ペーパーレス化は今や多くの企業で取り組まれている経営課題です。この記事では、「ペーパーレス化を推進することになったものの、何から始めればよいのかが分からない」といった方に向けて、大まかな流れや必要となるツールを目的別に解説します。運用にあたっての注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもペーパーレス化とは?
ペーパーレス化とは、これまで使用していた紙を減らして情報を電子化させる取り組みを指します。企業がペーパーレス化すると、さまざまなメリットが生まれます。
まず、コスト削減です。紙文書を使っている場合は、印刷するインク代や用紙代、配送費用、保管スペース費用など、さまざまなコストが発生します。しかし、ペーパーレスならそうしたコストをかけずに業務遂行が可能です。
また、ペーパーレス化を推進し文書を電子化すれば、今まで目視で探していたファイルを検索により容易に見つけられるようになるなど、業務効率化を図れることも魅力です。
電子取引分のデータ保存を義務化した「電子帳簿保存法」や、持続可能な社会を目指す「SDGs」といった社会的な動きもあり、今やペーパーレス化は一般的な取り組みとなりつつあります。
総務省が2020年3月に公表した「デジタルデータの経済価値の計測と活用の現状に関する研究結果」を見てみても、国内約2,000社のうち60.4%もの企業が、すでにペーパーレス化を遂行しています。もしこの流れに乗れなければ、激化する市場競争から取り残されるかもしれません 。まだ取り組めていない場合は、早急にペーパーレス化することをおすすめします。
参考:総務省 デジタルデータの経済価値の計測と活用の現状に関する研究結果 P.57
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/r02_05_houkoku.pdf
4つの手順で取り組む! ペーパーレス化の進め方
ここからは、具体的にどのような手順でペーパーレス化を進めていけばより効果的なのかについて解説します。
1. まずはペーパーレス化の目的・ゴール設定から始める
ペーパーレス化の重要性を何となく感じていても、目的が明確化されていなければ漫然とした取り組みになってしまいます。そのため、まずペーパーレス化の目的や目指すべきゴールをはっきりさせることが大切です。
効果測定のため、数値化した目標を設定することも重要です。例えば、紙の文書を20%削減する、文書検索時間を50%減らす、といったように具体的になればなるほど分かりやすく、ゴールへ向けて取り組みやすくなります。
2. 紙の保有量・使用量を把握して対象範囲を決める
社内には紙文書がどのくらいあり、どのくらい利用しているのか、といった現状を把握しましょう。そして、先に定めた目標を達成できるのはどのような分野かを見極め、ペーパーレス化の対象とします。
3. 使用するツールやサービスを選ぶ
ペーパーレス化の目的やゴールに合わせて、必要なツール、サービスを選定することも大切です。例えば、タイムカードによる勤怠管理やシフト表を作成したいなら勤怠管理システム、関係者に会議資料を配布して共有したいなら、Web会議やビジネスチャットツールなどを選びましょう。具体的に必要なものは後ほど紹介します。
4. 運用ルールの策定・社内周知をしたうえで実行する
これまで紙ベースで文書管理してきた文化を一気に変えると、現場は混乱しかねません。そのため、どのように運用するのかルールの策定が重要です。
具体的にはまず、ファイル名・フォルダ名の命名規則やファイル形式を決めます。厳重に管理しなければならない顧客データなど機密情報に関する管理ルールや、保管や廃棄の期限、方法に関するルールも明確に定めておくと安心です。
さらに、運用する社員全員への周知を徹底しましょう。社内説明会やガイドラインのイントラネット上への掲示もおすすめです。社内のみならず、見積書や請求書といった社外の取引先へも影響がおよぶ場合は、関係者へ案内する必要もあります。
ペーパーレス化をいったん運用し始めたら、どのような効果があったのか検証したり、改善すべきところを把握して方法を見直したりと、継続的にPDCAサイクルを回しましょう。
【目的別】ペーパーレス化に必要なものは?
ペーパーレス化はあくまで手段であり、目的は自社が抱える課題解決です。対処すべき課題により、必要なものは異なります。ここでは解決したい課題別に、代表的なものを紹介します。
【紙文書の電子化】OCR・スキャニングサービス・WEB会議
これまで当然のように使ってきた「紙文書を電子化したい」のが目的なら、PCでPDFへ変換し保存するほか、OCRやスキャニングサービスなどがおすすめです。OCRは「Optical Character Reader」の略語で、紙に書かれた文字を読み取り、デジタルデータとして変換する技術のことです。 このほか、FAXで受信した文書等を印刷せずにデータで保存する「ペーパーレスFAX」も登場し人気を集めています。
会議をできるだけ円滑化させたい場合は、WEB会議システムが適しています。対面での会議では通常、紙ベースで作られた配布用のアジェンダや資料が必要です。しかし、Web会議ではペーパーレスがかないます。作った会議資料を印刷する、配布する、といったコストや手間もかかりません。さらに会議室を準備する手間や、移動時間のカットにもつながります。
【経理業務の効率化】会計システム
煩雑になりがちな経理業務を効率化させたいなら、会計システムがおすすめです。会計システムは、経理業務に必要な書類を電子化できるシステムで、自動チェックによって大幅に効率化を目指せます。見落としなどのヒューマンエラーを防げるようになるだけでなく、経理部門の書類の印刷や保管にかかるコストの削減も可能です。
【脱ハンコの実現】電子契約システム
テレワークなど働き方が多様化するにつれて、社会全体で「脱ハンコ」の動きが高まっています。脱ハンコを実現することで、押印のために出社することも減り、働きやすい環境を整備できます。こうした目的なら、契約業務を効率化できる電子契約システムがぴったりです。
ペーパーレス化を進めるうえでの3つの注意点
ペーパーレス化を進めるのに、ここから紹介する3つのポイントに注意しない場合、うまく効果が現れないおそれがあります。それぞれの理由もふくめて、具体的に解説します。
まずはスモールスタートを意識すること
ペーパーレス化はこれまでの社内文化にとって「変革」ともいえる大きなプロジェクトです。そのため、いきなり全社的に導入しようとしても、社員への負担が大きくなってしまいます。また、関連部門の不満増大につながりかねません。最初は部分的かつ段階的に進め、徐々に広げるようにしましょう。
ペーパーレス化の意図を十分に社内浸透させること
ペーパーレス化になぜ取り組むのか、その意図や目指している姿を、経営陣のみならず社内のあらゆる従業員へ浸透させることも重要です。協力体制をしっかり築き上げるためにも、目的意識の醸成を図りましょう。
リスクも正しく理解し備えておくこと
ペーパーレス化には多くのメリットがあるものの、システム障害が起きてしまうとデータを使えない時間が発生するなど、デメリットもあります。そのため、システムやツールの導入時には、運用中にどのようなリスクがあるのかを理解しておくことが大切です。セキュリティの強化や定期的なバックアップなど、何らかの問題が発生したときに備えて対策も準備しておけば、余裕を持って取り組めます。
まとめ
ペーパーレス化を成功させるには、目的を明確化することが大切です。どのような課題解決を図りたいのかによって、必要なシステムやツールがおのずと絞れます。
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