤解や間違い|電子取引データ保存編


Q.電子取引とはインターネット上での取引だけを指す?

A. いいえ

電子取引は、メールによるデータ受領やDVDといった記憶媒体を介する受領なども含まれます。インターネット通販利用時の領収書をダウンロードすることも対象です。 さらに、ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機の利用も電子取引とみなされるため、注意しましょう。


Q. 見積書は電子取引データ保存の対象ではない?

A. いいえ

見積書も、取引の書類に含まれます。メールで受信するなど、電子的な方法でやり取りした見積書はデータによる保存が必要です。 見積書を提示したものの契約に至らなかったものは、法的に明文化されていません。ただ「契約に至らなかったこと」を証明する書類として、念のため保管した方がよいとされています。


Q. 電子取引の記録を印刷・スキャナ保存してもよい?

A. いいえ

電子帳簿等保存法では、電子取引における書類は紙ベースで保管することを禁じ、あくまでデータのまま保存するよう定めています。紙ベースの書面では改ざん防止措置が不十分で、真実性を確保できないためです。

しかし「スキャナ読み取り自体を禁止するものではない」ことに注意しましょう。元のデータの保存がきちんとなされていることが前提とはなりますが、何らかの事情で便宜上必要な場合、スキャナでの読み取りや印刷は可能です。

これだけは必要! 電子帳簿保存法対応で企業がすべきこと

企業は、電子帳簿等保存法で義務化される、電子取引から対応していくことが先決です。そのためにはまず、社内での電子取引状況を把握しましょう。また「真実性」や「可視性」といった保存要件の確保も重要です。

特別なシステムやソフトウェアがない場合も、電子帳簿保存法対応で必要な真実性や可視性を確保することは可能です。例えば、ルールに従ってファイル名やフォルダ名に内容を記載するなど、検索機能を確保してデータを保存したうえで、「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を作成し備え付ければ、必要な要件を満たせます。

電子帳簿保存法対応はインボイス制度と併せて対応する必要があり、あやふやな認識のまま進めてしまうと後々トラブルになりかねません。正しい情報を入手して、着実に対応していくようにしましょう。

まとめ

電子帳簿保存法は全事業主を対象としています。罰則もあるため、確実に内容を把握しておかなければなりません。以下の記事でも、電子帳簿保存法改正のポイントをわかりやすくまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:電子帳簿保存法 2022年改正のポイントは?義務化への対応法も解説!
https://www.biz-raku.jp/useful_information_page/blog00031-articles-kaikeikeiri

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