Canvaで作成したデザインをPDF形式で保存する方法は、Web共有用と印刷用で設定が異なります。
この記事では、Canvaを無料で利用しているユーザーでも実践できる、用途に応じたPDFの保存手順や、保存時に起こりがちなトラブルの解決策を具体的に解説します。
PCとスマホアプリの両方の操作方法を網羅しているため、使用環境に合わせた手順を確認できます。

Canva(キャンバ)
プロクオリティの美しいデザインを誰でも作れるオンラインデザインツール。
豊富なテンプレートや素材が用意されているため、デザインの経験がない人でも、ドラッグ&ドロップで誰でも簡単にプロクオリティのプレゼンテーション、動画、ポスター、メニューなどあらゆるものをデザインできます。
Canvaで選べる2つのPDF保存形式とその違い
CanvaでデザインをPDFとして保存する際には、「PDF(標準)」と「PDF(印刷用)」の2つの形式から選択できます。
Webサイトでの公開やメールでの共有が目的ならファイルサイズが軽い「PDF(標準)」、チラシや名刺などを印刷会社へ入稿するなら高品質な「PDF(印刷用)」が適しています。
それぞれの特徴を理解し、用途に応じて正しく使い分けることが重要です。
Webでの共有に適した「PDF(標準)」
PDF(標準)は、ファイルサイズを抑えて書き出す形式であり、Webサイトでの資料公開やメール添付、チャットでの共有など、デジタル上でのやり取りに適しています。
高解像度の画像を含むデザインでも、データ容量が比較的小さくなるため、相手の通信環境に負担をかけずにスムーズな共有が可能です。
ただし、印刷を目的としたデータとしては画質が不十分な場合があるため注意が必要です。
プレゼンテーション資料やオンラインで配布するレポートなど、画面上での閲覧を主目的とする用途に最適な保存形式です。
高品質な印刷向けの「PDF(印刷用)」
PDF(印刷用)は、300dpiという高解像度でデータを保存するため、商業印刷にも対応できる品質を確保できます。
この形式を選択すると、印刷会社への入稿時に必須となるトリムマーク(トンボ)と塗り足しの設定や、色味を安定させるCMYKカラープロファイルへの変換(有料機能)が可能になります。
ファイルサイズは大きくなりますが、チラシ、名刺、ポスター、パンフレットといった印刷物を作成する際には、この形式を選ぶ必要があります。
細部まで鮮明な仕上がりを求めるプロフェッショナルな用途に適した保存形式です。
【PC版】CanvaのデザインをPDFで保存する手順
PC版のCanvaで作成したデザインをPDFファイルとして保存する手順は、数回のクリックで完了する簡単な操作です。
編集画面の右上にある「共有」ボタンからダウンロード設定画面に進み、用途に応じたファイル形式と詳細オプションを選択するだけで、誰でも手軽にPDFデータを作成できます。
ここでは、具体的な操作を4つのステップに分けて解説します。
手順1:「共有」から「ダウンロード」を選択する
まず、Canvaのデザイン編集画面を開き、画面右上にある「共有」ボタンをクリックします。
すると、デザインの共有や公開に関するメニューが表示されるので、その中から「ダウンロード」という項目を探して選択してください。
この操作により、作成したデザインを自分のコンピューターに保存するための設定画面へ移行します。
PDF形式だけでなく、JPGやPNGといった他の画像形式で保存する場合も、すべてこの「共有」ボタンが操作の起点となりますので、基本的な流れとして覚えておくと便利です。
手順2:ファイルの種類で「PDF」を選ぶ
ダウンロード設定画面が表示されたら、「ファイルの種類」という項目を探します。
初期設定では「PNG」などが選択されている場合があるため、右側にある下向きの矢印をクリックしてドロップダウンメニューを開きます。
メニューの中から「PDF(標準)」または「PDF(印刷用)」のいずれかを選択してください。
Webで共有する場合は「PDF(標準)」を、印刷会社へ入稿するデータを作成する場合は「PDF(印刷用)」を選びます。
この選択によって、後続のステップで設定できるオプションが変わるため、最初の段階で用途を明確にしておくことが重要です。
手順3:用途に合わせて保存設定を調整する
ファイルの種類で「PDF(印刷用)」を選択した場合、印刷に適したデータを作成するための追加設定項目が表示されます。
具体的には、「トリムマークと塗り足し」にチェックを入れると、印刷時の断裁位置を示すトンボが追加されます。
また、「PDFのフラット化」を選択すると、テキストや画像などのレイヤーが統合され、意図しないデザイン崩れを防ぐことができます。
さらに、CanvaProユーザーであれば、「カラープロファイル」で印刷用のCMYKを選択することも可能です。
これらの設定を印刷会社の指定に合わせて調整します。
手順4:「ダウンロード」ボタンをクリックして完了
すべての設定が完了したら、画面の下部にある紫色の「ダウンロード」ボタンをクリックします。
クリック後、CanvaがデザインデータをPDF形式に変換する処理を開始し、画面に進捗状況を示すバーが表示されます。
この処理にはデザインの複雑さやページ数によって少し時間がかかる場合があります。
処理が完了すると、自動的にPDFファイルのダウンロードが始まり、お使いのコンピューターの指定されたフォルダ(通常は「ダウンロード」フォルダ)に保存されます。
これでPCでのPDF保存作業は完了です。
【スマホアプリ版】CanvaのデザインをPDFで保存する手順
Canvaのスマホアプリを利用すれば、外出先でも手軽にデザインをPDFとして保存できます。
PC版と同様に、Web共有用と印刷用の2種類のPDF形式を選択でき、直感的な操作でダウンロードが可能です。
このセクションでは、スマホアプリ版CanvaでデザインをPDFファイルとして保存するための具体的な手順を紹介します。
手順1:画面右上の共有アイコンをタップする
まず、Canvaのスマホアプリで編集したいデザインを開きます。
デザインが画面に表示されたら、右上にある上向き矢印が付いた四角いアイコン(共有アイコン)をタップしてください。
このアイコンは、作成したデザインを他のアプリで共有したり、デバイスに保存したりするための入り口です。
PC版の「共有」ボタンと同じ役割を果たしており、タップすると様々な出力オプションが表示されるメニューが開きます。
PDFで保存するための最初のステップとして、この共有アイコンの場所を覚えておきましょう。
手順2:「ダウンロード」を選びファイル形式を「PDF」に設定する
共有アイコンをタップしてメニューが開いたら、表示された選択肢の中から「ダウンロード」を探してタップします。
すると、ファイル形式などを設定する画面に切り替わります。
「ファイルの種類」という項目をタップし、一覧から「PDF(標準)」または「PDF(印刷用)」を選択してください。
Webでの使用が目的なら「PDF(標準)」を、印刷物を作成するなら「PDF(印刷用)」を選びます。
スマホアプリでもPC版と変わらず、用途に応じた形式を明確に選択することが、適切なデータを作成するための重要なポイントです。
手順3:必要な設定を行いダウンロードする
ファイル形式を選択した後、必要に応じて追加の設定を行います。
特に「PDF(印刷用)」を選んだ場合は、「トリムマークと塗り足し」や「カラープロファイル」(有料機能)といった印刷用の設定項目が表示されるので、要件に合わせてオンにします。
すべての設定が完了したら、画面下部にある「ダウンロード」ボタンをタップします。
すると、デザインのレンダリングが開始され、完了後にPDFファイルがスマホ本体に保存されるか、他のアプリで開くための共有メニューが表示されます。
これでスマホアプリでの保存操作は完了です。
印刷用PDFで失敗しないための重要設定項目
印刷会社に入稿するためのPDFデータを作成する際には、Web共有用のデータとは異なる専門的な設定が求められます。
Canvaではこれらの設定を簡単に行えますが、各項目の意味を理解しておくことで、印刷時の思わぬトラブルを未然に防ぐことが可能です。
ここでは、特に重要な「トリムマークと塗り足し」「PDFのフラット化」「カラープロファイル」の3つの設定について解説します。
裁ち落としを防ぐ「トリムマークと塗り足し」の設定
印刷物は、大きな紙に印刷した後に指定のサイズに断裁して仕上げられます。この断裁時にわずかなズレが生じても、デザインの端に白いフチが出ないようにするため、「塗り足し」という予備の領域を設ける必要があります。塗り足しは、通常、仕上がりサイズの外側に3mm程度設けるのが一般的です。
Canvaでフチなしの印刷物を作成する場合、まずデザインの作成時に仕上がりサイズよりも天地左右に3mm程度大きくアートボードを設定し、その塗り足し領域までデザインを広げておく必要があります。デザイン完成後、ダウンロード時に「トリムマークと塗り足し」のオプションを有効にし、PDF(印刷)形式を選択することで、断裁位置を示すトリムマーク(トンボ)が付加された印刷用データが生成されます。これにより、断裁時のズレによって白いフチが出てしまうことを防ぎ、きれいな印刷物を仕上げることが可能になります。
テキストや図形の編集を防ぐ「PDFのフラット化」
PDFをフラット化するとは、デザインを構成しているテキスト、画像、図形といった複数のレイヤーを、一枚の画像のように統合する処理のことです。
この設定を有効にすると、印刷会社の環境でファイルを開いた際に、フォントが別のものに置き換わって文字化けしたり、オブジェクトの位置がずれたりするレイアウト崩れのリスクを大幅に低減できます。
特に複数のフォントや複雑なグラフィック要素を使用している場合は、意図した通りのデザインで印刷するために、PDFのフラット化を適用することが推奨されます。
印刷時の色味を安定させる「カラープロファイル(CMYK)」の選択
PCやスマートフォンのモニターは光の三原色である「RGB」で色を表現しますが、商業印刷ではインクの三原色に黒を加えた「CMYK」で色を再現します。
そのため、RGBで作成したデータをそのまま印刷すると、画面で見ていた色味と仕上がりの色味が大きく異なることがあります。
CanvaProの機能である「カラープロファイル」でCMYKを選択してPDFを保存すると、この色の差異を最小限に抑え、よりイメージに近い印刷結果を得ることが可能です。
印刷会社への入稿データでは、CMYK形式が標準とされています。
CanvaでPDFがうまく保存できないときの原因と対処法
CanvaでPDFを保存しようとした際に、デザインが崩れたり、ダウンロードボタンが反応しなかったりといったトラブルが発生することがあります。
多くの場合、これらの問題はデザインの内容や使用環境に起因しており、原因を特定して適切に対処すれば解決できます。
PDFの保存がうまくできない場合に考えられる主な原因と、それぞれの具体的な対処法を解説します。
デザインが崩れる・文字化けする場合のチェックポイント
PDFを保存した際にデザインが崩れたり、テキストが文字化けしたりする場合、いくつかの原因が考えられます。
Canvaにアップロードした特殊なフォントがPDF生成時に正しく処理されないことや、多数の図形や画像を複雑に重ねすぎていることが原因となる場合があります。
対処法として、まずデザイン内のフォントを一般的なものに変更してみる、または「PDFのフラット化」オプションを有効にしてダウンロードを試みてください。
これにより、フォント情報やレイヤー構造が原因のトラブルを回避できる可能性があります。
ファイルサイズが大きすぎて保存できないときの解決策
ページ数が非常に多いデザインや、高解像度の画像を大量に使用している場合、生成されるPDFのファイルサイズが大きくなりすぎてダウンロードに失敗することがあります。
この問題の解決策としては、まずデザインに使用している画像のファイルサイズを見直すことが有効です。
あらかじめ画像圧縮ツールなどでサイズを小さくしてからCanvaにアップロードし直すことで、全体のデータ量を削減できます。
また、デザインを複数のファイルに分割して、それぞれを個別にPDFとして保存する方法も効果的な手段の一つです。
ダウンロードボタンが押せない・反応しない場合の対処
ダウンロードボタンをクリックしても反応がない、またはグレーアウトして押せない場合、主にネットワーク接続の問題やブラウザの一時的な不具合が考えられます。
まずは、インターネット接続が安定しているか確認してください。
次に、ページの再読み込みや、一度Canvaからログアウトして再度ログインし直すといった基本的な操作を試します。
それでも解決しない場合は、ブラウザのキャッシュをクリアするか、別のブラウザ(GoogleChromeやFirefoxなど)でCanvaを開いてダウンロードを試みると、問題が解消されることがあります。
【スマホ】保存したPDFファイルはどこにある?確認方法を解説
スマホのCanvaアプリでデザインをPDFとして保存した場合、ファイルがどこに保存されたのか分からなくなることがあります。
保存先はiPhoneとAndroidで異なり、それぞれのOSのファイル管理システムを理解しておく必要があります。
ここでは、スマホでダウンロードしたPDFファイルの保存先と、そのファイルを見つけるための具体的な確認方法を解説します。
iPhoneの場合の保存先と見つけ方
iPhoneでCanvaアプリからPDFをダウンロードした場合、そのファイルの多くは標準搭載されている「ファイル」アプリ内に保存されます。
確認するには、ホーム画面から「ファイル」アプリを開き、「ブラウズ」タブを選択します。
保存先として「このiPhone内」または「iCloud Drive」のいずれかにある「ダウンロード」フォルダを確認するのが一般的です。
iPhoneの設定によっては、Canva専用のフォルダが作成されている場合もあります。
ファイルが見つからない場合は、ファイルアプリ内の検索機能でデザインのタイトルを入力して探す方法も有効です。
Androidの場合の保存先と見つけ方
Androidスマートフォンでは、CanvaからダウンロードしたPDFファイルは、通常、内部ストレージの「Download」フォルダに保存されます。
このフォルダにアクセスするには、「FilesbyGoogle」や「マイファイル」といった、お使いの機種にプリインストールされているファイルマネージャーアプリを使用します。
アプリを起動し、カテゴリから「ドキュメント」や「ダウンロード」を選択するか、内部ストレージを直接開いて「Download」フォルダを探してください。
多くの場合、ダウンロード完了時に画面上部の通知領域に通知が表示され、そこから直接ファイルを開くことも可能です。
メモやコメントを含んだ状態でPDFを保存する方法
Canvaのデザイン上に追記したメモやフィードバックのコメントは、通常のダウンロード手順ではPDFに含まれません。
これらの情報を含んだ状態でPDFとして保存したい場合は、少し異なる手順が必要です。
まず、編集画面右上の「共有」ボタンから「表示専用リンク」を作成し、そのリンクをコピーします。
次に、コピーしたリンクをブラウザで開き、デザインとコメントが表示されたページ全体をブラウザの印刷機能を使って保存します。
印刷ダイアログの送信先(プリンター)を「PDFとして保存」に設定することで、画面に表示されているメモやコメントごとPDFファイルとして出力することが可能です。
まとめ
Canvaで作成したデザインをPDFとして保存する際は、Webでの共有にはファイルサイズが軽い「PDF(標準)」を、印刷用途には高品質な「PDF(印刷用)」を選択するという使い分けが基本です。
特に印刷会社へデータを入稿する際には、仕上がりの品質を左右する「トリムマークと塗り足し」「PDFのフラット化」、そしてCanvaProで利用可能な「CMYKカラープロファイル」といった設定が重要になります。
もしPDFがうまく保存できない場合は、デザインの内容やネットワーク環境を見直すことで解決できる場合があります。
これらのポイントを押さえることで、目的に合った適切なPDFファイルをスムーズに作成できます。

Canva(キャンバ)
プロクオリティの美しいデザインを誰でも作れるオンラインデザインツール。
豊富なテンプレートや素材が用意されているため、デザインの経験がない人でも、ドラッグ&ドロップで誰でも簡単にプロクオリティのプレゼンテーション、動画、ポスター、メニューなどあらゆるものをデザインできます。