勤怠管理の危険度診断!起こり得るトラブルと予防のための対応策

近年行われた労働基準法の改正を受け、自社の勤怠管理が正しいのか心配している方も少なくありません。そこで本記事では、勤怠管理の危険度を測るチェック項目とあわせて、勤怠管理を疎かにすることで起こり得るトラブルなどを解説します。勤怠管理を見直したい方や、勤怠管理システムの導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

勤怠管理危険度診断

労働基準法の改正によって、労働時間を客観的に把握することが企業の義務とされました。これは、従業員の心身の健康を守ること、適正な賃金を支払うことが主な目的です。法令を遵守するためには、始業・終業時刻、労働時間、休日・深夜残業の時間などを正確に記録することが欠かせません。次に挙げるチェック項目を見ながら「勤怠管理危険度診断」を行って、従業員の就業状況を正しく管理できているか確認しましょう。

勤怠管理危険度診断 チェック項目

打刻は正確に行われているか

まずは、打刻が正確に行われているかをチェックしましょう。現行の労働基準法では、タイムカードやパソコンなどで、始業時間・終業時間、休憩時間、時間外労働、深夜残業、休日労働を記録し、可視化することが求められています。また、これらの労働時間に関する記録は、最低5年(当面は経過措置中につき3年で可)保管しなければいけません。もしも労働基準法の改正にあわせて、勤怠管理の体制・就業規則の見直しを行っていないなら、なるべく速やかに対応しましょう。


長時間労働の発生状況を確認しているか

長時間労働は従業員のワークライフバランスに負の影響を与えるだけでなく、さまざまな健康被害の要因ともなります。そのため、企業は長時間労働を防止するよう、時間外労働の管理も求められます。

現行の労働基準法では、原則として1日8時間(週40時間)を超える労働を禁止しています。それを超えて労働させる場合は、「36協定」の締結・届出が必要です。ただし36協定を結んでいても、原則として月45時間(年360時間)は超えることができません。臨時的な事情がある場合のみ、年6か月までに限り月100時間(年720時間以内、休日出勤も含む)まで可能ですが、平均して80時間を超えないことが定められています。この上限を超えると罰則が科されることがあります。

また、36協定の範囲内であっても、労働者の過労死などを防止するために、企業は安全配慮義務を負っていることを忘れてはいけません。時間外労働が法律で定められた範囲内に収まっているか、あらためてチェックしましょう。


休日の取得状況を把握できているか

従業員が心身をリフレッシュできるように、企業は最低でも毎週1日以上の法定休日を設けなければいけません。取得状況の管理も必須です。やむを得ず休日出勤する場合には、振替休日や代休を確実に取得できるよう差配しましょう。月単位で休日の取得状況を把握することも大切です。

さらに、労働基準法の改正によって、年5日の年次有給休暇を確実に取得させることが義務づけられました。対象は、年休が10日以上付与される従業員で、有期雇用の従業員も含みます。そして、従業員それぞれの年次有給休暇管理簿を作成し、最低でも3年は保存しなければいけません。時季指定(年5日の有給取得ができていない場合に、従業員の意見を聞いた上で、企業から時季を指定し取得してもらうこと)を行うなら、あらかじめ就業規則に記載することも求められています。これに違反した場合は、30万円以下の罰金などが科されることがあります。

また、管理者側だけでなく、従業員の側でも有給休暇の残日数などを確認できる体制を整えないといけません。有給休暇を消化させるために、年末年始や夏季休業など、従来「特別休暇」としていた休日を故意に減らす企業もありますが、それは従業員にとって労働条件の「不利益変更」に該当し、違法とされる可能性が高い行為です。従業員の同意を取れば可能ではありますが、従業員のモチベーションやエンゲージメントの低下につながるため、避ける方が無難です。

このほか、有給の申請が煩雑だと、人事担当者などの負担が増え、人為的なミスも招くことになります。工数削減のためにも、スマートな有給申請・有給管理の方法を用いましょう。


データ集計を正確にできるか

労働時間を従業員の自己申告制にしていると、実際の勤務時間との乖離が起こることがあります。また、紙のタイムカードで管理している場合、締日には人事担当者の手元に多数のタイムカードが届くことになりますが、それを1枚ずつチェックし集計するのは大きな負担です。集計ミスや紛失などのリスクを伴うほか、打刻ミス、不正打刻・不正管理の可能性も否定できません。そのため、本人認証を行う打刻システムを導入することも有効です。人事担当者と各従業員が、それぞれ打刻履歴を見て管理できるので、さまざまなトラブルの防止につながります。

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勤怠管理を怠ることで起こり得るトラブル

上記のチェック項目を満たせていない場合、次のようなトラブルを招く可能性があります。


労働基準監督署に指摘される

まず、労働基準監督署(労基署)に指摘される恐れがあります。労働基準監督署は、定期的もしくは従業員からの申告、労働災害によって、労働基準法などに基づき、原則として予告なく企業を調査することがあります。一般的に、いずれも労働基準監督署の職員が事業者へ立入調査を行い、設備や帳簿の検査、事情聴取、労働条件を調べます。立入調査を拒むことはできません。

法律違反がなければ、そこで調査・指導は終了です。しかし、もしも法律違反が認められれば、是正勧告・改善指導をし、危険性の高い設備などの使用停止命令といった行政処分も行います。企業からの是正・改善報告の提出、あるいは再度の立入調査にて改善されたと認められたら、指導は終わりとなります。ただし、度重なる指導でも改善が見られない悪質・重大な場合は、刑事事件として捜索・差押え、逮捕などの強制捜査を行い、送検されます。

令和2年では約900件が送検されました。監督指導は令和2年度で約15万件行われ、その中でも勤怠関係は「違法な時間外労働を行わせた」「割増賃金を支払わなかった」など、主な違反事項として複数挙がっています。
出典:厚生労働省 確かめよう労働条件|労働基準監督官の仕事


労基署の監督指導による賃金の遡及支払いが2022年度は79億円

勤怠管理の不備だけが原因ではありませんが、令和4年度において労働基準監督署が扱った賃金不払いに関する案件は、合計で20,531件(約121.2億円)にものぼります。そのうち支払われた金額は79億4,597円で、残りは別の法律に基づき解決に向けた取り組みが継続して行われています。
出典:厚生労働省|賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)


未払い残業代を請求される

適切な勤怠管理を行っていないということは、従業員に正当な給与を支払っていない恐れもあるということです。そのため、これまで表立って問題が発生していなくても、ある日突然「従業員から未払い残業代を請求する内容証明が送られた」という事態が発生しないとも限りません。

もしも裁判ともなれば、未払いの残業代に加え、付加金・遅延損害金も追加で支払いを命じられる可能性があります。実際、令和4年度には1,069企業が100万円以上を未払い賃金として支払っています。そうなると金銭的な負担が増すだけでなく、社内・社外を問わず信用を大きく損なうので注意が必要です。
出典:厚生労働省|賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)_【別紙】監督指導結果等


優秀な人材が集まらなくなる

勤怠管理を怠って、長時間労働などの不適切な労働環境が常態化することは、 従業員の離職に直結します

近年はインターネットなどの普及によって、さまざまな情報を簡単に得られる時代となりました。特に、悪い評判はSNSなどを通して瞬く間に拡散されます。そのため、一度でも法令を遵守しないブラック企業だと社会的に認識されてしまうと、企業の価値と評判を大きく下げることになります。

世界的な人材不足が進んでいる昨今、長時間労働を強いると噂の企業にあえて就職・転職したいと考える人は、まずいないでしょう。優秀な人材を今後確保することも困難になってしまうため、勤怠管理を怠ることは非常にリスキーです。

トラブルを避けるには「勤怠管理システム」がおすすめ

従業員の心身の健康を守り、賃金にまつわるトラブルを防ぐためには、「勤怠管理システム 」を導入するのもおすすめです。ICカードやパソコンで始業・終業時間などを打刻できるため、適正な残業時間の把握につながるほか、有給休暇の管理なども容易です。法令を遵守できるだけでなく、管理者・従業員の双方が正確に残業時間を把握することで、残業時間をより減少させる取り組みも機能しやすくなります。

まとめ:勤怠管理システムの導入で労働時間を把握しましょう

残業時間の制限追加、5日間の有給休暇の取得義務化など、ここ数年で労働基準法が大きく改正されています。従業員の心身の健康を守り、トラブルを避けるためにも、これらを遵守することが欠かせません。タイムカードでも構いませんが、集計などの負担があるため、スムーズかつ正確に労働時間を把握できる勤怠管理システムの導入がおすすめです。ビズらくでは比較資料もご準備しておりますのでぜひご覧ください!

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