導入プロジェクトメンバーに聞く!電子契約のはじめ方

こんにちは!ビズらくコンテンツ担当の菅野です。
突然ですが、最近、取引先と契約書を交わす際、「電子契約で締結をお願いできませんか」と聞かれることが増えていませんか? 「うちは対応していませんので・・・・」と回答するのも少し気おくれしますよね。場合によっては、対応できないことが理由で取引不成立・・・といったことになると、もうおおごとです。

とある調査によると、電子契約サービスの市場はここ数年にかけて年間約40%の高成長が見込まれているそうです。特にデジタル化の進展とテレワークの普及により電子契約の利便性と効率性が認識されてきており、企業・個人間の契約でも今後さらに利用が進むと予想されているそうです。
(参考:ITトレンド「電子契約の市場規模、普及率はどのくらい?背景も徹底解説!」)

実は、アスクルでもテレワーク普及をきっかけにプロジェクトを立ち上げ、2021年に電子契約サービスを導入しました。そこで今回は、電子契約導入プロジェクトを推進してきた、アスクルの総務担当・森本さんにインタビューして、導入の背景や手順、効果、導入の際の注意点やポイントをご紹介いたします。

森本 綾佳(もりもとあやか)さん

Profile

森本 綾佳(もりもと あやか)さん
アスクル株式会社  総務 社内文書管理担当

総務部門にて、社内文書の押印受付、承認業務を担当。2020年より電子契約導入プロジェクトに参画。プロジェクトを先頭に立ってリード。各部門から選出されたメンバーを取りまとめ、数々の難問・難課題を解決。結果、電子契約の導入と、高い社内利用率の実現を果たした。

菅野:今回はアスクルの社内文書管理担当の森本さんに、電子契約の導入についてお話を聞いてみたいと思います!
森本:よろしくお願いします。

電子契約を導入したきっかけは?

菅野:アスクルで電子契約を導入したきっかけは何だったのでしょうか?

森本:新型コロナウイルス感染予防をきっかけとしたテレワークの急速な拡大により、アスクルでも導入が進んでいなかった紙・ハンコでの契約のペーパーレス化(電子化)が急務となりました。取引先から電子契約での締結について問い合わせが増えたことと、社員が書類対応のためだけに出社をすることを避けるため、2021年3月に電子契約を導入しました。

菅野:電子契約の導入によって契約関連の手続きがリモートになり、かなり楽になりましたね。ちなみに導入前の社内の様子はどのようなものだったのでしょうか?

森本:電子契約の導入前はコロナ禍で出社を控えなければいけない中、社内文書の押印のために総務、法務、経理が出社して処理しなければならない状況でした。押印のためだけに各部門の社員が交代で出社することが大変だったので、各部門から「電子契約を導入しよう」という機運が高まりました。

また取引先から「電子契約で締結を」といわれる機会が増えたのも要因の一つです。相手先に「対応できません」と回答するのがちょっと恥ずかしい・・・という一面もありました。特にIT系の取引先から電子契約を要求されることが多く、社内のIT担当部門からも「電子契約に移行してほしい」という要望が多く上がってきました。いずれも総務だけでなく、複数部門の後押しがあったことが導入成功の大きな要因だと思っています。

どのような手順で導入したのですか?

菅野:アスクルでは電子契約をどのように導入されたのでしょうか?

森本:総務、法務メンバーを中心にプロジェクトを発足し、2021年3月に電子契約を導入しました。システム自体は無事導入できたのですが・・・・導入直後の利用率がまったく上がりませんでした。新しいシステムを使用するより、慣れている紙での契約締結を選択している社員が多い状況でした。ただ、このタイミングをのがすとDX化は進まないと考え、思い切って「電子契約利用率100%」を目標に掲げ、法務と協力して普及施策を出し合い、ロードマップを設定し取り組みました

菅野:システムを導入するだけで利用が広がるわけではないんですね。どのような取り組みをされたのでしょうか?

森本:賃貸借契約書など、電子契約の効力がない文書もありますので、こういった電子契約化できない契約書については一旦横に置いて、電子契約できる文書から徐々に進めていきました。今では、どうしても紙でなければいけない書類を除けば電子契約利用率は100%を達成しています。また、取引先の電子契約に対する理解・周知不足も課題でした。

特に、取引先に電子化するメリットの理解を求めるのが難しかったです。紙でないと締結した実感がない、赤の押印がないと契約書として認めないなど、取引先に電子契約についてのメリットや理解を求めるのが大変でした。そこで、マニュアルや案内リーフレット等を作成し、社員が取引先に説明し理解してもらいやすいように努力しました。社員の電子契約という新しいシステムに対する苦手意識もあったと思います。何度も社内勉強会を開催し、マニュアルだけでなく社員の不明点を直接説明して理解を深めてもらい、結果、社員が取引先により説明しやすくなったと感じています。

菅野:様々な課題を地道な努力で乗り越えられてきたのですね。その他、電子化率100%に向けて具体的にどのようなことを行ったのでしょうか?

森本社内ポータルサイトに電子契約の利用促進案内を掲出しました。契約書締結の頻度が低い社員でも、一目でやり方がすぐにわかるよう、目に付きやすいところに案内を入れました。また、「紙で締結希望」の契約の場合は、必ず総務に相談するような流れを作りました。そこで総務がフィルターとなって、どうしても紙でないといけないもの以外は電子化をするように促進していきました。

徐々に利用率が高まり、80%になった時点で、社内掲示板にて「紙押印原則廃止」を社内に宣言しました。宣言後の社内の反響は大きく、今でも問合せがあります。ただそういった問合せ1件1件に対応することが、電子化の促進につながっていると感じています。

菅野「紙押印原則禁止」はインパクトがありましたね。逆に、やらざるをえない状況を作ることで一気に加速したように感じます。

電子契約の導入のメリットは?

菅野:電子契約を導入し利用が広がったことで、どのような効果がありましたか?

森本:紙の印刷・提出作業が不要となるため、手続きに要する時間が短縮しました。また契約書類の電子管理が進み、紙の管理・保管が減りました。その他、郵送代・印紙代・出社の交通費・印刷製本にかかる作業コスト等、さまざまなコストが削減しました。

菅野:うれしい効果が目白押しですね。私自身も、契約締結までのリードタイムがかなり短縮されたように感じています。

森本:そうですね。締結までのリードタイム短縮に近いのですが、社員の押印にかかる工数や手間、出社時間が減ったのが最も大きいと感じています。押印のためだけに出社しなくてもよくなり、周囲からも「楽になった」と声をかけられることが多なったことが一番の喜びです。社員のライフスタイル変革や働きやすい会社つくりに貢献できたことは、総務冥利に尽きると感じています。

電子契約を検討する際のポイントは?

菅野:ビズらくのお客様の中には、これから導入しようと検討している企業さまもいらっしゃると思います。まず何から始めるとよいですか?

森本:よく取り交わされている書類を棚卸し、最も手続き頻度の高い書類から電子契約化を始めるのが効率的だと思います。たとえば発注書や検収書など、毎月発生し件数も多い書類から導入事例を作れば、あとは契約書や秘密保持契約書など他の書類に展開しやすいです。

菅野:まずは大所から攻める、ですね。導入する際にはどのようにして電子契約を選ぶとよいでしょうか?

森本:最近はいろんなサービスが出てきていますが、どのサービスも導入手順や機能、使い勝手は変わらないと思います。自社でサービスを利用する頻度(契約を結ぶ本数など)を確認した上で料金体系を比較し、どのサービスが最も費用対効果が高いか、で選ぶのがよいと思います。 また契約書の保管についていうと、すでに利用している文書保管システムとの連携ができる機能があるかどうか、という点もポイントになります。

菅野:なるほど。まずは自社の利用頻度をイメージするのが選ぶポイントですね。ビズらくでも契約管理・電子契約サービスを豊富に取りそろえております。これを機にビズらくで電子契約サービスの導入をご検討いただければと思います!

法務のプロに聞く!電子契約導入時の注意点

──さらに今回は、電子契約導入プロジェクトのメンバーでもあるアスクル法務部門の本山さん・平野さんに、法務のプロとして今後の電子契約を導入しようとしている職場に向けてコメントをいただきました。

法務部

Profile

本山 雄一(もとやま ゆういち)さん / リーガル・知的財産 統括部長
平野 裕二(ひらの ゆうじ)さん / リーガルアフェアーズ 部長

法務部門にて、契約文書の作成や審査、押印申請書類の法的レビューを担当。紙の契約から電子契約に移行するにあたって、想定される様々な法的課題を検討し、解決策を助言。「企業法務のプロフェッショナル」として電子契約導入の実現に貢献した。


 電子契約の導入にあたって、まず法務として「電子契約がどのような法的意味を持つか」を理解するところからはじめました。紙にハンコを押す従来の契約書が、電子契約に変わることによってどのような問題が発生するかを想定し、どう解決するかを考えるのが法務として最も大事な役割だと考え、導入プロジェクトに参画しました。 

 電子契約導入後は、法務としても様々なうれしい効果がありました。従来の紙の契約書では「製本の不備」「ハンコの押印不備」など様々な形式的不備が起きやすく、その度にやり直しや手戻りが発生していました。このような、紙であるからこそ発生していた作業がなくなったことはとても大きかったです。また、電子契約はパソコンさえあれば業務が進められますので、これまで以上に在宅勤務しやすくなりました。法務部門の働き方改革はもちろん、契約担当者である社員の業務効率化や、契約締結のスピードアップにも貢献できたと実感しています。

──最後に、これから電子契約を導入しようと考えている職場に向けてメッセージをお願いします。

 「電子契約を導入しよう」と決めた時に、社内から「紙じゃないけど大丈夫?」などの不安の声は必ず上がってくると思います。そういった不安の声に対して「電子契約でも法的な効力があるので心配ない」「契約締結プロセスそのものがちゃんとできていれば、電子契約でも大丈夫」など、社員の不安を取り除き、背中を押せる説明ができるかどうかも、法務の重要な役割だと思います。

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